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テラフォーミングはなぜ大変なのか

マンガや映画、小説でもテラフォーミングの話題はいくつもあります。テラフォーミングがなぜ難しいのかを、すこし考えてみましょう。


まず、テラフォーミングというのは、酸素があって、気圧があって、水があればいいというものではありません。それなら、基地のユニットを送って、目的地で組み立てればいいだけの話ですから。テラフォーミングとは、それらの条件を満たすことは必須ですが、生態系ないし一定の範囲のバイオームを構築することだと思ってください。


ほかの国ではどうなのかは知りませんが、実は日本にはある意味テラフォーミングの経験があります。それは、明治神宮の森です。これは100年から150年かけて、植生が変わる前提で作られました。おそらく、他の星をテラフォームする際にも、ゆるやかに、そして連続的に植生が変わるような設計にする必要があるでしょう。


植生が変わると言っても、ではその変化していく樹木などはどこから来たのでしょうか。基本的には鳥などが、他の場所から運んできました。しかし、他の星の場合、これは期待できません。藻や植物の場合であれば、計画的に種などが開放されるカプセルを使えるかもしれません。それには、機械的に開放されるカプセルが使えるかもしれませんし、あるいは紫外線などに対しての強さが違うような、あるいは水溶性であるような、環境によって壊れる化合物を用いたカプセルによっても可能かもしれません。


しかし、動物には単細胞なものなどいくつかの種類の例外を除いて、この方法は使えません。あるいは仮に使えたとしても、生きたままというのは難しいかもしれないので、冷凍の機能は必要かもしれません。あるいは、閉鎖系水槽やテラリウムというようなものがあります。動物が代を重ねる前提で、ただし個体数は制限されるような設計で、時間が来るまではその中で種を維持するという方法もないわけではないかもしれません。ですが、これで維持できる種には制限があるでしょう。そこで、植物の場合と似たような方法を取るとしても、卵とか胚をうまく冷凍できるとして、機械的に冷凍を維持することと、時限的に冷凍を溶くこと、そして哺乳類であれば人工子宮の起動と維持、そして出産という機能が必要です。それも、100年とかの間、機能を維持できる必要があります。


もっとも、火星の場合であれば、様子を観察しながら、次の段階の種を送ったり、もしかしたら動物を生きたまま送るということも可能かもしれません。


仮にこれらのような方法で技術的には可能になったとしましょう。そうすると、最大の問題は規模です。規模が大きいということは、単純に表面積が大きいということでもあります。ですが、地球の場合を見ると、北極から赤道、そして南極まで、あるいは水に近いか遠いか中か、そして標高によって、さまざまな環境があります。テラフォーミングの対象となるのは岩石惑星が基本でしょうから、テラフォーミングの過程において、それらの様々な環境に対応した処理をする必要があります。


このような方法以外で環境を作るとしたら、それはおそらくドームを作るというような方法になるでしょう。この場合、岩石惑星以外、たとえばタイタンに居住環境を作るとか、あるいはスペース・コロニーを作るのと同じような話になるかと思います。こちらの方法の利点は、地球の生態系を、全部ではないにしてもある程度のバイオームをそのまま持って行けるかもしれないという点です。この場合の問題は、打ち上げのコストということになるかと思います。


このように考えると、どのような方法を取るにせよ、たとえば火星をテラフォームする場合にも、ドーム、あるいは薄い膜などで包んだある程度の区画をテラフォームし、そこを拠点にして地球との交流を続けながらテラフォームを継続し、範囲を広げていくという方法に落ち着くのではないかと思います。もっとも、この場合でも外部プラントの類は必要かもしれません。


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