揃う顔ぶれ
「リリィ? お前なんでオリヴァーと来てんの?」
「エスコートよ。お父様もお兄様も、王都に来られないから」
控室に入るなり怪訝な顔をされた私は、いきさつを説明した。
「しかし……」
「あなただってそうじゃない」
私は、疑問を投げかける銀髪の少年の後ろを見た。そこには、右手を包帯で吊った、痛々しい銀髪の少女の姿がある。
「そりゃ、婚約者が大法廷で証言するってなったら、ついてこないわけには……って、あー、オリヴァーも立場的には同じになるのか?」
自分で説明していて、状況に気づいたらしい。ヴァンは首をかしげた。
私は軽く肩をすくめる。
「彼のアレはただの親切心。裏はないわ」
「マジで?」
王立学園での暴走っぷりを知っているからだろう。ヴァンどころか、後ろにいるクリスも不思議そうな顔だ。
「信じられないかもしれないけど、今回の事件くらいからつきものが落ちたみたいに冷静なの。私を助ける護衛の手が足りないからって、わざわざフランに頭をさげて協力を取り付けたりとかね」
「オリヴァーがフラン連れて助けにきたって話も、マジだったのかよ」
「今回の大法廷にも、証人として出席するって」
「えぇ……それって、どっち側で証言すんの?」
「見たままを証言する、って言ってたから、少なくとも王妃側でないことは確かね」
さっきオリヴァーから聞いた言葉を伝えると、ついにヴァンは絶句してしまった。
その気持ちはわかる。
私だって、直接オリヴァーと話してなかったら、同じ顔をすると思うから。
「あ、あの……クリス様、お加減はいかがですか?」
クリスの包帯を心配そうにチラチラ見ていたセシリアが、ついに声をかけた。クリスはいつもの調子でにこっと笑う。
「もう平気だ! 骨は繋がったし、傷もふさがってきてる。本当はもうこんなふうに腕を吊らなくてもいいくらいなんだけど……」
「殺されかけた被害者が、元気でどうするんだよ」
「……というわけだ」
婚約者にツッコミを入れられて、クリスは大仰にため息をついた。
「クリス様がお元気になられて、よかったです」
「こんなに短期間で動けるようになったのは、東の賢者殿とセシリアのおかげだ」
「わわ、わ、私は何も……」
自分の名前を出されて、セシリアはあわあわと手を振る。しかしクリスは小動物令嬢をのがさない。
「賢者殿から聞いたぞ。私に処方された傷薬は全部セシリアが調合したものだって。普通のものよりずっと効きがいい、って褒めてた」
「そそそそ、そんな、私はレシピ通り作っただけで……で、でも……クリス様の傷が、早く良くなったのなら……」
「そこはうれしい、って喜ぶところよ」
「……はい」
セシリアは真っ赤になってうつむいてしまった。
どうしよう、うちの聖女がかわいい。
ふわふわの頭を撫でちゃダメかな?
ダメだよね?
友達をナデナデしたい衝動を抑えようと葛藤していたら、また部屋のドアがノックされた。
「今度は誰だろう?」
「部外者ってわけじゃないだろ。この部屋には宰相派以外いれるなって、指示が出てるし」
入ってきたのは、ヴァンとクリスと同じ、銀髪の青年だった。






