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【書籍⑦巻&コミック①巻、12月発売】クソゲー悪役令嬢~滅亡ルートしかないクソゲーに転生したけど、絶対生き残ってやる!  作者: タカば
悪役令嬢はお茶会デビューしたい

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目的を整理しよう

「まずは、目的を整理しましょう」


 兄様は私たちの前に手を出すと、指を三本立てて見せた。


「現在の父様たちの目標は、社交界で味方を増やすこと、俺の王立学園復学、リリィのお茶会デビュー。このみっつですね」

「ああ、そうだな」

「これを、社交界で味方を増やす、のひとつに絞ります」


 兄様は中指と薬指を折り曲げる。立っている指は、人差し指一本になった。


「しかし、それは……」

「父様も母様も、精一杯頑張ってくれているのは知っています。しかし、この状況であれもこれも、と手を出せるほど、おふたりとも器用ではないでしょう」

「う」


 父様の顔が引きつる。しかし、冷静に状況を分析する息子は引き下がらない。


「でも、あなたたちの問題を放置するわけには」

「放置しても大丈夫だから、言ってるんです。俺は、もうすでに父様の後を継いで侯爵になることが決まっています。1年くらい学校の卒業が遅れたところで、将来に大きな影響は出ません。それに、リリィ……お前のお茶会だって別にいいだろ?」

「ええ! 私はまだ11歳だもの。正式な社交界デビューまでには、まだ時間があるわ」


 一年の足踏みは痛いが、どっちにしろ両親の問題が片付かないことには何もできない。


「元々俺たちの問題は、ふたりに社交界の味方が少ないことに起因しています。状況が安定すれば、自動的に解決する可能性が高い。まずは目の前のことから片付けましょう」

「わ……わかったわ。でも、その間あなたたちはどうするの? ずっと屋敷に引きこもっているわけにはいかないでしょう」

「ふたりで、ハルバード領に戻りますよ」


 兄様はさも当然のように答えた。

 えーと、ふたりで、ってことは私も一緒ってことだよね?

 子供だけでハルバード領に行くって言ってる?


「王都は人が多く、貴族が賊を雇って差し向けやすい。それよりは、昔からうちに仕えてくれている兵や使用人が守りを固めている、ハルバード城のほうが安全です」

「でも……家族が離れるなんて」

「俺も自分の考えが最善だとは思いません。良い代案があれば従いましょう」


 反論しようとして、母様は沈黙した。

 それ、『他に案がないなら、黙ってろ』って意味だよね……。家族を溺愛してる母様を説得するには、強い言葉が必要とはいえ、兄様は手厳しい。


「わかった、アルヴィンの提案を受け入れよう」


 父様が、重々しく口を開いた。


「アルヴィンとリリィはハルバード領に。私たちは王都に残って、社交に集中する」

「坊ちゃまたちには、誰を同行させましょうか」


 事務的な話、と判断して執事が口をはさむ。


「護衛として、信頼できる騎士を何人かつけてくれ。家庭教師の賢者殿と、ジェイドも一緒だな。クライヴ、お前はここに残れ。領地の管理はともかく、繊細な社交ごとはお前のサポートがなければ回らない」

「かしこまりました」


 す、と執事が下がる。

 父様は顔を上げると、兄様を見つめた。


「いつの間にか、親に意見ができるほど大きくなっていたんだな……」

「ええ。ですから、頼ってくれていいんですよ」


 家族を背負って立つ者、そしてこれから背負うことになる者。両者の視線がぶつかりあう。


「ならば、お前にひとつお願いだ。妹を……リリアーナを守ってくれ」

「はい、必ず守ります」


 兄様は胸を張って宣言した。




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