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闇魔術師は溺愛希望~しかし私はあなたの愛犬ではありません~  作者: 竹輪㋠


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闇魔術師を溺愛希望する3

「リッツィ姉さんを帰してしまうなんて」

 フロー様にとがめると、フン、と鼻を鳴らされた。

「連日のように訪ねてきているんだから、平気だよ。せっかく今日は早く屋敷に帰ってこられたのだから、僕はジャニスを独占したい」

 ああ、わがままを言うフロー様が可愛すぎる。

 それも私を独占したいなんて。

 これがアルベルト兄やトリスタン兄だったら絶対に可愛いなんて思わない。

 脳筋には表現できないこの愛らしさ……。

 ああ、もう……。

 そこへタイミングよくメイドがやってきてお茶の用意を追加した。

 隣の席に座ったフロー様は優雅にカップに口をつけた。


 いいな。

 ほんと眼福……。

 なんてかっこいいんだろう。

 美青年を眺めてお茶を飲むなんて幸せがくるなんて。

 汗臭い男の肉体美自慢ばかりの中で生きてきた私の人生にこんなことを起こりうるとは。

 幸せすぎる。

 うっとりと眺めているとフロー様が不思議そうに首を傾げた。

 なんだ、もう! 私の胸キュンメーター壊す気か。


「この温室にまた入ってお茶ができるなんて思ってなかった」

 ぽつり、フロー様が私に言った。

 お母様の思い出が詰まるこの場所はフロー様にとってずっと鬼門だったらしい。

 でも……。

「お母様はフロー様のためにここを残したのでしょう」

「うん。ジャニスがいてくれるから、それがわかるようになれた。以前は母の面影が大きすぎるこの場所は見るのも辛かったんだ。でも、今は違う」

 そんなふうに言ってくれるフロー様の手に私の手を重ねてみた。

 するとフロー様がカップを置いた手でさらに手を重ねた。

 クスクスと私は笑ってその上に手を被せる。

 タワーになった重なった手を見て私たちは顔を見合わせてまた笑った。

「僕はジャニスには一生勝てないと思う」

「それ、前にも聞きましたけど、勝ち負けなんてないでしょう? 一緒にいたら、幸せなのですから、それでいいですよね」

「ジャニスも幸せだって思ってくれてる?」

「もちろん」

 私の答えにふにゃり、とフロー様が笑って、ズキュンと私の心臓は撃ち抜かれる。

 どんな殺し屋よりもフロー様は優秀に違いない。

 このままでは私はキュン死してしまう……。


 その時、リッツィ姉さんから逃げるようにいなくなった蝶が舞い戻ってきた。

「フロー様を見つけてきたのかな」

 私の手の上にとまった蝶は羽をゆらゆらと揺らしていた。

「あれ……」

 白かった蝶が羽を揺らすたびにきらきらと虹色に変化していく。

「……母が仕掛けをしていたようだよ」

「え?」

「僕の魔力を吸って色を変えているんだ」

「……きれいですね」

「どうしよう、ジャニス」

「どうかしたんですか?」

「思い出したんだ。こうやって、昔母が僕に色の変わる仕掛けを作ってくれたこと」

「そうですか。お母様は他になにを作ってくださったのですか?」

「その時は花だったかな。でも、それは重要じゃなくて。この色はね、僕の感情によって変わるんだ」

「へえ」

「ねえ、キスしていい?」

「えっ?」

「きっと色が変わるよ」

 そういったフロー様の顔が近づいてくる。

 したくないわけじゃないし、いや、むしろしたいしと唇をくっつけた。

 ちゅっ……。

 すると手の上の蝶がきれいなピンク色になった。

「本当に色が変わった……」

 ふわりと羽をはためかせた蝶が私たちの周りを飛んだ。

 重なり合った手を崩して、フロー様が指を絡めるように手をつないだ。

「濃いピンクは『大好きな証拠』なんだ。それでね、一人じゃならない色なんだって教えてもらった。両想いならできるって。母も父とピンク色にしたんだって」

 フロー様がそう教えてくれる。

 その言葉に私の顔は真っ赤になった。

「じゃ、じゃあ、お母様はフロー様と二人でピンク色になる人が、両想いだって教えてくださったんですね」

 なんだか、フロー様のお嫁様試験に合格したような気分になった。

 でも、何よりもフロー様と心合わせることができる人こそがその隣にいるべき人物なのだと、知らされたような気がした。

 きっとそれが一番フロー様を幸せにすると確信していたのかもしれない。


 ふわりふわりと白に戻った蝶が周りを飛んでから、また私たちがつないだ手の上にとまる。

「もう一度、試してみようよ」

 そんなことを言われてフロー様とキスを交わした。

 それから再びピンク色に染まった蝶は、しばらくその色を白に戻すことはなかった。


 フロー様は私を溺愛してくる。

 今までニッキーに向けられた愛情が一気に私に向けられているのを感じる。

 そうして私も。

 ずっとフロー様が笑っていられるように、彼を溺愛しようと思っている。

 

 いつか家庭をもったら、たくさんの愛情をもって過ごしていきたい。

 家族が増えた時にはきっと可愛い子犬ももらってこられるだろう。

 そんな幸せな未来が、きっとそこまでやってきている。

 それはフロー様と歩む未来だ。

お付き合いいただきありがとうございました。

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