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【書籍⑦巻&コミック①巻、12月発売】クソゲー悪役令嬢~滅亡ルートしかないクソゲーに転生したけど、絶対生き残ってやる!  作者: タカば
悪役令嬢は王宮で過ごしたい

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最終目標

「叔母様は……何を考えているのかしら」


 毒だらけの小物を見つめながら、つぶやいた。クリスは不思議そうに首をかしげる


「毒だし、私たちを殺したいんじゃないのか」

「それだけではない気がするのです。リリィも言ってたじゃありませんの。ここで起きたことは、すべて叔母様のせいになると。今ここで私たちが死んだら、叔母様は確実に責任をとらされますわ」


 祖国に会いたい人がいる王妃は、己の命に固執している。自分が処罰される危険は冒さないだろう。どんなに悪意ある陰謀であっても、逃げ道を確保したうえで実行する。そんな彼女が直接殺しに来るのは不自然だ。


「目的は別にある? ……でも、毒は毒だし」


 害意があるのはわかる。

 でもその結果、彼女は何を成し遂げたいのだろうか。

 考えろ。

 王妃は頭のいい女性だ。

 思いつきで行動したりしない。

 その裏には必ず論理的な思考が存在する。


「多分……彼女の望みは、この場での殺害じゃない」


 しばらく考えて出した私の結論に、シュゼットが顔をあげた。


「理由は?」

「即効性がない。この場にある毒はすべて、常用することでじわじわ体をむしばんでいくタイプだわ」


 だからこそ、規制されず市場に出回ってるんだけど。


「なるほど。では、私たちが何も気づかずドレスを着て接待を受けたとして……その後どうなると思います?」

「少しずつ体調不良を訴えるようになるだろうね。でも、災害で疲れ切ってるから、ただの病気か、王妃の接待のせいなのか、区別がつかない」

「じわじわ弱らせてから、殺す?」


 話を聞いていたクリスの出した結論を、私は首を振って否定する。


「それも違う気がする」

「……むう。それにも理由があるんだろうな?」

「もちろんよ。出発する前に宰相閣下が言ってたじゃない、マリィお姉さまが新しい女官と住居を用意してるって。微毒でじわじわ殺すには時間が足りないの」


 宰相家は私たちを放置しない。それは王妃だってわかってるはずだ。


「回りくどい……! 殺したいならいっそ目の前で斬りつけてくれば楽なのに!」

「それやったら、自分の身が危うくなるからねー。王妃としては自分の管理下にないところで、ひっそり死んでくれるのが一番なんじゃない」

「……そうですわ、それですわよ!」


 シュゼットが突然声をあげた。

 いつもおしとやかな彼女らしくない言動に、私もクリスも目を丸くしてしまう。


「な、なにごと?」

「それですわよ! 叔母様は、自分の責任の外で私に死んでほしいのですわ」

「ごめん、私もちょっと何がなんだか」

「リリィが言ったんじゃありませんの。数日後には移動が決まっていると。そこが大事なのですわ!」


 王妃の手から逃げ出すことが大事とは、これいかに。

 だめだ、まだよくわかんない。


「いいです? もし、叔母様の手を離れたあと、宰相閣下のもとに移動した直後に私が毒の症状で死んだら、みなさんどう思われますか?」

「宰相が殺したと思うわね……」


 私はドレスと化粧品を見る。

 これらはレンタル品じゃない。

 日用品を丸ごと失ったかわいそうな少女のために、用意されたプレゼントだ。もし悪意にも毒にも気づいてなければ、移動先でも使い続けただろう

 その先でシュゼットが中毒死したとして。

 まず犯人として注目されるのは死亡時の管理責任者。つまりマリィお姉さまと宰相閣下だ。


「キラウェアの末姫が、留学中のハーティアで宰相に殺された。そうなったら、叔母様はお父様……国王陛下に嬉々として進言するでしょうね。『娘を殺したハーティアに正義の鉄槌を!』と」


 シュゼットの父親は先代国王と違って穏健派だと聞いている。実際、ハーティアから技術提供が始まって以降は、外交に力を入れているから、利のない戦争は仕掛けない主義なのだろう。

 しかし、彼はゲーム内の歴史でハーティアに攻め込んでいた。おそらく利があれば戦争をしかけるタイプなのだ。

 そんな人物が娘を殺されて黙っているとは思えない。

大規模地震で不安定になっているハーティアに、怒りに燃えるキラウェア軍が攻め込んできたらどうなるか。考えるだけでも恐ろしい。


「ますます、のんびりしてられないわね」


 王妃の目的は間接的な殺人だ。

 早々にフィーアと合流して逃げ出さなくては。

 逃げ道を探して、部屋を見回していると、脱衣所のドアがノックされた。


読んでくださってありがとうございます!

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