表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍⑦巻&コミック①巻、12月発売】クソゲー悪役令嬢~滅亡ルートしかないクソゲーに転生したけど、絶対生き残ってやる!  作者: タカば
悪役令嬢は王宮で過ごしたい

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

468/592

マジックスタングレネード


「これは、こう構えて……こう!」

「わかりました! こうですわね! えいっ!」


 シュゼットが的に向かって小瓶を投げた。少女の手の中におさまるくらい小さなそれは、空中でひとりでに砕けると、中庭の芝生に白い粉をばらまく。


「割と様になってきたんじゃないか?」


 小瓶の軌道を見ていたクリスが言った。

 私は落ちた粉と的の位置を見比べる。


「方向は悪くないけど、ちょっと発動タイミングが悪いわね。これだと、まだ対象から距離があるわ」

「うう……ちゃんと発動させないと、って思うと焦ってしまって」

「それは慣れの問題ね。練習用のダミーはたくさんあるから、好きなだけ試してカンをつかんでちょうだい」

「がんばりますねっ!」

「……お前ら、何やってんの」


 中庭ではしゃいでいた私たちにひややかな声がかけられた。

 振り向くと、そっくり同じ色の銀髪の少年がふたり、あきれ顔でこっちを見ている。


「ヴァン!」


 クリスがぱあっと笑顔になったかと思うと、婚約者のもとへとすっ飛んでいった。うれしそうにハグしあうふたりから一歩離れて、ケヴィンが苦笑する。


「今投げてたのって、ただの小瓶じゃないよね? 魔法薬?」

「粉自体は普通の小麦粉よ。ただ、投げた先で砕ける仕掛けは、私が持ち歩いてる魔力(マジック)閃光手榴弾(スタングレネード)と一緒だけど」


 投げ方をマスターしたら、実物をプレゼントする予定だ。


「他国のお姫様に、なんて物騒なモンの使い方を教えてるんだよ」

「今一番必要なコトじゃない」


 離宮に暮らす私たちは、敵地の真ん中で籠城しているようなものなのだ。

 自衛手段はいくらあっても足りない。


「十歳の時から私を守ってくれた護身武器よ。きっとシュゼットのことも守ってくれるわ」

「ありがとうございます、リリィ!」


 薬品の詰まった小瓶を手に私たちは笑いあう。


「離宮に引きこもる羽目になって、気が滅入ってるかと思ったら、これだよ。あ~心配して損した」

「皆様、毎日元気に過ごしていらっしゃいますよ」


 彼らを門から中庭まで案内してきたらしいタニアが、彼らのやや後ろでくすくすと笑う。


「それにしたって自由すぎねえか? ほっといていいのかよ。俺の時はやれ勉強しろ、芸事をやれ、日に焼けるな、っていちいち口出ししてきてたくせに」

「姫様方はもう立派な淑女ですもの。私が指導することなんて、何ひとつありませんわ。それよりもヴァン様、その言葉遣いは次期クレイモア伯としていささか品位に欠けるのではありません?」

「……ダチと話す時くらい、好きにさせろよ」


 クリスには指導不要と言いつつ、自分にはしっかり指導するタニアに、ヴァンが顔をしかめる。とはいえ、それで彼女を不敬と咎めないのはやっぱり、彼女が育ての親だからだろう。


「まったく、体ばかり大きくなって」

「俺は騎士修行だけで精いっぱいなんだよ。そのうえ作法だなんだと、無茶言うな」

「当然の話でしょう」

「あ、あの、タニア! ヴァンはいつもがんばってるぞ?」


 乳母と婚約者の口喧嘩が心配になったらしい、クリスがおずおずとヴァンをかばった。タニアは一瞬彼女の顔を見たあと、笑いだす。


「ふふ、わかってますよ。姫様のおっしゃる通りなのは」

「タニア……お前、クリスと俺で態度が違いすぎないか?」

「それも当たり前の話です」

「差別が過ぎる」


 なおも軽口の応酬を続けるふたりを、クリスが心配そうな顔で見比べる。

 でも、気にする必要はないと思うなー。


「みなさま、お茶の準備が整いました」


 応接室を整えていたフィーアが顔を出した。タニアはそちらに向き直る。


「ご苦労様、今朝焼いたナッツのタルトも出してちょうだい」

「む……」


 タルト、と聞いてヴァンが反応した。おや、もしかしなくても好物かな?

 タニアの指示を受けて去ろうとしたフィーアを、ケヴィンが呼び止める。


「フィーア、俺たちの手土産も運んでもらえるかな。モーニングスターの果物と、クレイモアのチーズと、それからお酒はヴァンのチョイスだっけ?」

「カトラスの十年モノな」

「まあ素敵」


 酒の銘柄を聞いて、タニアがにっこりと笑った。どうやらこちらは彼女の好物らしい。


「なんだ、結局仲がいいんじゃないか!」


 まぎらわしい、と膨れるクリスを見て私たちも笑った。



書籍⑤巻、本日発売!!

詳しい情報は活動報告とXにて!

@takaba_batake



読んでくださってありがとうございます!

もしよろしければ、広告の下↓↓↓までずずいっとスクロールしていただき、「☆☆☆☆☆」評価お願いします!

作者の励みになります~!


もちろん、お気軽な感想、ブクマ、レビューなど大歓迎ですので、よろしくお願いします!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
コミカライズ①巻12月25日発売!
https://img1.mitemin.net/dj/zl/3wkif4ur6gwvjhk43tmrckclikh6_hvt_140_1kw_17utt.jpg
書籍⑦巻12月19日発売!
if5xkaf24p7benpdg9mgb811imr4_e3n_xc_hi_f9ns.png
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ