第三十一話「通じ合い」
キューーーールルルル。
水の売り場サトーネで小味とカリマは涼んでいると突然高い鳴き声が聞こえて二人は空を見上げた。
そこには真っ白いドラゴンが二頭仲良さげに飛んでいる。
大きさからして夫婦なのだろうと思えた。
「お店ぎゅるん、ぎゅるん、ぎゅるん、そこのお二人さんそろそろ雷雨が起こりそうだし店じまいをするよ」
「あ、はーい」
サトーネの店員にそう言われるとカリマと小味は旅立つ準備を始めた。
「カリマちゃん、どうしよう傘がないよ」
上空には雨雲が立ち広がりいかにも雨が降ってきそうな雰囲気を匂わせている。
今までほとんど晴れていたためか雨の日の準備はしていなかった。
「またさっきみたいに私の翼の下で歩くといい」
「でもそれじゃカリマちゃんが濡れちゃうよ」
「大丈夫だ、なにせ私は風邪も引かないくらい強いからな」
そうカリマは言うと翼を広げ早く入りなと訴えるかのように前に進んだ。
小味は申し訳なさそうに翼の下に入る。
「小味、そういえば一つ伝えたいことがある」
「何?」
「どんな旅でも必ず私より先に走っていかないこと。これだけは守れるか?」
「努力します」
「うむ、血は繋がっていなくても小味だけはずっと守っていきたいんだ」
「何だか私はカリマちゃんに守られてばかりだね。私はカリマちゃんの強い味方でいられてるかな?」
「何を言ってるんだ、当たり前だろ。ここまで来られたのも小味のおかげだ。だから自信を持ってもいい」
「ありがとう」
ニコッと小味は微笑んだ。
その笑顔を見てカリマは心に温かいものを感じた。
お互いを信頼してるのは素敵なことですね。
いつも面白く書こうと考えてるのですがたまにはこういった温まるお話も書くのも良いものですね。
少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです。
それでは。




