続・押し問答
「あ……あなた方の侵入については不問とします。ですが、姫様方をこのまま庭に立たせるわけにはいきません」
ローゼリアはシュゼットに視線を移す。
「さあ、まいりましょう。新しいお部屋にご案内いたします」
「嫌っ……!」
シュゼットは、さっと私の後ろに隠れた。
「姫様、あの」
「だ……だって、あなたたち、全然なってないんですもの! お、お風呂の、段取りは悪いし、変な服を着せようとするし……その上、お部屋に突然猫が飛び込んできたんですのよ? 恐ろしくて、つつ、ついていけませんわ!」
お姫様は涙目で必死に反論する。言い分が私のセリフ丸パクりだけど、喧嘩慣れしてないお姫様にしてみたら、かなりがんばったほうだと思う。
「そ、それは必ず改善いたしますので」
「どうやって?」
横から口をはさんだら、翡翠の瞳にぎろっと睨まれた。
そんな顔されたって、もう怖くないぞー。
「具体的に説明してくれる? 根拠のない話には乗れないわ」
「それは……」
小娘が即、具体策を要求してくるとは、思わなかったんだろう。ローゼリアが言いよどむ。
こっちは十一歳の時から腹黒魔王に詰められて育ってるからね!
反論には代案を!
主張には具体性を!
仕事の基本だよ!
「まず、姫様がたにそれぞれ新しい部屋を用意させていただきます。もちろん、鳥も獣も入る余地のない、厳重な警備をしいたお部屋です」
「この期に及んで、なにシレっと私たちを別にしようとしてるの。シュゼットは、不安だから私たちと離れたくないって再三言ってるでしょ。全然配慮が足りてないわ」
「……皆様で過ごせるお部屋にいたします」
「害獣対策も足りないわよね。警備を厳重にするって言葉だけじゃ、やっぱり具体性に欠けるもの。最低限、部屋で暴れた猫を捕まえてくるくらいは、してくれなくちゃ」
まあその猫は、侍女の姿で私の後ろに控えてるから、どんなにがんばったって、つかまらないんだけど。
「わかりました。猫はかならずとらえます! ですから今は」
「もういい」
低い声が反論を遮った。
「お前たちはシュゼット姫様たちに無礼を働いた。これ以上、関わらせられない」
「だったらどうされるのです? 現実問題、どこかでもお部屋に案内しなければ、シュゼット姫を休ませて差し上げることができません」
問題はそこなんだよね。
宰相側の準備が整ってない。マリィお姉さまが超がんばってくれてるはずだけど、全部手配するにはまだ何日かかかる。
「あなたこそ、提案に具体性がないんじゃありません?」
「まあまあ、しばらく見ない間に元気な女官が増えたこと」
フランとローゼリアのにらみ合いを遮ったのは、のんびりとした声だった。そちらを見ると、上品なご婦人がひとり、こちらに向かって歩いてきている。
……ええと、どなたさま、ですか?!
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