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【書籍⑦巻&コミック①巻、12月発売】クソゲー悪役令嬢~滅亡ルートしかないクソゲーに転生したけど、絶対生き残ってやる!  作者: タカば
悪役令嬢は大災害を生き残りたい

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アイテム配布

「リリィ、これは何なんだ?」

「通信機の一種? これを持ってる人間同士で話したり、情報を共有できたりするの。えっと……ドローンの映像は……」

「こちらのドローンアプリになります」


 白猫に教えられるまま、私はアイコンをタップする。

 ドローンの現在位置を示す地図と一緒に、映像が表示された。フランは画面を覗き込んでふむ、とうなずく。


「この道具を介せば、外でも一部の機能が利用できるのか」

「ドローン以外にもいろいろあるみたいね。カメラにメッセに……ゲームアプリまで?」


 画面をスクロールすると、カラフルなアイコンが数えきれないくらい出てくる。ぱっと見ただけじゃ、全部の機能を把握しきれない。


「スマホを使ったことのある私でも、わからないアプリが多いわね。使い方はもちおが全部ガイドしてくれるのよね?」

「もちろんです」


 こくこく、とガイドAIはうなずいた。


「この世界に電源とかないと思うんだけど、動力はどこから?」

「魔力循環式です。持ち主が身に着けていれば、そこから微弱魔力を電流に変換して充電できます」

「高位貴族はほぼ全員魔力持ちだから、持ってるだけで半永久的に動くのね。なにこの夢のアイテム」

「……よくこんな便利な道具がぽんぽん出てくるな。いくら邪神との戦いが予言されてたからって、用意しすぎじゃねーのか」

「そもそも『乙女の心臓』運用には、関係者同士の密な連絡が必要ですから。これでもまだ設備機能のほんの一部ですよ」

「えぇ……」


 ひとつで戦略の概念をひっくり返すようなアイテムが次々に出現したというのに、これでも一部と聞いてヴァンが頭を抱えた。フランも無表情のままだけど、くっきりと眉間に皺が寄っている。気持ちはわかる。私も全部はついていけてない。


「いきなりシステムまるごと渡されても扱いきれないだろうし、今は端末だけで十分だわ。これって三台しかないの?」

「こちらの在庫は50台ですが、『乙女の心臓』側には1000台以上備蓄されています。機能がフル稼働すれば、追加生産も可能です」

「だったら、今ここにいない、ケヴィンやクリスも使えそうね。……ダガー家の血族だから、ジェイドにも渡せるかな」

「……ここにアクセスしたことのない、勇士の末裔にも配ることはできるか?」


 手の中でファンタジースマホを弄びながらフランがたずねた。


「セシリア様から一部権限を委譲されている、リリアーナ様が登録許可すれば可能と思いますが」

「誰に渡したいの?」

「まずは宰相として災害対応をしている父だな。それと、騎士団長であるハルバード侯」

「指揮官が災害現場をリアルタイムで把握できたら楽よね。私が許可して、ドローンに運ばせればアリかな?」

「だったら、クレイモアのじいさんにも渡せねえか?」

「国境を守護している辺境伯と連絡が取れるのは、助かるけど……王都にいる父様たちはともかく、クレイモア伯って、領地にいるはずよね? そんな遠くまでドローンが飛んでいけるかな」


 私の記憶が確かなら、ドローンのバッテリーはさほど長くもたなかったはずだ。

 しかしもちおはきりっとした顔で断言する。


「ハーティア国内であれば、配達可能です」

「さすが神造兵器……」


 もう細かいことは考えるだけ無駄な気がしてきた。


「だったら、アルヴィン兄様と、ケヴィンのおばあ様であるモーニングスター侯爵にも渡しましょう」

「カトラス家のダリオも該当者でいいんじゃないか」


 フランが赤毛の濃いめイケメンの名前を出す。


「白銀の鎧を動かすってなったら、『カトラス』のパイロットはどう考えてもダリオだもんね……」


 カトラス家は六人兄弟だけど、国外に留学中のルイスをのぞけばあとは全員小さな子供だったはずだ。戦える血族は彼しかいない。


「同じ勇士家の当主でも、ランス伯爵はナシだな。あいつに渡したら即王妃側に渡るぜ、賭けてもいい」

「言われなくてもやらないわよ」


 ランス伯爵は、腹黒王妃を王室に引き入れた諸悪の根源だ。彼にこんな強力すぎる超兵器を渡すわけにはいかない。かろうじて、ヘルムートの兄、伯爵家長男が父様の部下として教育されているけど、彼がどれだけ信用できる騎士になるかは、まだ未知数だ。

 ラスボスとの決戦時に、断絶したはずの『ダガー』の鎧があるのに、『ランス』の鎧はない、という事態も十分ありうる。


「あと残っている血族というと……ヘルムートとか?」

「あいつもナシだろ。信用度でいったら、父親とほとんど変わんねーぜ。だいたい、一緒にいる王子に何て説明するんだよ」

「オリヴァーはそもそも、王家の血を引いてないもんね……」



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