第三十三話「クラクス村の異変」
エミは父親に注意されながら元いた建物に入っていくとその入れ替わりに年老いたおばあさんが出てきた。
この人なら何か状況を知ってるかもしれないと思い、小味は聞いた。
「あの、ここで一体何があったんですか?」
「お主らは旅の者か。いや、旅の者に言ったってどうしようもないことじゃよ」
「でも、何か力になれるはず」
「うーむ、旅の者も疲れていそうだし、簡単に説明すると白ドラゴン様がいなくなってしまったんじゃ」
「でもさっきの女の子が」
「彼女はもう1頭の白ドラゴン様を見たんじゃよ」
「もう1頭?」
「夫婦で白ドラゴン様と言われておったんじゃが前から夫のほうが行方不明になってしまっての、今では嫁が唯一の生き残りなんじゃ」
「一体何があったんだろ」
「分からぬ、ただ言えることは白ドラゴン様がいなくなってから村の住民も時々行方不明になってることじゃ」
「そんな……」
「おばあさん申し訳ない、その白ドラゴンがいる場所を教えてくれないか?私たちが話を聞いて少しでも解決に導きたい」
カリマはそうおばあさんに言うと驚いた様子でこう話した。
「何じゃと、だがのう、お主達たちまで行方不明になったらどうするんじゃ」
「大丈夫だ、私と小味は今まで困難を乗り越えてきたんだ。ここまできて下がるわけにはいかない」
「本当ですおばあさん。だから私達に任せてください」
「うーむ、よかろう。白ドラゴン様の住処はあの山の頂上や、道中気を付けていくんだぞ」
「ありがとうございます!」
小味はお礼をいうとカリマと共に歩き出した。
何時間経ったであろうか、厳しい暑さの中、小味とカリマはかなり体力を奪われていた。
「はぁはぁ、そろそろ着くかな?」
「あと少しだ、頑張れ小味」
「うん…」
カリマの後ろに小味は山中の坂道を歩き続けた。
すると、先頭にいたカリマは頂上といえる空間にたどり着いた。
「ん?これは雪?」
カリマは空から白い物が落ちてきてるのを見て驚いた。
そのことに小味も気づき頂上へとたどり着く。
「おかしい、夏なのに雪が降るなんて」
小味はカリマより少し前を進み空から降ってくる雪に手を差し出した。
「この村は相当何かが崩れてるらしい、あそこを見ろ。あっちは雪が降ってないぞ」
雪が降ってるのはこの頂上だけだとカリマは目視で確認した。
「ほんとだ。でも、何で?」
「分からない、とりあえず先へ進もう」
空から降ってくる雪に不思議と感じながら奥へと進み歩いて行った。
すると、小味とカリマは頂上の行き止まり的な場所まで行くと周囲を見渡した。
「誰もいない、おかしいな」
「見て、あそこに洞窟があるよ」
小味は誰もいない中、気になる物を見つけた。
「うむ、入ってみるか」
そうカリマが言って進もうとすると真上からバサバサと音が聞こえそこに白ドラゴンは現れた。
2人は白ドラゴンが着地出来るように少し離れる。
「あの、あなたが白ドラゴン様ですか?」
「いかにも」
着地した白いドラゴンはカリマと小味を交互に見つめる。
「あの、私たち話があってここに来ました」
「話?」
「何でもあなたの旦那さんが行方不明になってからおかしくなってるって。一体何があったんですか?」
「それは……」
「あ、言いにくいことなら無理にとは言いません。ただ私たちクラクス村の住民を代表して来たんです。村のみんな不安で過ごしてるので少しでも解決できたらなって」
そう小味がいうと白ドラゴンは地面を見つめ黙り込んだ。
「小味」
カリマは小味を注意した。
「…すみません、また出直してきます。カリマちゃん行こう」
小味とカリマはクラクス村に帰ろうとした。
するとそこに白ドラゴンは呼び止めた。
「待って」
呼び止められると小味とカリマは振り返り話を聞こうとする。
「実はこれが原因なの」
そう白ドラゴンが言うと洞窟のほうへと歩き出した。
小味たちも後を付いていく。
洞窟の奥へと歩き進むとそこには氷で凍っている白ドラゴンの姿があった。
お久しぶりです、体調が悪すぎて中々書けないでいました。
さて、今回は旦那である白ドラゴンが氷で凍らせられていたお話でした。
次回でその訳が分かるかなと思います。
それでは。




