聖女の秘密
「私の秘密って、どういうことですか……」
セシリアを私の寝室に連れてくると、彼女はおどおどと辺りを見回した。その様子は相変わらず警戒する小動物っぽい。
「貧乏子爵家の私に、大した秘密はないですよ?」
「あるでしょ、人に言えない秘密がたくさん」
私が言い切ると、セシリアはびくっと体をすくませた。
「その中でも私が一番知りたいのはあなたの前世。セシリア、あなた転生者でしょ」
「テンセイ……シャ?」
「セシリア・ラインヘルトとして生まれる前の話よ。あなた、現代の日本人として生きた記憶があるんじゃないの?」
さあっとセシリアの顔が青ざめた。
「ど……どうしてそう、思うんですか……」
「言動から、なんとなくね。あなた、私が意地悪な悪役令嬢としてふるまってないことに驚いてたでしょ。それに、クリスが本物の女の子だってことにも驚いてた。…ジェイドを見た時もそう。あなた、彼のことを『師匠を亡くして狂った死霊術師』だと思ってなかった?」
「……っ」
「だから、あなたのことを転生者……それも女神の作った乙女ゲームをプレイしたことのある子だと思ってたんだけど。違う?」
彼女は、私が介入して捻じ曲げた運命を見て、いちいち驚いていた。
女子会の時もそうだ。
セシリアはフランの名前を聞いて「宰相の」と言っていた。それは家族を失い宰相になった運命を知っていたからこそ出た言葉ではないだろうか。
聖女は転生者で、女神の乙女ゲームプレイヤー。
そう考えれば、彼女のちぐはぐな言動に納得がいく。
「正体を知って利用しようとか、そういうんじゃないの。私も転生者だから、転生者同士協力できたらいいなって思って」
「リリィ様が転生者……?」
「侯爵令嬢として産まれる前は、日本で高校生やってたわ。病弱すぎて18歳で死んじゃったけど」
セシリアはごくりと喉を鳴らした。声を震わせながら、言葉を紡ぐ。
「もしかして……天城、小夜子さん……?」
「私の名前を知ってるってことは、知り合い? 身近で転生した人がふたりも出るなんて、どういう人選してたんだろ」
「い、いえ! 違います! わ、わわわ……私は転生者ではありません」
しかしセシリアはふるふると首を振った。
「私が、私として生きた記憶は一度きり……このセシリア・ラインヘルトとしての人生だけです。他の人として生きたことはありません」
「だったらどうして……」
「わ、わわ、私は……プレイ動画民なだけですから……!」
「はい?」
なんだその現代日本ワード。
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