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レイナ

 ダンジョンの最下層に来たら、黒髪の少女が俺に忠誠を誓うと頭を下げた。マジでどういう状況なんだこれは?


「よろしければ、主様の契約の力を私に」


 俺が困惑していると、ウェスタからの念話が飛んできた。


『そいつもいいと言っておるのじゃ。契約を使ってみてもよいのではないかのう。もし人違いだったとしても後から主殿に攻撃を仕掛けたりはできないわけじゃからな!』


 そうだな、一度契約して安全って状況で話を聞こう。


「『契約』!」


 俺は黒髪の少女に契約の魔法を発動する。前のウェスタと同じように意識空間に引きずりこまれるかと思ったが、そんなことはなく、ほとんど魔力を使わないうちに、契約の魔法陣が彼女の上に現れ彼女を読み込んだ。


 これで契約は完了だ。


 ステータスを確認してみると、確かに『契約:死霊王』が加わっている。この子、死霊王なの!?


「主様、もしよろしければ私に名前をいただけないでしょうか」


「ああ、ちょっとその前に確認なんだけど、人違いじゃないか? 俺そんなえらくないぞ」


 俺は清々しいほどに平民だからなぁ。


「いいえ、間違ってはいませんよ。私のこの目に誓って」


 彼女の右目から青白い炎が立ち上る。その炎のうちには魔法陣がある。ん? あの魔法陣、ウェスタのカンニングの奴じゃ!?


 つまりは鑑定魔法を使えるから間違いは絶対にないということらしい。


「そ、そうか。別にそんな俺はえらくないけどな。普通の感じで大丈夫」


「そうですか」


 話通じねー。こいつ相当の堅物だぞ!?


「と、とりあえず名前を与える!」


「ありがたき幸せ」


 この子は死霊王ってことだからアンデッドをまとめる的な存在だもんな。今までスケルトンたちに数字関連の名前をつけてきたからこの子にも数字関連の名前をつけたい。なにか特別感のある数字はあるだろうか。今俺と契約しているスケルトンたちが使っている数字は1、2、3、4、5、∞だな。そしたら……0とかどうだ?


 0関連の名前……そのままゼロとかにすると女の子らしさというかが足りない気がする。


 んー……そうだ! レイナ、レイナというのはどうだろうか。漢字にして零奈だ。霊奈か?? まぁどっちでもいいか。


「今日から君はレイナだ。忠誠を誓うっていうんだったら、よろしく頼むぞ」


 俺がその名前を付けたとき、レイナはぽかんとした顔をしていた。どうした? 名前が不満だったか?


「どうした。不満か?」


「…………いえ、主様は全くお変わりないと思っただけですよ」


「そ、そうか」


 それは一体どういうことだろうか。そんなことを考えていると、空気を読んだのか端で待っていたウェスタがやってきた。


「契約は成功したんじゃな!」


「おう、終わったぞ」


「儂はウェスタ。同じく契約魔物じゃ今日からよろしく頼むぞ!」


 ウェスタはレイナに挨拶をする。


「よろしくお願いします。ウェスタさん。ところで一つお願いがあるのですが」


 レイナは何やらウェスタに頼みがあるらしい。


「目覚めたばかりで力のブランクがどれほどあるかわかりません。見たところウェスタさんは同格のようですし。力を試すために模擬戦をお願いしたいのです」


「構わんのじゃ! 同格との争いなど儂も久しぶりじゃし、頑張るのじゃ」


 なんかいつの間にかウェスタとレイナが戦うことになってる!? いや、別にいいんだけどさ。


「ウェスタ、やるなら俺にはしっかり結界張っといてくれよ? まじ、余波で軽く死ぬから」


「当然じゃな、ほれ」


 いつものオーロラのような結界が俺の周りに現れる。これで多分何とかなる、かな?


 レイナはウェスタと同格な分けであって、ウェスタの結界も貫く可能性がないとは言えない。ちょっと怖い。


「その強度の結界であればおそらく問題ないとは思いますが、何かあっては困ります。私からも結界を」


 レイナがこちらに手を向けて俺に結界を張る。レイナの結界はダイヤモンドの結晶……ブリリアントカットだっけ? そんな感じで俺の周りに現れた。


 結界って個性があるんだな。俺がもし結界を張れるようになったらどんなもんなんだろう。


「いい結界じゃ。やはり同格というわけじゃな。よし、さっそく始めるとするのじゃ」


「よろしくお願いします」


 二人は距離をとって向かいあった。ウェスタは翼を広げ、角に炎をたぎらせる。そして、ウェスタの足元が赤く輝きだす。


 魂装か。レイナのほうを見ると、レイナの足元も紫色に輝いていた。あっちも魂装ね。なんか最近見慣れてきたけど日本というか世界じゃまだ未発見の技術なんだよなぁこれ。


「――我が魂よ、呼びかけに答えよ。その魂は轟々煌めく炎を映さん。その光輝の刃をもって我が敵を焼き斬れ! 『光焔の剣』!」


「――我が魂よ、冥府より来たれ。その魂は暗く、より暗く。何者にも見通せぬ深淵の顕現。いでよ! 『九皐の鎌』!」


 ウェスタは煌めく剣を呼び出し、レイナは寒気すらする漆黒の鎌を呼び出した。両者ともに魂装の顕現が終わったようだ。


「誇り高き炎竜の一族が王、炎竜王。相手として不足はありませんね」


「元魔王軍四天王の死霊王じゃろ? 儂も本気で行かねばならぬのじゃ」


 あの会話の感じからして、異世界では相手の噂とかを聞いてた感じとか? 知ってるけど知り合いじゃないみたいなそんな感じがする。


 そして、ついに二人の戦闘が始まったわけだが……案の定見えねー!!

??「お久しぶりですね。今日から4日は100%毎日更新らしいですよ。おそらく私も毎日出番があるらしくてうれしいです」

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