第二十三話「黒いドラゴン」
「グォォォォォォ!」
その叫び声が聞こえると地面は揺れ周囲の子ドラゴン達は驚いていた。
何事かと全員は周囲を見渡す。
「何!?」
「何事だ」
小味とカリマがその声の主を探す。
だが、周囲を見渡しても、主は見つからなかった。
どこだどこだと探しているとまた声が聞こえた。
「グォォォォ!」
「あれは何だ!?」
二回目の声が聞こえた時カリマはその主を見つけた。
空からこちらへ飛んで向かってくる。
黒い鱗、片方だけ半分欠けた翼、金色に光る瞳、今まで見たことのない大きい体格。
まさしく大人のドラゴンであった。
だが、普通の大人とは違う、すざまじい大きさだった。
「どうしよう、怖いドラゴンだったら」
「大丈夫だ、ドラゴンなら仲間だから悪いようには言われない」
小味とカリマはお互いを支え合ってる間、黒いドラゴンは現地に到着した。
バサバサと翼を羽ばたかせ周囲の風を無くそうとする。
そして、落ち着いたと思う頃、言葉を発した。
「お前たち、何者だ」
「ごめんなさい、友達が左目を怪我してしまって、それで、歩いてる途中でもこの子供のドラゴンも怪我をしてたみたいで、それで、その」
小味は少し怯えながら状況を説明した。
「貴様」
黒いドラゴンは小味からカリマへと目線を移した。
「何だ?」
もう少し丁寧な口調で言ったほうが良かったかと考えたが、カリマはいつも通り言葉を発した。
「貴様、人間とつるんでいるのか?」
「それがどうした?」
「昔からの掟は忘れたのか。人間は悪だということを教えてきたはずだが」
「私は今ある幸せをつかみ取っただけだ」
「お主、本当にそれでいいのか?」
「構わない、今は時代が変わったんだ」
カリマがそういうと、黒いドラゴンは息を深く吐き言葉を詰まらせた。
「やむを得ん。お前たちは今、全ドラゴンの敵とする」
「どういうことだ」
「言葉通りの意味だ」
そういうと、黒いドラゴンはまた翼を広げ羽ばたく準備をした。
「おい」
カリマは引き留めたが黒いドラゴンは聞く耳を持たず宙へと浮いた。
そして、その場から離れ、またカリマが声を発する頃にはいなくなっていた。
「どうしよう、大変なことになっちゃったね」
小味は心配してカリマにそう言った。
「何とかなるだろ、ただの脅しかもしれないし」
「うん。それでこれからどうしようか」
黒いドラゴンが離れてもカリマの左目と子ドラゴンの傷は癒されてなかった。
カリマと黒いドラゴンの口調がやや似てるので区別が付かない時があったり笑
でもその時の場面で理解できたら幸いです。
前回の地上でカリマたちを地下に落とした女性のこともよく考え何とか話に繋げるように頑張ります!
それでは。




