ポイ捨て厳禁
フランとのアホなやりとりをフィーアに目撃された私は、あわてて彼から離れた。そのまま飛び出していきそうな勢いの彼女を部屋の中に入れる。
コレはフィーアが勘違いしているようなアレではない。
がんばりに対する正当な報酬を要求していただけだから!
やましいことはしてない!
「あの、大丈夫ですよ。誰かに言ったりしませんから……」
いやそういう問題じゃなくて!
私たちはちょっと遊んでただけだから!
「ええ、そうですよね」
フィーアは肯定してるけど、目に『わかってますよ』って書いてある。物分かりがいいのはメイドの必須スキルだけど、今ここで発揮しなくていいから!
言葉通りに受け取ってくれたらいいから!
行間読まなくていいから!
「……もういい」
これ以上の言い訳は逆効果のような気がして、私は諦めた。ちょっと後ろを見ると、フランも眉間に皺を寄せてため息をついている。
ええい、この話はもうやめやめ!
さっさと話題を変えるぞー!
そもそもなんでフィーアがここにやって来たのさ!
「クレイモア伯たちが帰ったら、寝てていいよって言ったよね? どうしたの」
護衛騎士の裏切りにあってから、今までずっとフィーアは働きどおしだ。安全な別荘に到着したらお役御免、と言いたいところだったけど、シルヴァンとクリスティーヌの秘密を守るために、その後も侍女として身の回りのことを手伝ってもらってたんだよね。
蹴られた怪我の手当てはしてあるけど、それでもかなり負担になっているはずだ。
だから、何日かは寝て過ごしてもらおうと思ってたのに、どうしてまだメイド服のままここにいるんだろう。
「あの……それが……」
フィーアはおずおずと一冊の本を差し出してきた。
その派手な装丁には見覚えがある。闇オークションのカタログだ。
「ええっ、なんでコレがまだここにあるの? もしかして、クリスティーヌが忘れていっちゃった?」
「忘れた、というよりは無用のものとして捨てられたようです。ゴミ箱をチェックしていたら、中に入っていました」
正規の変身薬が入手できるようになった今、クリスティーヌにとっては無用のものだろう。しかし、一般メイドに見せるには割とヤバい内容が書かれているシロモノだ。置いていかれても困る。
どうやら彼女は、これを見つけて、慌てて届けに来たらしい。
「ごめん、休む前にお仕事頼んで申し訳ないんだけど、焼却処分しておいて」
「それが……」
フィーアはなぜか冊子を胸に抱いて、焼却処分を拒否した。
「何かあるの?」
「……こちらを見てください」
フィーアは、カタログの最終ページを開いて見せた。
その手はわずかに震えている。
「ご主人様、対価は一生かけてでも支払います。この品を買ってはいただけないでしょうか」
フィーアがおねだりするなんて、珍しい。というか、そんなワガママを言い出したのは今回が初めてだ。
しかも、欲しいのは闇オークションで売られている非合法なもの。
私とフランは最終ページに目を向ける。
「……兄を、救ってください!」
そこにあったのは、ある人物のプロフィールだった。
男性、20代、黒髪、金の瞳、そして猫のような耳としっぽ。
オークションに出品されているのは、フィーアの兄、ネコミミのツヴァイだった。
というわけで、「リリィちゃんお見合い編」とりあえずの完結です!
次話より、「リリィちゃん闇オークション編」に突入します!!
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