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水とメタン

 2段階のDPマッチングもやってます。

 メタンの海にはどういう生物が棲んでいるのかとか考えていたら、先に「エネルギー」で水について触れたので、それ関係のことも書いとこうかと思ったので。


 さて、分子の動きやすさは、単独でみればその質量に依存しているはずです。水、H2O、あるいはDHMOの分子量は、1+1+16 = 18となります。これで、標準気圧と温度での沸点は100℃です。対して、メタンを考えてみましょう。メタン、CH4の分子量は、12+1+1+1+1=16です。これで沸点は −162℃です。沸騰と蒸発がどうのこうのとか、平衡がどうのこうのとか、分子量は相対だったりとか、そういうのはここでは無視します。

 さて、H2Oの18で100℃、CH4の16で−162℃です。「おかしくね?」と思いませんか? 質量に依存しているなら、一応分子量に相応の違いのはずです。

 「それは摂氏で見てるからだ」と思われるかもしれません。OK、ケルビンに換算してもらってかまいません。それでも、やっぱりおかしいですね。

 そこを見るには、分子模型を組み立ててもらうのがいいのですが。水は、3つの原子ですからどうやっても平面上に原子が並びます。それで、配置としてはおおまかにこんな感じです。


  O

 H H


 二つのHの間の角度は100度ほど。180度じゃないんです。

 それに対してメタンは中心にCがある、三角錐になってます。四面ダイスの形。三角錐の各頂点にHがあります。

 この違いが、沸点の違いに影響しています。ここからさらに大まかな話。化学系の方の突っ込み歓迎です。

 さて、H2Oの分子を、水素が提供する電子が合わせて2つと、酸素が提供する電子2の計4つが回っているとします。さて、電子の軌道一つとしてですが、酸素の方が大きいです。では、電子はどこにある確率が高くなるでしょうか。困ったことに酸素側にある確率が高くなります。すると、水素側は電子が足りない、この場合陽子が剥き出しみたいなもので、酸素側は電子を多く持っていることになります。非常に大雑把な話として、その結果、酸素側は電気的に負になり、水素側は電気的に正になります。これによって、水分子は極性を持つということなります。

 さて、鉛筆を二本縦に並べた時と、棒磁石を二本縦に並べた時を想像してみてください。鉛筆はその一本を簡単にどかせますが、棒磁石だともう一本がくっついて来ます。電気と磁気の違いはありますが、水分子が並んでいる場合、同じようなことが起きます。

 さらには、H-O-Hのように180度だったとします。これでも共有している電子が酸素のまわりにある確率が高いことに変わりはありません。ですが、水分子のような形での電気双極子とは違います。まぁ、この場合だとしたら、こんなのはあるかなぁ。


   H

   O

   H

  HOH


 こんな感じで電気的に引きあるのはあるのかも。そういう結合はしないんですけど。

 さて、メタンの場合です。困ったことに、三角錐の頂点にHが位置しています。H-O-Hが180度の場合には起きるかもなぁというようなことも起きません。もう、水素原子でバリアを張ってるみたいなもの。

 こういう話でとくに面白いのは、極性分子の液体には極性分子は溶けやすく、無極性分子は溶けにくいということがあります。これは逆も言えて、無極性分子の液体には無極性分子は溶けやすく、極性分子は溶けにくいということがあります。これは基本的に極性の力の方が、極性なしの分子の間に働く力より強いからです。


 ところで、地球には液体の水が無茶苦茶多いです。ですので、生物が水を媒質としているのには不思議はありません。おまけに水自体は細かい話は置いておくと安定なので、溶けてたり水の中にあるものをガンガンぶっ壊すこともありません。

 ですが、媒質が水でないといけない理由ってあるのでしょうか。温度も関係しますが、同じくらい安定なものなら多分問題ないはずです。なら、メタンの海に生物がいるかもしれません。さて、ここで問題。メタンの海に棲む生物の化学反応は地球の生物の化学反応より遅いでしょうか。温度だけを考えると、遅いはずなんですけど。

 ここで、また別の問題も出てきます。メタンの海に棲む生物は電気信号を使った神経を持っているのでしょうか。化学反応が遅いにもかかわらず、電気インパルスがガンガン出るようだと、処理漏れが出るでしょう。もちろん、環境に合った進化をしているでしょうけど。もしかしたら、地球よりずっと温度が高い惑星に棲む生物からしたら、「炭素系や水で電気はないだろう」とか思われてるかもしれませんし。ちょっとこのあたり、というか、うん、まぁなんだろ、少し計算してみたことがあるので、そのうちにそれも書いてみようかとは思ってます。

 他にも、結局温度の問題なんですが、水を媒質にすると脂質も使えたりとか便利なんですよね。溶けませんけど、それはそれとして使えるので。メタンの海に棲む生物は、どういうものを使っているのでしょうか。正直、使える化学物質の種類が減るんじゃないかとは思うのですが。温度相応に、使えるようになるものもあるにしても、ちょっと温度が低過ぎる気もします。シリコーン系を使ってるかもという想像はあるようですが、そこはどうなんだろうなぁ。元々溶けているんでなければ、岩からケイ素を叩き出す必要がありそうな気がするし。むしろ窒素系のものの方がありそうな気がする。もしかしたら、地球の生物よりずっとシンプルな生物のメカニズムがあるのかもと想像すると楽しいですね。


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