撃墜事件
「は……え? ドローンが撃墜……?」
私は、白猫の報告が信じられなくて思わずスマホを握り締めた。
神の作り上げた管制施設に保管されていたドローンは、現代日本で使われていたものよりずっと高性能だ。命令したら、勝手に目的地まで飛んで行って仕事をしてくれる設定になっている。もちろん障害物だって自動で避けてくれるはず。
それを、誰かが撃ち落とした?
「敵襲か?」
クリスがさっと顔色を変える。
まさか、ドローンがユラに気づかれた?
それもこんなに早く?
しかしもちおは白くてぷくぷくの前脚をぶんぶんと左右に振った。
「違います! 撃ち落としたのはハルバード侯爵です」
「お父様?!」
「ドローンを不審物と認識したようで、攻撃されてました」
「お父様あああああぁぁぁ……」
ドローンはファンタジーなこの世界の人々にとって未知のアイテムだ。あれを機械でと認識する人間はおそらく存在しない。空を飛ぶ異質な姿を見て、誰かが飛ばした『使い魔』と思うのが普通の感覚だ。
多分敵対勢力が放った刺客だと思ったんだろう。
この災害時に空を飛ぶ不審な影は、警戒対象だと思いますが!
だからって、いきなり処分しないでください!
「代わりのドローンを派遣することも可能ですが……」
「今はやめて。また撃ち落とされるだけだわ」
お父様は野生動物じみた勘で動くところがある。
一度不審だと判断したものを見逃したりしない。何度代わりを送り込んだところで、全部切って捨ててしまうのがオチだ。そんなもったいないこと、してられない。
「とはいえ、どうする? ドローン抜きでは渡す方法がないんじゃないか」
クリスがむう、と口をとがらせる。
問題はそこだ。
私たちは今、生徒全体を守るために王立学園に籠城している状態だ。部外者が入り込めないかわりに、私たち自身も外に出ることができない。ドローン以外の方法で、スマホを外に持ち出すのは無理だ。
「ハルバード侯に通信端末をお届けするのは控えますか?」
「う~ん、せっかくだから宰相閣下と楽に連絡とれるようにしてあげたいんだよね」
ふたりは行政と武力のトップだ。
彼らが伝令を使わずに連絡を取り合えたら、動きやすくなるはず。
「そういえば宰相閣下には渡せたのか?」
クリスが尋ねる。もちおはこくりとふわふわの頭を縦に振った。
「はい。ドローンや通信機器の姿に多少驚かれていましたが、リリアーナ様のお名前を出して説明したところ、ご納得いただけました」
「そこ、私の名前なの? 息子じゃなくて?」
声をあげる私を見て、クリスが笑い出した。
「宰相閣下の周りで奇跡を起こしているのは、だいたいリリィだろうからな」
「ご主人様のご活躍が評価されているのは、よいことだと思います」
「なんか、納得いかない……!」
とはいえ、宰相閣下にスマホが届いているのはいい知らせだ。この際だから、利用させてもらおう。
「もちお、宰相閣下にコールして」
機械が使えないなら、人力で!
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