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AR

 某ARゲームが爆発中だ。

 まずAR (Augmented Reality、拡張現実) とはなにかを確認しておこう。ARとは、現実の情報に仮想の情報を重ねたものだ。言ってしまえば、透過型ディスプレイにコンピュータから情報を表示させる、とくに透過型ディスプレイに映っているものに関連する情報をだ。

 ARの起源については、ちょっと確認が難しいが、「電脳強化環境」(坂村 健ほか, パーソナルメディア, 1995年)には、プリンタだったかコピー機だったかの修理についてだったと思うが、実際の映像に映像と文字を重ねて表示するデバイスが紹介されている。まぁ、結局はこの手のものの起源はだいたい全部、MITのメディア・ラボ、とくにニコラス・ネグロポンテに行き着くのだろうと思う。

 それから時代を経て、「セカイカメラ」というサービスが2008年に始まった。まぁ数年で終ったが。これは現実のある場所にARタグを設置し、スマホで見ると、そのARタグが見えるというものだった。これも起源はもうすこし遡ることができるのだろうが、重要なのは「ARタグ」という概念だ。

 修理の手順とARタグの設置とは、かなりの違いがある。修理の手順のたぐいの場合、ディスプレイあるいはカメラに映っているものの認識、さらには提示する情報のプランニングなどが必要になる。対してARタグの場合、位置情報と向いている方向がわかればいい。その上で、映像に対しての処理を行なうかどうか、たとえば現在位置からARタグが設置されているところまでの距離を計算し、タグの大きさを操作するというようなことはオプションと言える機能だ。

 あるいは、修理の手順などのARはガチAIの世界であったのに対し、ARタグだとそこがやわくなっていると言ってもいいだろう。

 なお注意が必要なのは、ARタグがどのような機能を持つのかは、ARタグの設置と閲覧とは別の問題だということだ。たとえばの話、街中にQRコードが物理的に印刷されていたとしよう。それを読み取って、たとえばスマホで何ができるようになるのかは、QRコードが印刷されているのとは別の話というのと同じようなものだ。

 ARタグを読み取り、そこからちょっとアプリをダウンロードして、一時的あるいは永続的にスマホになんらかの機能を提供する。それでもかまわない。あるいはARタグそのものにコードが書かれていてもかまわない。


 さて、先日twitterで会話したことだが、某ARゲームによって、ARが広く認知されたことでどういうことが起こるのか。現実世界でのARタグの活用方法はまだこれから発展していくだろう。そこには、小説や映画、マンガ、アニメの影響も見られることだろう。実のところ、なろう的にはここが問題になる。

 どういうことかというと、ARは新しい技術ではない。ここ20年ほど、「どういう活用方法があるのか」を模索してきた。正直言えば、ガチAI方向でないなら、これと言った活用方法はないというところだ。そして、Google NowなどなどのサービスがAI部分を提供し、ARの見た目と合わさっていくのが今後の方向だろうと思う。それにはデバイスの改良など、1,2年かかるのではないかと思う。

 それまでに、なろうなどにおいてARを題材としてどういうことが起こるだろうか。最大の懸念は、「技術の先祖返り」だ。つまりは、ARは新しい技術という誤解にもとづき、「これは新しい使い方だ」と思っても、それはもう検討されたことがらであるというものだ。

 たとえば「AR彼女」あるいは「AR彼氏」はどうだろう。個人による試験的なものではあるが、すでにある。動画配信サイトあたりで見つかるだろう。そして、ARタグによりAR彼女/彼氏の言動が変化するというようなものは想像の範囲内だ。

 あるいは「ARポータル」というのはどうだろう。「異世界への出入口」であるとか、「電脳世界への出入口」がARタグとして設置されるというようなものだ。まぁ、さすがにこれはまだ試されたことはない。そっちの世界がないのだからという理由だ。「電脳世界への出入口」については、広く考えればQRコードでURLを示し、ブラウザで閲覧というのも、その一種ではあるのかもしれない。だが、現在スマホを通して謎世界に取り込まれるというフィクションが存在することを考えると、それとARタグが結びついた作品が出てくるのも予想できる。

 だが、それらは「技術の先祖返り」だ。


 昨今のロボット技術の発達により、すくなくとも人型ロボットが人間の生活に身近になるという状況が起きている。実際に身近になっているとはまだ言えないが、想像の範囲としては身近になっている。そして、なろうや他の投稿サイトでもそういうロボットものの小説が多く見られる。だが、正直なところ、それらは「既に書かれている」ものが多い。

 ARについても、その技術史と創作内での扱いの歴史を知らないなら、「既に存在する」ものが書かれることは想像に難くない。

 どうか技術の先祖返りが起きないことを、あるいは技術の先祖返りとは知らずに書かれることがないことを願うばかりだ。


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