私達にできること
「この件には邪神の化身であるユラが関与しています。ここまで騒ぎを大きくしておきながら、簡単に解決させてくれるとは思えません」
ひどい人物評だが、おそらくその分析は間違ってない。私も小さくため息をついた。
「油断した瞬間に、ぐさりと後ろから刺すのがあいつのお好みだもんね」
これまで何度してやられたことか。
ユラのにやにや笑いを思い出して、抑え込んでいたはずの不安がまた膨れ上がってくる。
「落ち着け。未成年で学生の俺たちはそもそも戦に関われねえ」
「わかってるわよ。ユラが糸を引いているならなおのこと、あいつのやり口を知ってるフランに任せるのが一番だって。でも……何かできないかしら。戦争以外の方法で」
「他ねえ」
「おかしいこと、言ってるかな?」
「いいや」
ヴァンは首を振った。ケヴィンもうなずく。
「ハーティアが抱えてるのは、ヘルムートの反乱だけじゃない。東のアギト国からの侵略、魔の森に居座るダルムールのゾンビ兵、そしてあちこちに出現した伝説上のモンスター。いつどれが深刻化して、国が倒れてもおかしくないよ」
「俺も、他の問題に目を向けるのは、あながち間違っちゃいねえと思う」
「その中で私たちが手を付けられる問題といえば……王宮、かしら?」
「まあ、王都にいるからな」
私たちは建国時から国政に関わってきた勇士七家の子供だ。実家の名前を出せば登城可能なのは、大法廷の一件で証明されている。
「しかし、王宮つっても何をどうするつもりだ? 問題なんか掃いて捨てるほどあるぜ」
「それはもちろん、セシリアの王位継承よ!」
「わ、私ですか?」
突然話をふられたセシリアが、悲鳴のような声をあげた。今まで一令嬢として生きてきたからぴんときてないかもだけど、正当王位継承者が侯爵令嬢の侍女に収まってるのは、大問題だ。世界の命運にかかわる。
「王宮の地下に眠る空中母艦『乙女の心臓』と巨大ロボ『白銀の鎧』は大きな戦力よ。運用できれば各地のモンスターを一気に殲滅できるわ。アギトとの戦争にもきっと役立つはず」
「で、その復活には、セシリアの王位継承が必要、ってことだったか」
私は大きくうなずいた。
神造兵器はその絶大な力ゆえに、厳重に封じられている。王族直系の女子、つまり聖女でなければ、封印を解くことはできない。
「でも、逆に言うとこれってシステム要件でしかないのよね」
「しすてむ?」
首をかしげるクリスに、私は説明を続ける。
「乙女の心臓も、もちおみたいなAIつまり機械が管理してるの。実際の王位継承の手続きとは関係ないから、王城に入り込んで水盤に触れることさえできれば、空中母艦にアクセス可能だと思う」
「ん~……システム上可能でも、現実的には難しいんじゃない?」
ケヴィンが苦笑しながら首をかしげる。
「国の重要祭具なだけあって、水盤は常に精鋭の近衛が管理してる。結局、貴族たちの承認がなければ近寄れないよ」
「そっかー……」
汚職騎士団長マクガイアの代ならともかく、現在の近衛騎士団長は宰相閣下が厳選した誠実な騎士だ。お金や権力で見逃したりはしてくれないだろう。
アレにはコレが必要で、コレにはソレが必要……と、出てくる条件の多さに、頭が痛くなってくる。
ヴァンもがりがりと頭をかいた。
「俺は今の状況でセシリアを王族と認めさせるのは、正直厳しいと思ってる。国王は偽物で、別に正当王位継承者がいるって話になったら、今まで信じてた貴族はもちろん、玉座に座ってる連中も黙ってねえだろ。特に王妃は徹底的に邪魔してくるぞ」
「国王の息子を生んだのが権力の根拠だもんね、王妃は」
「となると……まず最初にやらなくちゃなんねーのは、王妃の排除……か?」
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