SE・I・ZA
人間、予想外の光景を見ると、脳が処理を拒否してくるものである。
私はミセリコルデ家の応接間に足を踏み入れた瞬間、状況が理解できなくて固まってしまった。
モーニングスター家の騒動を片付け、さあ帰ろうという時に受け取ったマリィお姉さまの呼び出し。とにかく至急来いという内容だったから、自宅に寄らずそのままミセリコルデ家に直行したんだけど。
護衛は置いてひとりで応接間に入るよう指示されて中に入ったら、目を疑うような光景が私を出迎えた。
「いらっしゃい、リリィちゃん」
マリィお姉さまはいつものように美しく笑っている。
しかし足元がいただけなかった。そこには大の男がふたり並んで正座させられていたのである。
ひとりは彼女の弟であるフラン、そしてもうひとりは私の兄アルヴィンだ。
フランはともかく、なんで兄様がここに?
領主のお仕事のために、ハルバード城にいるはずだよね?
あそこから王都まで何キロ離れてると思うの?
しかも、なんでふたりして正座?!
ほぼ罪人扱いだよね?
何の罪でこんなことさせられてるの?!
「マリィさん、犯人を捕まえたって書いてありましたけど……このふたりが何かしたんですか?」
「ええ、とっても悪いことをしたから、呼び出してお仕置き中なの」
ふふふ、とマリィお姉さまは笑っているけど、フランと兄様は無表情で俯いている。
フランが今日のモーニングスター家大掃除ショーに来なかった理由はこれか。
マリィお姉さまに捕まったんじゃ、家を出られないよね。
……マジで何やったの、ふたりとも。
「ちょっと前に言ったでしょ? あなたはすごい子だけど、こんなに両極端な噂がいくつも飛び交ってるのは異常だって」
そういえばそんな話もあったな。もともと目立つのは自覚してたから気にしてなかったけど。
「あなたの悪評を流したのは王妃様だけど、反対にあなたがすばらしい、っていう噂を流した犯人はアルよ。共犯がフラン」
「兄様?!」
私は思わず兄様を見た。
「どうしてそんなことしたの?! 私の評価を上げても、何もメリットがないじゃない!」
「妹のほうがデキがいいなんて噂、自分が侯爵位を継ぐのに邪魔でしかないわよねえ……」
私たちふたりに詰め寄られて、兄様は正座の姿勢のまま苦笑する。
「実は、ハルバード家を出ようと思って」
「へ」
それは青天の霹靂だった。
兄様がハルバード家を出る。
それはゲーム内でも起きた出来事だ。兄様は行動次第では私たちを捨ててどこかに行ってしまう。
世界を救う一員とするために、いやそれ以上に大事な家族だから離れてほしくなくて、私は自分を変え、家族を変えた。
そのはずだったのに、兄様がまた家を出る?
筋書きを変えたはずなのに、また運命が元に戻るなんて。
それじゃ、私がやってきたことって何だったの?
「兄様……私たちのこと、嫌いになったの?」
全部無駄だったの?
私はへなへなと兄様の前にへたりこんだ。
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