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【書籍⑦巻&コミック①巻、12月発売】クソゲー悪役令嬢~滅亡ルートしかないクソゲーに転生したけど、絶対生き残ってやる!  作者: タカば
悪役令嬢はバカンスがしたい

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無関心ではいられない

「リリィ、見ててくれたかい?」


 クレイモア伯が去って、私たち親子と使用人たちだけになったところで、父様が微笑みながら声をかけてきた。いつもなら、『戦うお父様かっこいい!』と飛びつくところだ。

 でも、私は今日ばかりは思いっきりふくれっ面で振り返った。


「お父様~?」

「あ……あれ……? リリィ?」

「どこの世界に! 娘の見合いの席で、当事者より目立つ父親がいるの! 父様のせいでめっちゃくちゃじゃない!」

「いや……でも、クレイモア伯とシルヴァンは喜んでたし」

「その間、私とシルヴァンが直接会話した回数って、何回?」

「あれ?」


 父様、そういうとこやぞ。

 育ちのせいか、脳筋なせいか、父様って時々変なところでズレてるんだよね。

 フランの一件でミセリコルデ宰相家が後ろ盾になってくれたから、社交界で変な絡み方をされることはなくなったけど、第一師団長としてちゃんとやれているのか、心配だ。


「でも……お見合いの席で私にばかり目を向けてしまうような子は、リリィにふさわしくないんじゃないかな?」

「騎士の子の前に最強騎士がいきなり登場したら、どうしても気を取られちゃうわよ。13歳の子供に無茶言わないで」

「……はい」


 父様はしゅん、と肩をおとしてしまった。

 心配して駆け付けてくれたその気持ちは嬉しいんだけど。どうしてくれよう、この父。


「さっきも言ったけど、私の縁談にはノータッチだっていうのはどうなったのよ」

「うん、リリィが決めたのなら反対しない。その誓いを破るつもりはない。そのつもりだったんだ。でも……リリィが実際に男の子と会うって聞いたら、いてもたってもいられなくなっちゃって……」


 はあ、と父様は息を落とす。


「……手合わせも、ちょっと意地悪してたかもしれない」


 つまり、娘に近づいてきた男が気に入らなくて、思わず威嚇してしまったと。

 ゲームでは、毛嫌いしている王妃の息子と結婚すると言い出しても、一切反対しなかったのに、どうしちゃったんだろう。


 ……いや、どうかしたから、こうなったのか。


 今の父様はゲームの中のマシュマロ侯爵じゃない。

 子どものために、もう一度前向きに生きようと姿を変えた人だ。その上、ミセリコルデ宰相と手を結び、第一師団長として仕事に励んでいる。

 その結果、以前よりずっと真剣に私たちと関わるようになったんだ。


 子どものことをなんでも許すのは、愛しているようでいて、その実態はただの無関心だ。

 私を気に掛けてるからこそ、暴走もしてしまうんだろう。


 だとすれば、このお見合いで悪いことをしたのは自分だ。

 父様の心配する気持ちをちゃんと考えてあげられなかった。


「……私のほうこそ、ごめんなさい。何も言わずにお見合いするのは、さすがにダメだったわね」

「先に誓いを破ったのは、私のほうだからね。リリィは悪くないよ」

「今度お見合いするときは、ちゃんと父様にも相談するわ。だから、乱入してこないでね?」

「う」


 父様の綺麗な顔がひきつった。

 あー、これは娘の結婚自体が受け入れられないことに気づいたな。


「……父様、私はハルバード家の長女なんだし、将来絶対結婚はするからね?」

「わかってる……」


 絶対わかってない顔で父様はうなだれる。


「とりあえず、明日はシルヴァンとのデートをやりなおさなくっちゃ」

「リリィは、シルヴァンのことが気に入った?」

「まあ、そこそこ? ほとんど会話してないから、まだなんとも言えないけど」


 そう言うと、父様はうーん、と首をかしげた。


「父様はシルヴァンとの縁談を勧められないなあ……いい子だと思うけど……」

「どうして?」

「……多分、あの子との間に子供は望めないよ?」


 困り果てた顔で父様が告げる。子供、の言葉で私はぴんときた。

 父様、シルヴァンが女の子だって気づいてる!

 脳筋な父様だから絶対気づかないと思ってたのに!!

 むしろ脳筋だから気づいた?!

 父様は野生の獣みたいな勘で動く時がある。さっきの手合わせで何かを感じ取ったりしてそうだ。


 完全なタブーではないとはいえ、父親として、娘が女の子と結婚したいと言い出したら、複雑な気持ちになるだろう。

 私はにこっと笑うと父様に体を寄せた。


「心配かけたお詫びに、隠し事をひとつ教えてあげる」


 父様に体をかがめてもらって、私はその耳元に囁いた。


「私はシルヴァンと結婚したいんじゃないの。お友達になりたいのよ」

「なるほど」


 父様は満足げに笑って、王都に戻っていった。







読んでくださってありがとうございます!

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― 新着の感想 ―
そら最強の達人なら立ち回り方とか見て性別くらい見抜けるでしょ 骨格構造の違いとかでどうしても性差は出るから
[良い点]  勝手な思い込みかもしれませんが、「私はシルヴァンと結婚したいんじゃないの。お友達になりたいのよ」のセリフは作者渾身の一句ではないでしょうか。この一言がかける筆力というのはすごいものですね…
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