何故なのか
「なぜそう言い切れる?」
説明できるものなら、してみろ。
言外に問われて、ローゼリアは顔を青ざめさせる。
「私が王宮のあらゆる場所に出入りできる権限を手に入れたのは、ひとえに自分自身の力によるものです。信用を得るために誠実を装い、巧妙に王妃様に取り入ったからにほかなりません。私が皆を欺いていたのです」
王妃の忠実な暗殺者は、その主を利用していたと主張した。
「薬物の入手も、罠の手配も、私ひとりでやったことです。あさましくも王妃づきになったその立場を利用して、裏社会に働きかけ人を引き入れ、悪事を働いたのです」
ローゼリアは宰相閣下ではなく、置物国王に訴えかける。
「お疑いになるなら、関わった者すべてをお調べください! 取引の場に現れたのも、罠を用意したのも、脅迫したのもすべて私です。私しか目撃されておりません。王妃様が関わったなどという、おぞましい証拠はどこにもないのですよ!」
断言するからには、実際そうなんだろう。
用心深い王妃が直接取引の場に現れることはない。すべて、代理人であるローゼリアを通していたはずだ。
目撃証言のないなかで、彼女が『ひとりでやった』と言えば、それ以上追及できなくなる。そう見越して、最初からローゼリアだけに行動させてたに違いない。
「取引については、それで通せなくもないかもしれない。だがひとつ、疑問が残るだろう?」
じい、と宰相閣下がローゼリアを見据えた。
「王家の抜け道については、どう説明をつけるつもりだ」
「そ……それは……」
ローゼリアの目が泳ぐ。
当然だ。
それは彼女自身の秘密に関わることだからだ。おそらく、この秘密も抱えたまま地獄に行きたかったに違いない。
しかし、黙っていては王妃共犯説が成立してしまう。
背に腹は代えられない。
ローゼリアは、震える唇でついに秘密を告げた。
「王家の抜け道は……私自身が元から知っておりました……」
観客に困惑が広がる。
王妃に近しかったとはいえ、一介の侍女が王家の極秘事項を知っていたのか。まったく理屈にあわないからだ。
でも、彼女は知り得る立場だった。
なぜなら……。
「父から……聞いておりましたので」
「それはおかしい」
宰相閣下はしらじらしく、ローゼリアに問いかけた。
「貴様は書類上、王国西部で織物を扱うシュヴァインフルト家の三女となっている。織物問屋の主人に王家と関わる縁があったとは思えないが」
「わかっているくせに……」
「何の話かな」
「……っ、私の本当の父の名前は、ヴォルフガング・マクガイア。書類上の父は、本当は祖父にあたります!」
ローゼリアが叫ぶように宣言する。
謁見の間は大きくざわついた。
「そんなまさか……!」
「あの一族はすべて処刑されたはずだ!」
彼らが動揺するのも無理はない。
マクガイアとは王国騎士団第一師団長の地位にありながら、数々の汚職に手を染め、敵国アギトと手を組み、国を売り渡そうとしていた逆賊の名前だったからだ。
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