ケヴィン君と三人の婚約者たち
お茶会に参加した私は、早々にぼっちと化していた。
次期モーニングスター侯爵のエルマ様、つまりケヴィンのお母様に挨拶したところまではよかった。マリィさんに紹介してもらって、『あら、賢そうな子ねえ』とか社交辞令をもらって、大人たちに当たり障りのない挨拶をして。
一通りの儀式をこなして、子供たちが集まってるエリアに足を踏み入れたとたん、即ぼっちである。
右を向いても左を向いても、交流できる相手がいないんですけどぉおおおおお!!!
視線を向けたら、みんなそそくさと距離を取るんですが!
近寄ろうとしたら、みんなすすすっ、って同じ距離を取ったまま移動するんですが!
誠実なふるまいって、どうすればいいんですかねえええええ!!!!
ぼっち!
圧倒的ぼっち!!
これはさすがに寂しくなっちゃうぞー!!!!
「どうしたの?」
途方にくれていると、横から声がかかった。
そちらを向くと銀髪の少年が立っている。ケヴィンだ。
「あ……あはは……一緒にお茶を飲む子が見つからなくて」
「そういえば、王妃様のお茶会でもひとりでいたよね」
笑顔だけど、彼の声音は心配そうだ。お茶会でひとりぽつんと立っている姿が、放っておけなかったらしい。これは怪我の功名というやつだろうか。
元々の目的は彼なので、私も笑い返す。
「どうやら、みんなに怖がられちゃってるみたいなのよ」
「変なの。こんなにかわいいのに」
ケヴィン、そういうとこやぞ。
さらっと初対面で『かわいい』が出るからチャラ男になるし、女の子が寄ってくるんやぞ。
今回は好都合だからつっこまないけど。
「ありがとう。せっかくだし、何かお話しましょうよ」
「じゃあハルバードのことを教えてよ。俺、南のほうへは行ったことないから」
「領地が王都を挟んで正反対にあるものね。私も北の生活には興味あるわ」
「北は雪ばっかりだよ?」
「でもそれが……」
「ケヴィン様! そちらのかわいい方はどなたかしら」
ケヴィンと話していると、また別方向から声がかかった。
そちらを見ると、女の子が三人そろって立っている。それぞれの顔と名前は一致しないけど、どういう立場の子なのかはわかる。ケヴィンの婚約者たちだ。
ケヴィンが新参者に声をかけているのを見て、やってきたっぽい。
「ハルバード侯爵家のリリアーナ嬢だよ。ええと、この子たちは……」
「ケヴィン様の婚約者のエヴァ・オルソンですわ」
背の高い少女がおしとやかにお辞儀した。立ち振る舞いが美しく、ザ・お嬢様といった品格がある。フラン担当の身上調査によると、彼女の実家は子爵家。古くからモーニングスター家に仕えている一族だ。ケヴィンより3つ年上らしい。
「私が、ケヴィン様の婚約者のライラ・リッキネンよ」
自己紹介しながら、じろっと睨まれた。私の婚約者にちょっかいかけないでよ、という主張みたいだ。彼女の実家に爵位はない。しかし、その父親は王都で食品を手広く扱うリッキネン商会の会長だ。下手な貧乏貴族よりもよっぽど裕福なお嬢様である。実際、3人の中では一番高価なドレスを着ていた。宝飾品も一級品だ。
「……ケヴィン様の婚約者の、フローラ・ベイルマン……です」
一番小柄な女の子が、ぼそぼそと自己紹介した。ちょっと引っ込み思案な子らしい。でもふわふわのプラチナブロンドで、ふわふわのドレスを着た姿はお人形さんみたいでかわいい。彼女の実家は領地に豊かな森を持つ北部の伯爵家だ。彼女はケヴィンより3つ年下らしい。
年上のお姉さまエヴァに、同い年で気の強いライラ、引っ込み思案な妹キャラのフローラ。
ハーレムラノベのヒロインだったら、なかなかいいバランスの配置だ。
この3人全員と結婚とか、人によってはめちゃくちゃ羨ましい立場なんじゃないかな。
でも、3人だけで満足してちゃだめだぞー。
「初めまして、皆さま。リリアーナ・ハルバードよ。私もケヴィン様のことが気に入ったわ。今後も『末永く』仲良くしてもらえると嬉しいわ」
そう言ってにっこり笑うと、びきっ、と空気が固まった。
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