第100話 それはそれとして、世界は続くのさ
魔法の光が作る白くも柔らかい光が、石煉瓦の壁に人影を作る。
人影はふらふらと、揺らぐように壁で踊っていた。
部屋の中央には白い椅子とテーブルがあり、白く輝くローブを身に纏った男が座っている。男が身じろぐと、さらさらとした金の長髪が、何の抵抗も無く波打つ。
「くっくっく……!」
頬杖をつき、テーブルの上に置かれた不思議な光を放つ鏡を眺めながら、ひとりで笑いをかみ殺していた。
「そうかそうか、ティエル=ナイアは神性を放棄し、新たな神を擁立したか。竜型の神は初めて見たな。ノク=ナイア、とでも呼べば良いのか――実に面白い」
人差し指で鏡面を二回叩く。淡い光は収まり、ただの鏡に戻る。
「だが、世界を今のまま留めようなど――それは無理というものだ」
金髪の男はテーブルの上に置いてある籠からパンを手に取り、二つに割った。
「すべては予定通り。試練を乗り越えて、人間たちは新たなステージに上がった。
これから天界は荒れるぞ。なんせ、欲深き人間たちが乗り込んでくるのだからな――くっくっく」
そうして、ひとりで腹を抱えながら、少し固いパンに齧りつく。
間もなく――エルデンバルのダンジョン五十一階層への扉が開かれたという話がモルタリア――冒険者たちの間に轟いた。
-fin-
エピソード総数は161話、文字数は約41万字となりました。
生まれて初めて書いた小説。
5月頭から書き始めて、約7ヶ月。
至らぬ所だらけではありますが、一応完結できて、ほっとしています。
読む側としてエピローグが刻まれて投稿されるのは気持ち悪いかなと思い、
最終話はまとめて3話連続投稿する形にしました。
ひとつの話にまとめなかったのは、1話あたりの文字数を膨らませたくなかったのと、
「100話で終わりたかったから」!
物語としては、大きな問題をひとつ残したまま終わっています。
続きも書こうと思えば書けますが、『もと女神は冒険者はじめます!』という
タイトル回収ができるのはここまでなので、ここで終了としました。
まぁ、そのうち続き書くかもしれませんが、その時は主人公交代かなー。
本小説を読む際は、途中離脱してもいいですし、足跡も残さなくて大丈夫です。
応援やコメントは本当にありがたいことですが、
読者負担が無く、気楽に読んでいただけるのが一番だと思っています。
エンタメの一環として、その場で消耗されるのが僕の希望なので!
宣伝にご協力いただいた皆様、
この小説を読んでくださった皆様、
本当にありがとうございました!
今後は、まあ、とりあえず……
最初の方の改稿していこうかな! 我慢ならないので!(´;ω;`)




