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木星は太陽になりそこねたのか

そこのところを確認するには、ともかく質量が問題になる。


   太陽 質量: 1.9891×10^30 kg、半径: 696,000km

   木星 質量: 1.8986×10^27 kg、半径: 69,911km


質量の10の何乗というところの数字を見てもらえば一目瞭然だが、木星の質量は太陽の1/1,000だ。木星はガス惑星であり、太陽系内で最大の惑星だ。それでも質量は1/1,000でしかない。なお、半径で言えば太陽は木星の10倍だ。半径をrとすれば体積はr^3に比例するので、質量の比もそれっぽくなっているのはありがたい。


そんなこんなで、「木星は太陽になりそこねた」と言えるのだろうか。


そこで、小さい方の恒星にどのようなものがあるかというと、赤色矮星とか褐色矮星とかがある。質量としては、こんな感じだ:


   赤色矮星: 太陽の半分から数分の一。最小は8%

   褐色矮星: 太陽の十分の一から数百分の一。


ここで大雑把に、こう考えてみよう:


   赤色矮星は木星の100倍の質量

   褐色矮星は木星の50倍の質量


1,000倍よりは、まだなんとかなりそうな感じではある。


では、仮に木星がこんな感じで赤色矮星や褐色矮星になっていたとしたら、その大きさはどうなっていただろう。ここでは、体積と質量は比例(というか、なんというか)するとして、簡単に計算してみよう。


まずは赤色矮星の場合:


   (4/3)πr^3 : (4/3)π(xr)^3 = 1 : 100


これを変形するとこうなる:


   (4/3)π(xr)^3 = 100(4/3)πr^3


両辺からこのままで消せるのを消すと、こうなる:


   (xr)^3 = 100r^3

   x^3r^3 = 100r^3

   x^3 = 100


というわけで、100の三乗根を求めてやると:


   x = 4.642


となる。体積としては、4.6倍程度ということだ。


これをさらに、半径(あるいは直径)だとどうなるかというと、このxのさらに三乗根を取ってやればいいので、こうなる:


   xの三乗根 = 1.668


半径としては1.7倍くらいということになる。


あるいは褐色矮星の場合はどうだろう:


   (4/3)πr^3 : (4/3)π(xr)^3 = 1 : 50


これを変形するとこうなる:


   (4/3)π(xr)^3 = 50(4/3)πr^3


両辺からこのままで消せるのを消すと、こうなる:


   (xr)^3 = 50r^3

   x^3r^3 = 50r^3

   x^3 = 50


というわけで、50の三乗根を求めてやると:


   x = 3.684


となる。体積としては、3.7倍程度ということだ。


これをさらに、半径(あるいは直径)だとどうなるかというと、このxのさらに三乗根を取ってやればいいので、こうなる:


   xの三乗根 = 1.544


半径としては1.5倍くらいということになる。


実際には質量が増えると、自分自身の重力も増えるため、半径で1.7倍とか1.5倍とかよりも小さくなるはずだ。どれくらい小さくなるのかは、面倒なので計算しないが、まぁ、質量と密度から大雑把に計算してやって、それを1.7とか1.5にかけてやれば、もうすこし精度のいい予想にはなるだろう。だが、上記の太陽と木星の半径と質量を見比べると、そんなに気にしなくてもいいのかもしれない。


某wiki百科事典によれば、半径が30%大きければ、つまり1.3倍で赤色矮星になりえたかもしれないらしい。ただ、上記の質量の比較のように、赤色矮星の下限と思われるものと褐色矮星の範囲はすこしばかり重なっているかもしれないので、堂々たる赤色矮星になれたかはわからない。


二連星というのは、実はめずらしくないらしいので、木星も恒星になりえた可能性はないでもない。


だが、「木星は太陽系で一番古い惑星」という話がある。この場合、話は違ってくる。というのも、その記述が妥当なものであるなら、ガスのほとんどは、木星が形作られる前に太陽に取られているからだ。


だから、もしかしたら、本当にもしかしたら褐色矮星にはなれたかもしれないというくらいではないかと思う。


木星の太陽化というネタは、いくつかの作品に登場するが、実際にはちょっと難しいだろう。ともかく元素がなんであれ、質量が足りない。すくなくとも、木星の50倍を目安に、どこからか質量を持ってこないといけない。まぁ、それだけの質量が太陽系にないわけでもないようだが、持ってくるまでの距離がね……


ところで褐色矮星というのは、寿命が長いらしい。太陽が燃え尽きても、まだ燃えているくらいらしい。もっとも、太陽が燃え尽きて爆散したら、惑星とかを繋ぎとめている重力場がなくなり太陽系は崩壊するから、木星が燃えていても意味はなさそうだが。


あるいは、地球を木星の衛星軌道に持って行き、太陽が膨張とか爆散するまえに、木星と一緒に避難するという方法はありえない話でもないのかもしれない。この場合、地球は木星の衛星ということになるのか、木星の惑星ということになるのか、話がややこしくなるような気はする。



コピペでミスってました。といってもこの二文だけですが。

>さて、褐色矮星は木星の50倍の質量としたが、10倍の質量としても良さそうだ。

>10倍とした場合の大きさは、各自計算してもらうこととしよう。


追記 (2017-8-1):

ミスってました。

赤色矮星の「xの三乗根 = 1.668」、褐色矮星の「xの三乗根 = 1.544」はいらず、

赤色矮星の「x = 4.642」、褐色矮星の「x = 3.684」が、「体積が何倍」ではなく、「半径が何倍」に相当しますね。

単純になんか勘違いしていたのと、「コピペでミスってました」のところでいい感じの数字が出てくるので、勘違いしたままでした。

「いい感じの数字」については、本文中にもありますが、某wiki百科事典にてご確認ください。

Jul 13, 2017:

これまでで一番小さい恒星が発見されたそうです。

大きさは土星と同程度のようです。

https://pionic.org/astronomers-have-discovered-the-tiniest-star-ever

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