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4話:冒険者ギルド、そして魔法

まだまだ

 「さて、まず先に申し上げておきますが、あなたのような落ち人に対してこうして保障や教育を行うのはあなた方のためではありません」


 あの後、街へと案内してもらい、無事街へと辿り着いた。

 街へ入るのに検査とか必要ないのかな?と思ったけれど、特に何もなかった。一応盗賊なんかで手配されていないかのチェックはされたみたいだけど、それ以外は特になし。チェックそのものも結晶みたいなものに手を当てて、少し待てば終わりだった。

 そのまま冒険者ギルドへ到着、ギルド職員に「蒼の雫」から事情説明がされて、そこから先はギルドが引き継ぐ事になる。したがって、お世話になった「蒼の雫」とはここでお別れとなった。

 「どうもありがとうございました」

 「がんばれよ!」

 そんな会話を交わして彼らとは別れた。

 そうして、早速ですが、と連れて来られた小さな会議室のような部屋。そこで幾つかの確認の末、落ち人だと確定された俺に保障に関する説明のため……その最初にいきなり言われたのが最初の言葉だった。見た目はかなりの美人な森人、エルフ系の眼鏡美人なんだけど言う事結構きつい。


 「いきなりこのような事を言うのは何だと思われますが、過去に勘違いされて傲慢な態度を取られた方がいたそうなので」


 ああ、成る程。

 そもそも別にこの人達が召喚した訳じゃない。召喚したなら、「責任取って面倒みろ!」とも言えるだろうけど事故に遭った人に最低保障を行っているという感覚の人にそういう態度取られたら「知るか!」と叩きだされても文句言えないだろう。

 この人達がやってるのは募金みたいなもんだ。

 「大変だったね、これ少しだけど足しにしてね」と善意で渡してくれたのに、「なんだよ、これっぽっちかよ!」と言ったりすれば募金してくれた人が怒るのも当然だろう。

 

 「いいですか?あなた方新たな落ち人というのは非常識です。別に責めるつもりで言っている訳ではありません。貴方達には貴方達の元の世界の常識というものがあり、それはこの世界の常識とは異なるものであるからです。逆に私があなたの世界に行けば、私が非常識となるでしょう」

 「何となくですが分かります」


 元の世界であっても、地域が変われば宗教が変われば「それはNG」というのは普通にあった。

 自分の国の常識で動いてたら、あちらでは違法だった、なんて話は普通にある。イスラム教の人に豚肉は駄目、なんてのは良く知られたケースだと思う。


 「ですので、しっかり学んで頂きます。まずは……」


 保障内容から。

 ギルドの宿を提供する事。

 宿の部屋はワンルームで、ベッドや棚はあるが風呂は別料金。これは生活魔法で清掃が可能だからこそだろう。風呂みたいなものはあっても、あくまで娯楽という分類な訳だ。

 食事は朝晩は宿の食事が提供される。

 小遣いとして一定額が毎月支給されるので、これを実際に使って金銭の扱いを憶える事。

 といった事が伝えられた。


 「これ以外にも貴方が魔法を使えるレベルにまで持っていけたなら、ギルドの手伝いをする事で資金を稼ぐ事は可能です」

 「なるほど、生活に必要なものはある程度支給するけど、多少でも贅沢とかしたいなら働け、って事ですよね?」

 「そう解釈してもらって構いません」


 着替えなんかも提供してくれるみたいだし、こっちでの生活とかに慣れる数日はゆっくりして、それからギルドでの手伝いとかしてみるか……。


 「さて、それではまず魔法に関して詳しく説明した上で、あなたの魔法適正を調べてみたいと思います。どの魔法系統であっても、多少なりとも使えるようになればそれを使ってギルドで仕事をする事が出来ますからね」

 「攻撃魔法でもですか?」

 「おや、知っているのですか?ああ、『蒼の雫』の方から聞いたのですね?ええ、攻撃魔法であっても防具の抜き打ちでの耐久度検査などの仕事がありますので」

 「なるほど」

 「ではまず順に魔法と、それに伴うギルドで出来る仕事を簡単に説明していこうと思います」 


 ・攻撃魔法

 地水火風、それに光闇の六つの破壊の力に魔力を変換して行使する魔法。

 あくまで攻撃のための魔法で、誰かを支援するような魔法は存在していない。

 ギルドでは先に述べたように耐久度検査などの仕事がある。


 ・転移魔法

 実は名前を冠している転移はこの系統最上位の魔法であり、世界を探しても片手の指で足りる程度しか使い手はいない。

 基本は移動や運送に優れた効果を持つ魔法。

 ギルドでは倉庫内の整理といった仕事がある他、都市内の商家へ先輩と共に派遣という事もある。


 ・付与魔法

 物質に対して干渉する魔法。

 他の系統の魔法使いと協力する事で、物に他系統の魔法を付与する事が出来る。付与可能な魔法は付与術師と他系統術師双方の実力と付与する物次第。付与術師が優れた腕を持っていても、他系統術師がへっぽこなら相応の魔法しか付与出来ないし、逆もまた然り。また、高位の魔法を付与するにはそれなり以上の質を持つ物質が必要とされる。

 転移門なども可能だけれど、これの作成には極めて高額な付与可能な物質と、世界でも最高峰の付与術師、転移術師の協力が必要で滅多に造られる物ではない。

 ギルドでは簡単な道具への付与を通して、実践を行ってもらう事になる。


 ・強化魔法

 身体能力を強化する魔法。

 力や頑丈さ、感覚などを強化する事が出来、熟練者になると他者を強化する事も可能。

 ただし、あくまで生物を強化する魔法で剣の切れ味や頑丈さを上げるのは付与術師の系統。また他者を強化するのは自分を強化するのに比べて効率が非常に悪い。

 ギルドでは力仕事が主体。戦士には非常に向いている魔法。


 ・回復魔法

 読んでその名の通り、怪我や病気を癒し、解毒といった事が可能な魔法。

 また防御系の様々な結界を張る事も出来る。

 ギルド運営の施療院での治療といった仕事がある。


 「こんな所でしょうか。では早速あなたの魔法系統を調べてみましょう」

 「お願いします!」


 さあ、俺の魔法がどんな魔法なのかいよいよ分かるんだ。

 ……でも出来れば荒事しなくても済む魔法がいいかもなあ。あの鹿みたいなのとまた会うのは勘弁してほしい。

 


続きます。

 

アメリカだと12歳以下の子供を部屋や車に残して一人にすると違法なんだとか

場合によっては逮捕される事もあるそうで、日本でも同じような法があればパチンコ店での子供の熱中死みたいな事も起こらないかもしれませんね……

また、こちらはアメリカなのかハワイ限定かは分かりませんが、横断歩道のない車道を渡るのは罰金喰らうんだとか

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