表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍⑦巻&コミック①巻、12月発売】クソゲー悪役令嬢~滅亡ルートしかないクソゲーに転生したけど、絶対生き残ってやる!  作者: タカば
悪役令嬢は闇オークションに参加したい

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

160/592

サプライズ

「お次はこちら、異国の歌を奏でるカナリアでございます!」


 オークショニアが商品を紹介すると、会場がどよめいた。舞台の上には、美女を閉じ込めた大きな檻が置かれている。恐らく外国人なのだろう、ハーティアでは滅多にお目にかかることのない、褐色の肌が美しい女性だった。彼女は日本の琵琶に似た楽器を抱えて、ぐったりと力なく座り込んでいる。


 何度かの激しい競り合いののち、バルコニー席の貴族が勝者となった。

 嬉しそうにガッツポーズを決める貴族とは対照的に、女性の顔が絶望に染まる。貴族のおもちゃになることが確定した女性は、死人のような顔色で運ばれていった。


「さて今度は……」


 しかし、彼女の絶望などお構いなしにオークションは続く。

 次から次へと、檻に入れられた人間が運ばれてきて、値段がつけられていく。


「サヨコは檻の中の商品に興味はないので?」


 オークションが人身売買へと移行してから、ずっと黙っている私にダリオが声をかけてきた。


「興味があるかないか、って質問だったら、興味はおおありよ。全部買い占めたいくらい」


 そして、全員を救いたい。


 売られている人たちの肩書はどれも立派なものだった。恐らく、誘拐されてくるまでは、地元で一目置かれる存在だったのだろう。誰も彼も、現在の境遇を受け入れられずに、茫然としていた。

 叶うなら、全員ここから連れ出して、故郷に帰してあげたい。


「でも、そんなの無理よね?」


 現在の私は、客のひとりでしかないからだ。


「ええ。金がいくらあっても足りやしないでしょうね」


 実は、金だけの問題ならどうとでもやりようがある。

 ハルバードの財力をフル活用すれば、会場の買い占めだってできない相談じゃない。しかし今彼らを救ったからといってどうなるだろう?

 組織が残されたままでは、第二第三の闇オークションが開かれて、新しく不幸な人が売りに出されるだけだ。ハルバードがいくらお金持ちだといっても、開催されるたび人を買い続けられるほどの財力はない。お金が尽きれば、そこでおしまいだ。

 人を売らせないためには、人身売買組織そのものを破壊する必要がある。


 そして、組織を破壊するためには、どうしても『潜り込んで把握する』という過程を踏まなければならない。工作活動をしている間は、誰がどう売られていても、一旦は目をつぶって……彼らを見捨てなければならないのだ。


 と、理屈ではわかっていても、いらだつ感情を抑え込むのは難しい。


「腹が立つったらないわ」


 私にとって、この悪趣味なショーが、何回か体験するうちの一回だとしても、売られる側にとってはそうじゃない。自分の人生を決める、一度きりのオークションだ。誰かに買われて連れて行かれたら、もうその先に真っ当な人生は残されていない。

 わかっていて見過ごすなんて、嫌だ。


「サヨコは、ずいぶんとおかわいらしい」


 くつくつとダリオが笑う。

 ねえ、その『かわいらしい』、絶対誉めてないよね?


 もうやだ、このバルコニー席。

 舞台ではろくなものが売られてないし、ダリオは変な絡み方してくるし、フランはずーっと後ろで黒オーラ出しまくってるし。座ってるだけでストレスがたまる。

 さっさとツヴァイを買って帰りたい。

 カタログによると、今売られているのが最後から二番目。これを耐えればツヴァイの競売が始まる。それまでの辛抱だ。


 祈るような想いで舞台を見つめていると、突然オークショニアが勢いよく手をあげた。


「ここで、サプライズオークションを開始します! カタログにも載っていない、特別な逸品をどうぞ、ご覧ください!!」


 高らかな宣言にあわせて、舞台袖から大きな鳥かごのような檻が運び出されてきた。中には私と同年代の少女がひとり椅子に座らされている。

 その姿を見た瞬間、私は思わず立ち上がってしまった。


 彼女の顔に見覚えがあったからだ。


「……聖女?」


 ゲーム内より少し幼いけど、間違いない。

 あの子は世界を救う運命を背負ったゲームのヒロイン、聖女だ。




読んでくださってありがとうございます!

もしよろしければ、広告の下↓↓↓までずずいっとスクロールしていただき、「☆☆☆☆☆」評価お願いします!

作者の励みになります~!


もちろん、お気軽な感想、ブクマ、レビューなど大歓迎ですので、よろしくお願いします!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
コミカライズ①巻12月25日発売!
https://img1.mitemin.net/dj/zl/3wkif4ur6gwvjhk43tmrckclikh6_hvt_140_1kw_17utt.jpg
書籍⑦巻12月19日発売!
if5xkaf24p7benpdg9mgb811imr4_e3n_xc_hi_f9ns.png
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ