第三十話「誘惑と危機」
カリマと小味は歩いていて途中に親子の二人組とすれ違った。
小さい女の子は美味しそうにペットボトルに入った水を飲んでいる。
そのことを見て小味は声をかけた。
「ねぇ、そのお水どこで手に入れたの?」
「あぁ。この先にある出店で購入することが出来たんだ、店主もノリが良くてかなり安かったよ」
「教えてくれてありがとう。カリマちゃん、この先にお店があるって! 早く急ごう」
「ちょ、小味待て」
小味はカリマの呼びかけに応じず一目散にお店まで走った。
カリマは小味より体格が大きくその倍以上に体重もあるので走るのは困難であった。
だが、小味のために追いつこうと頑張って走る。
地面からには大きい足音が響いていた。
「ソーレ、ソーレ、ソレソレソレソレー。糖分百パーセント、塩分百パーセント、水分補給にピッタリなお水もあるよー。あとあとー、このお水3個買ったお客様に炭酸水もプレゼント。お酒にも合うねー」
「すいませーん」
ハァハァと小味は呼吸が乱れていて疲れていた。
「はーい! お嬢ちゃん疲れてるようだね?体力回復のお水もあるよ、2本で600円、いかがー?」
少し高いと小味は思ったが相談出来るカリマが到着してないので1人で決めた。
「じゃあ2本お願いします!」
「まいどー。ん? お嬢ちゃん連れがいるのかい?」
「え、どうしてそれを?」
「いや、何となくだよ」
頑張ってカリマは走り続け、ようやく小味がいるお店へと到着した。
お店の名前はサトーネ。
店主のノリで考えたのであろうか。
砂糖ねとサトーネをダジャレっぽく作ったのであろう。
時折看板を見て少し時間が経つと笑っていたり苦笑いするお客が大半であった。
「はぁはぁ、み、水…」
「いらっしゃーい、ドラゴンの君ならオイル水なんてどうだい?飲むと鱗がツヤツヤだよ」
「いや、普通の水で頼む」
「まいどー」
最後のお金を取り出し払うとカリマは水を持って小味を探した。
「小味、小味」
「ん?あ、カリマちゃーん」
「やっと見つけた。1人で走るのは良くないぞ」
「ごめん、水のオアシスが飲めると思ったら先ばしちゃって」
「小味の悪い癖だな。それより無事で良かったよ」
「心配してくれてありがとう。カリマちゃんもう少しこっち来たら?そこは日向で暑いでしょ」
小味はお店の屋根の下で涼んでいた。
ちょうどそこは太陽も当たらず日陰になっている。
「いや、ここで大丈夫だ。私がそこに座ってしまったらお店そのものを破壊してしまうからな」
「カリマちゃんも人間だったら良かったのにね」
「私は今のままで幸せだ。そういう小味もドラゴンになったらいいんじゃないか?」
「えー、そうくるとは思わなかった」
「ただの冗談だよ」
もー、と小味はぷんぷんするとカリマは笑った。
それから長い時間が経ちそろそろ歩こうとお互い決めると上空には真っ黒な雲が広がっていた。
やはりドラゴンと女の子は旅のお話のほうが合ってると思い少し修正しました。
今までカリマと小味の旅が書かれなかった分たくさん書いていきたいですね。
少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです。
それでは。




