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【書籍⑦巻&コミック①巻、12月発売】クソゲー悪役令嬢~滅亡ルートしかないクソゲーに転生したけど、絶対生き残ってやる!  作者: タカば
悪役令嬢は領地で暗躍する

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襲撃者

「ディッツ」


 私たちは事前の取り決め通りに、そろそろとディッツの周りに集合した。彼は私たちをそっと茂みの中に隠してから、油断なく崖の上を見つめた。


 人影たちは、争っているようだった。

 さっきの叫び以外にも、何度か相手を罵倒するような声が響いてくる。


「大丈夫だ、ここで静かにしていれば、あいつらには見つからない」


 私を守るように構えながら、ジェイドもこくこくと頷く。


「あいつらは何者なの? あの辺りには街道もなかったはずよね?」

「や、野盗の、仲間割れ、とか?」

「……それにしては、身なりのいい奴が混ざってるな」


 見ているうちに、人影同士の立ち位置がなんとなくわかってきた。黒装束の男4人が、身なりのいい青年1人を取り囲んでいるのだ。身なりのいい青年は腕が立つみたいだったけど、相手が4人もいるせいで、じりじりと崖っぷちに追い詰められていく。


 ……え、あれ大丈夫なの?

 放っておいたら、殺されるんじゃない?

 このまま見ていていいの?


 ディッツを見上げると、彼は首を振った。

 行くな、という意味だろう。


 でも、このままじゃ、彼は死ぬよね?


 すうっと手の先が冷えていく。目の前の、どうしようもない悲劇が止められない。

 ただの子供で、ろくな魔法も何も使えない私では、見ていることしかできない。


 ガキン! という金属のぶつかる嫌な音がして、青年が黒装束の男に武器ごと押された。

 その一瞬で、彼はバランスを崩して、背中から崖の下へと落下する。


「やっ……!」


 思わず飛び出そうとした瞬間、ディッツの大きな手が私の口を塞いだ。さらに、もう一本の手が私の体を力いっぱい抱きしめる。ジェイドも私の体にしがみついてきた。


「……んー!」


 私がただ見ている目の前で、青年の体は大きな水柱をたてて川の水に突入した。あの高さでは着水の瞬間、相当な衝撃があったはずだ。すぐに引き上げないと、彼が死んでしまう!


「こらえてくれ、お嬢。崖の上の奴らは玄人の傭兵だ。戦いはからっきしの俺と、子供ふたりが助けに入ったところで、全員殺されるのがオチだ」

「んんん!」


 だからって、彼を見捨てろっていうの?


「何も見殺しにしろとは言ってない。落ちる瞬間に、最低限の守りの魔法と目くらましの魔法をかけておいた。傭兵が捜索を諦めるまで待てば、救助できる」


 でも!


「頼む……俺はあんたを死なせるわけにはいかないんだ」

「……お嬢様!」


 もー、あんたたちふたりに懇願されたら、振りほどけないじゃないのー!!


「大丈夫だ。戦闘はポンコツだが、治癒術にはちょっと自信がある。生きてさえいれば、あの兄ちゃんを絶対に救ってやるよ」


 こく、と頷くと、やっとふたりが私を拘束する手がゆるんだ。3人で抱き合ったまま、黒装束の男たちが去るのを待つ。

 焦燥感でじりじりとしながら、太陽が傾くまで待っていると、ようやくディッツとジェイドの警戒がとけた。


「もう……いなくなったよ」

「た、助けに行っていいわよね!」


 私は焦りで転びそうになりながら、川へと向かった。

 ディッツが目くらましの魔法を解除すると同時に、川べりに男の人がひとり倒れているのが見える。

 その顔を覗き込んで、私は思わず息をのんだ。

 水に濡れたまっすぐな黒髪。血の気がひいて青ざめた頬に特徴的な泣きボクロ。意識のない今は瞼が閉じられているけど、その奥の瞳は美しいサファイアブルーのはず。


 彼は、攻略対象のひとり、フランドール・ミセリコルデだった。





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