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【書籍⑦巻&コミック①巻、12月発売】クソゲー悪役令嬢~滅亡ルートしかないクソゲーに転生したけど、絶対生き残ってやる!  作者: タカば
悪役令嬢は王宮で過ごしたい

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王都被害状況

「まず王都の被害状況だな」

「宰相閣下のおかげで、危機的状況は防げたって聞いたけど」


 私の言葉に、ケヴィンは軽く肩をすくめる。


「地震規模の割に、びっくりするくらい被害は少なかったそうだよ。でもゼロだったわけじゃない」


 王立学園からも、王都が燃える様子は確認できてたもんね。


「道幅が広い高級住宅地は無事だったんだけど、建物が集まってる下町が大きな打撃を受けた」


 ファンタジー世界に、現代日本のような建築基準法は存在しない。経済的な理由で、庶民向けの住宅街はどこも四階建てから五階建ての家がぎゅうぎゅうに詰まっている。道幅は狭いし、建物の作りだって粗い。そんなところで大規模地震が起きたら、どんなに行政が頑張っても被害が出てしまう。


「家もそうだけど、市場や職人街が焼けたことで、庶民向けの流通がほとんど止まっちゃった。今は国内商会が総出で復旧にあたってるそうだよ」

「ライラの実家も、大きな商会でしたわね。大丈夫でしょうか……」


 シュゼットがほう、とため息をもらす。彼女を安心させるように、ケヴィンはにこりと微笑みかけた。


「リッキネンの主な商業圏は北部だから、流通拠点の被害は少なかったみたい。王都をメインにしていた他の商会を助けて回ってるってさ」

「詳しいわね」

「北部の盟主モーニングスターは、リッキネンとつながりが深いからね」


 だから、ライラはケヴィンの婚約者だったのだ。

 残念ながら、そちらの縁はつながらなかったけど。


「流通は商会が頑張ってるとして、問題は流す物資の確保よね。王室の備蓄だけじゃ、絶対に足りないでしょ」

「そこは、各地方領主の力の見せどころだね。ハルバードを中心とした南部穀倉地帯から食料が、林業が盛んな北部地帯から建材がとんでもない速さで集められてるって」

「まるで、王都の様子を見通してるみたいだ、って噂されてるが……」


 ヴァンがテーブルに置かれたスマホを見る。


「ハルバード領のアルヴィン兄さまも、モーニングスター領の侯爵様も、スマホを持ってるわ。宰相閣下から直接支援要請を受けてるんじゃないかしら」

「手品の種はそんなところだろうな」


 明かさない主義の手品の種が!

 知られてる!


「あと、下町の情報といえば……そうだ、災害救助の現場で、アール商会の評判があがってるみたいだよ」

「兄様が?」


 突然兄の持つ商会の名前が出て私は目を瞬かせた。


「お前、妹なのに知らねえの?」

「兄様が際限なく規模を拡大していくから、事業内容を把握しきれないのよ」


 将来宰相の夫として王都で暮らすなら、必要なことだと思いますけどね?


「避難所、特に医療施設で魔力式給湯器が活躍しているんだって」

「医療現場で熱湯が使えるのは、助かるわね」

「あれは水と魔力さえあれば動かせるからな」


飲み水、包帯、医療器具、災害救助の現場は消毒が必要なものばかりだ。そこで菌を直接殺す効果のある熱湯が、薪や炭などの燃料なしに使えるのはありがたい。


「あの技術で、ひとつでも多くの命が助かるなら、こんなにうれしいことはないわ」

「まあ……それはいいんだけどよ……」


 ヴァンが複雑そうに顔をゆがめた。ケヴィンも困り顔で苦笑する。


「アール商会って、紋章にハルバードと乙女の横顔を使ってるよね?」

「それが何か?」

「人名救助の女神として、ハルバード侯爵令嬢の人気も上がってるんだよ。これほど王子妃にふさわしいご令嬢はいない、って……」


 アール商会の乙女の横顔のモデルが私だってことは周知の事実だ。

 さらに、給湯器の発案者が私だってことも有名な話だ。

 だから給湯器の紋章を見た避難民が、私を連想するのは当然の話だと思う。

 でも。


「それは心の底からうれしくないかな!」


 私は王子妃にだけはなりたくないんだってば!


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読んでくださってありがとうございます!

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