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閑話『炎竜王と死霊王―其之参―』

 再度時間を停止させたレイナがウェスタに攻撃を加えようと動く。停止したウェスタに蹴りを加えるが、その蹴りは空を切った。


「残像ですか」


 レイナは冷静に判断を下すと、すぐにウェスタ残像の近辺を離れる。


 効果時間によって時間停止が解除される。先ほどまで残像が存在していたその場所に炎の球が降り注いだ。ウェスタは残像の上空にいたらしい。


 翼を展開し、滞空するウェスタに対してレイナが闇の魔法を飛ばす。ウェスタはそれを軽々防ぐが、その間に『審判の時針』の針が一周を迎えた。


 刹那、ウェスタに今までとは比べ物にならない速度での蹴りが迫る。滞空しているウェスタは両手でそれを防ぐが、空中であるために踏ん張りがきかず吹き飛ばされ地に落とされた。


「なかなかに厄介じゃ。針をまわさせてはならんな」


「分析する暇は与えませんよ」


 着地したウェスタのすぐ横に移動してきたレイナの右ストレートがウェスタの頬に命中する。衝撃でよろけたウェスタにさらに回し蹴りが命中する。その回し蹴りはウェスタの体を軽々浮かせ、壁まで吹き飛ばした。


「まったく、針が回った直後は手に負えんのじゃ」


「どうやったらダメージ入るんですかあなた……」


 全くのノーダメージともいえるウェスタが壁の方から歩いてきたのをみてレイナは呆れかえる。


「さぁ? 儂にもわからんのじゃ」


「規格外ですね……」


「お主に言われたくはないがのう」


 ウェスタはどちらかというと防御系のステータスに関して強いのに対して、レイナはどちらかというと攻撃系のステータスに強い。ウェスタを吹き飛ばせる時点でそこそことんでもない火力をしている。


「さて、お話はこれくらいにするのじゃ……ゆくぞ!」


 ウェスタは話を打ち切って高速でレイナまでの距離を詰める。しかし、次の瞬間には地面にたたきつけられていた。どうやら時間を止められ、攻撃されたらしい。目の前ではレイナが極大魔法の詠唱をしている。


「それはさすがにまずいのじゃ!」


 溜めが長く消費魔力もあり得ないほど多いため実践ではあまり使わない極大魔法。直撃すればウェスタでもかなりのダメージを負う。時間停止の間に詠唱が進んでいたらしく、すでに発動まで幾ばくも無い。


 時間停止中に発動しきることができていないことを考えると、時間が止まっていない間でも命中させることのできる極大魔法と考えられる。ウェスタは広範囲のものと予測し、宗次郎の前に移動して守護系の魔法を発動する。


 『希望の炎』の特性上、守るべき相手が近ければ近いほど効果を発揮しやすい。急上昇したステータスを活用し、ウェスタは最高硬度の結界を張る。


「『黙示録』」


 結界が展開された直後、レイナの極大魔法が行使される。レイナからこの世のすべてを塗りつぶしたかのような黒き波動が広がり、結界内以外の部屋すべてを飲み込んだ。


 ウェスタが全力で維持する結界に亀裂がはしる。結界が破壊される直前に、極大魔法の闇は消え去った。


 ダンジョンの壁は悲惨な状態になっている。


 ウェスタは結界を解除し、極大魔法を行使し魔力を使い切ったレイナの前にでる。


「どうじゃ、防ぎきって見せたぞ。楽しかったがこれで終わりじゃな」


「そうですか……これではだめだったのですね。ならば……『反転せよ(リセット)』」


 時計の針が逆向きに急加速し、気が付けばウェスタは地に伏していた。先ほどの極大魔法の詠唱前と同じ状況、同じ位置だ。


「まさか……」


 時が巻き戻ったとでもいうのかとウェスタが言おうとした直後、空中から闇の魔法が降り注ぐ。数発をはじき返し、ウェスタはそこから離脱した。


「そのまさかですよ」


 魔力が極大魔法の発動前に戻っているレイナがウェスタの前に降り立った。


「『審判の時針』は針が回った回数だけ針が回ったその瞬間まで時を巻き戻すことが可能です」


「実質攻略不可能ではないかの?」


 時を巻き戻せるとなれば勝てないのは必至である。


「しかしそうでもありませんよ? この時計の針が廻り切らなければ後一回しか巻き戻しは使えませんし、巻き戻してしまえばその一周で得た能力の上昇を失います」


「デメリットと回数制限があればよいってものではないと思うのじゃが」


 ウェスタはあまりにも強力な能力に呆れながら、自らの能力を強化し続ける。巻き戻しを使いきらせるか、巻き戻される前に火力で押し切るかしか勝ち目がないわけである。


「賭けになるがの……儂もやらせてもらうのじゃ」


 自らの防御力を信じ、ウェスタは極大魔法の詠唱を開始した。


「本気ですか?」


 レイナは驚くが、すぐに極大魔法を阻止するべく時間を停止しウェスタに攻撃を加える。


 しかし、あまりの硬さにレイナはダメージを通すことができない。


「まさか……」


 レイナはもし極大魔法が発動された場合について考える。どう転んでも自らの負けとなる。そしてダメージを与えられなければこの極大魔法を止める手段もない。


 時を巻き戻したところでもう一度同じことをされれば結果は同じ。


 そして時は動き出す。レイナはウェスタに宣言をした。


「降参です。それを止める手段は私にはありません」


「む? 了解じゃ」


 ウェスタは極大魔法の詠唱を止める。現代最強の争いはついに閉幕した。

??「技、魂装のルビはカクヨム版でしか見れないらしいですね。私はこっちのほうが出番もらえる頻度が高いので少し複雑です」

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