ヘルムートとグラストン
「今はヘルムートの処遇です」
王妃に断罪宣言して気がすんだのか、宰相閣下はくるりとこちらに向き直った。
「ヘルムートは反逆者、シュゼット姫は彼に巻き込まれた被害者として、進めましょう」
私たちが何度も証言した通り、彼らの接点はほぼゼロだ。
宰相閣下の判断に異を唱える者はいなかった。
国王陛下も重々しくうなずく。
「それで構わんだろう。また、ヘルムートの行動に、王子の責もないものとする。まだ公に解任とはなってなかったが、解任していたものとする」
「そちらのほうが、話がスムーズでしょうね」
「しかし」
王子が口を挟もうとして、宰相に止められた。
「もうすでに事態はあなたの手を離れています。関わって、状況を複雑にしてはいけません。……わかりますね?」
「……はい」
この状況で、王子にまで責任が及んでは収拾がつかない。
悔しそうにうつむきながら、王子は大人たちの判断を受け入れた。
「彼はランス家の次男なのですが……」
宰相閣下は兄のグラストンに目を向けた。びしっ、とグラストンが背筋を伸ばす。
その胸には、変わらずランス家の紋章入りブローチが輝いていた。
「ランス家当主代理として発言します。ヘルムートは独立宣言時をもって、ランス家より除籍。我が家とは関係のない逆賊として対処いたします」
これは全員が予想していたことだ。
家をとるか、姫をさらった次男をとるか。
優先順位は考えるまでもない。
ランス家の立場を、グラストンにわざわざ宣言させたのには理由がある。
他のランス関係者が万が一にもヘルムートに手を貸すことを防ぐためだ。次男とはいえやはりランスだ。彼を知る親族の誰かが同情するかもしれないし、反乱が成功すると勘違いする者が出てもいけない。
国家の誰も味方しない、ひとりぼっちの賊であると示す必要があるだろう。
そしてそれはランス家全体を守ることにもなる。
「わかりました。では、ヘルムートはランス家の関わりあいのない者として……」
「血縁としての監督責任を問う必要はないの?」
王妃がいらないつっこみをいれる。
確かに、不祥事が起きてから『除籍したからうちとは関係ないです』って宣言するのは、虫がいいって言われてもしょうがないけどさあ。
「それを問えば、王家全体が責を負うことになるでしょう」
「なぜ? 彼が今まで家名を負っていたことは確かじゃない」
「同時に、オリヴァー殿下の名も背負っていました」
王子の名前を出されて、王妃の顔がぴくっと引きつった。
「記録を確認しましたが、彼は5歳で側仕えになってから離脱するまで、ほぼすべての期間を王宮で過ごしています。彼を親元から引き離して教育したのは王宮です」
「そんな身の上の者はいくらでも……!」
「確かに血のつながりだけで罪を問うことはできなくはありません。しかし王宮の責任をすべて棚上げして、ランスだけを責めるのは……」
「いえ、いいのです」
宰相閣下の擁護を、グラストン自身が止めた。
「王宮でつつがなく暮らせているから、と弟の手を離してしまったことは事実です。私は弟の罪の責を負わなくてはなりません。だからこそ、ヘルムート討伐の任、私に命じてはいただけませんか」
悲痛な、訴えだった。
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