裏切りの騎士
「なるほど……やっと合点がいったわ」
裏切りの騎士マクガイア。
彼は近衛という立場を利用して、秘密の抜け道をすべて把握していた。その娘なら、父親同様抜け道の殺人者になり得る。
「給湯器の火事もあなたの仕業ね。王宮勤めの女官なら、水回りの現場のどこにいたっておかしくない」
そうやって王宮を混乱に陥れ、警備を分断し、離宮に乗り込んできたのだ。
私をターゲットにしたのは、宰相派の中で一番殺しやすいと思ったからだろう。女の身で父様やフランに斬りつけるより、成功率が高そうだ。
「でも、ひとつだけ腑に落ちないことがあるわ。マクガイア告発の時に、一族はすべて連座で処分されたはず。娘なんて近しい間柄の人間が生き残ってるはず、ないんだけど」
マクガイアが手を染めていたのは、ただの汚職じゃない。
敵対国家アギト国と手を組み、騎士団を弱体化させた国家反逆罪だ。当然かかわった者は実際にやった犯罪が軽微でも『国家への背任』という罪状が上乗せされ、死刑に処せられる。
特に主犯の一族は、産まれたばかりの幼子も、もろともに処分されたと聞いた。
残酷かもしれないが、そうしなければならないレベルの大事件だったのだ。
「私の母との関係は隠されていたの」
「ああ、婚外子だったから、見落とされてたのね」
裕福な男性が、正式な妻以外との間に子を作る。
貴族家ではよくある話だ。
正式な契約のもと産まれていない子は、書類上他人である。
「私をその名で呼ぶな! 私と母は真実、父に愛されていた!」
そりゃ親は子供にそう説明するだろうけどさ。
「それでも、やっぱり疑問は残るわ。マクガイアの交友関係は、徹底的に調べられたはずよ。真実の愛で結ばれるほど仲がいいなら、見逃されるはずないんだけど」
「家族を亡くした私を哀れに思い、父たちの関係を示す証拠を、火にくべてくださった方がいたのよ」
「……それが王妃なのね」
マクガイアが告発された時、王妃はまだかなりの権力を握っていた。
関係者の一人や二人、かばっていてもおかしくない。
「王妃様は、私の命を救ってくださったばかりか……復讐の機会まで与えてくださった! 私は王妃様のためにも、お前たち宰相派を殺さなくてはならない」
「ふうん、そういうこと」
私は大きく息を吸い込んでから、ローゼリアの翡翠の瞳を睨みつけた。
「だったら、絶対殺されてあげない」
「言うだけは立派ね。でも、どうやって助かるつもり? 解毒薬はそう何個も持っていないでしょう。あなたお得意の魔力閃光手榴弾も、こんな狭いところで使えない。ああ……雷魔法だって無理ね。あれは相手に触れられないと発動できないはず」
ローゼリアは毒の剣を油断なく構える。
「解毒なんか、できないくらいに切り刻んでやる!」
襲い掛かってきた瞬間、私は用意していた水魔法を発動させた。
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