救援
「ヴァン、ケヴィン!」
ドリーと一緒に門に向かうと、そこにいた生徒たちの視線が私たちに集まった。とはいえ、全員と話すわけにもいかないので私たちは銀髪の少年ふたりに声をかける。
「お前ら無事だったか……って、ええと」
「私も無事だ」
私の姿を確認したあと、さらに奥を見ようと視線を上げたヴァンに向かって、クリスが声をかけた。走ってきて私の隣に並ぶ。
婚約者の無事を確認して、ヴァンはほっと息を吐いた。
ケヴィンが困り顔で私を見る。
「リリィ、そんな格好で出てきていいの?」
「しょうがないじゃない、緊急事態だったんだから」
今の私は寝間着の上からドリーのマントを羽織っているだけの姿だ。本来、侯爵令嬢が男子の前でしていい格好じゃない。
「着替えも何もかも、全部瓦礫の下だからな……」
制服姿のクリスが肩をすくめる。彼女が着替えていてくれたのだけが、不幸中の幸いだ。お姫様まで下着姿では、対応に困る。
「女子寮のほうからものすごい音がしたから来てみたんだけど、何が起きたの?」
ケヴィンが首をかしげた。
女子寮は基本的に男子禁制で、さらに中を覗けないよう目隠しの壁と魔法で囲ってある。門前にまで来なければ、中の様子はわからないのだ。
「さっきの地震で、女子寮の建物が全部崩れちゃったのよ」
「あれが? 全部?」
私の報告を聞いて、集まってきていた男性陣は全員ぎょっとした顔になる。
「安心して、すぐに避難したから全員無事よ。そっちの状況は?」
反対に尋ねたら、ケヴィンがにこりと柔らかくほほえんだ。
「男子寮は無事だよ。生徒のほとんどは、災害救助方針にそって動いてる」
軍は災害救助も仕事のうちだもんね。まだ学生だけど、騎士科生徒も対処方法を知ってるはずだ。
「ただ……全員の安否確認にはちょっと手間取ってる」
ヴァンが顔をしかめた。
「女子生徒と違って、男子は結構融通がきくからな。門限無視して研究室に泊りこんでる奴や、夜も明けないうちから鍛錬始めてた奴とかがいて、全員揃わねえんだ」
「それは心配ね……」
「まあ、それでも建物全部が崩れた女子寮よりはマシだ」
「俺たちとしては、すぐにでも女子寮の救助に入りたいところだけど……」
ケヴィンが遠慮がちに視線を私に向けてきた。私は相変わらず、寝間着にマントを羽織っただけの状態だ。
「いきなり男子生徒を入れるのは無理ね。着の身着のままで何も持たずに出てきたから、ほぼ全員寝間着姿なのよ」
淑女のあられもない姿を見た、見ない、であとあと問題になるのは避けたい。
「当面の安全は確保できてるから、まずは避難先と着替えの調達をお願い。男物でもなんでもいいから」
「わかった。用意しよう」
一緒に聞いていた男性教師のひとりが頷いた。
「あとは……」
「リリアーナ!」
相談していたら崩れた女子寮のほうから、声がかかった。振り向くとミセス・メイプルがこちらにやってくるところだった。誰かに手当してもらったんだろう、さっきまで血を流していた寮母の額には包帯が巻かれていた。
それはいいんだけど。
「あなた、何をやってるんですか」
あれ? 寮母を怒らせるようなこと、やったっけ?
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