第八話「ベロカ」
「できないくせに」
「なんだと!?ならすぐに消し飛ばしてみせるわ」
ドラゴンは口を大きく開き炎を出そうとした。
「ちょっと待った」
どこからか声が聞こえた。
どこだろうと周囲を見渡すがどこにもいない。
「ここだー」
すると上からカリマが下りてきた。
「カリマちゃん!」
小味は喜んだ。
「お前、カリマ」
「ベロカ、私の相棒に手を出すな」
どうやら宮殿の前にいるドラゴンはベロカというらしい。
「相棒だと?!ドラゴンは人間と仲良くするなという掟だったはずだが。それを忘れたのか?」
「忘れてなどいない。ただこれには理由があるのだ」
「ふんっ、理由など、どうせ大したことないだろ。こんな人間我が輩が消し飛ばしてみせるわ」
ベロカはまた口を大きく開く。
「やめろー」
するとカリマはベロカの首を尻尾で殴り飛ばした。
「やりやがったな…。我が輩を怒らせるとどうなるか思い知るがいい」
「何をする気だ」
「今ここにドラゴン全員を登場させるのみ」
「何だと。だがそれをしたらベロカ、お前はどうなるか」
「恐らく疲れて数日は動けないだろう。だがお前を躾させるにはこれしかない」
「ねぇ、どういうこと」
小味はカリマとベロカの話を聞いていて意味が分からないでいる。
「ベロカはここにドラゴン全員を力で登場させようとしているのだ」
「そんな」
「当然カリマの両親も登場させるぞ。お前の両親が人間とつるんでると聞いたらどう思うだろうな」
「くっ」
「ためらってる暇はない。いくぞ!!」
ベロカは体を震わせ地面を揺らした。




