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21話:方針確定

失礼しました!

どうも一話勘違いで抜けてたようです!!

 モルテン将軍に他の人達の魔法が何かを確認した。

 将軍自身は強化術師、副官が治癒術師。

 残り七名の内、モルテン将軍が最初から率いていた部下達はそれぞれ移動術師と攻撃術師。壊滅した小隊から何とか逃げ出せた者達は強化術師が三名と移動術師が二名だった。考えてみれば、もう逃げるしかない!という状況下で逃走を試みた時、逃げ切れる可能性が高い者が順当に逃げ切れた、という事か。

 反面、移動速度で劣る攻撃術師と治癒術師は逃げられなかった、と。

 という訳でモルテン将軍一行を加えた現在の俺達は強化術師が六名、移動術師が四名、攻撃術師と治癒術師が二名ずつ。

 

 「バランス悪いですよね?」


 俺の言葉に誰も反論はしなかった。

 二つに分けるにしても、俺を加えたアシュタール一行と、モルテン将軍一行に他のチームメンバーである生き残りを加えても上手く連携が機能するとも思えない。

 現実問題として、俺が割かしすんなりとアシュタール一行に加わる事が出来たのは治癒術師という、基本的に戦闘には加わらない術師であった事が大きい。一応の攻撃手段があるとはいえ、彼らもそれを使って前線に立ってくれ、攻撃してくれとは言わなかった。アシュタール達が俺に期待しているのはあくまで「回復魔法」であり、それ以外を上げるのなら精々攻撃術師である凱嶮の守りぐらいだろう。

 基本は凱嶮の傍で結界を張って待機し、誰か戦闘中に治療が必要なレベルの怪我人が出れば戦闘の場所から引き離して、治療を行う。

 これなら求められるのは凱嶮の射線に入らないようにする事と、怪我をした者を救助する際に他の前衛に合図をするぐらいだ。

 攻撃に加わる場合はそうはいかない。

 互いの動き、連携、それらが絡み合い、下手に加わったばかりの攻撃術師が攻撃魔法を放てば、味方に直撃しかねない。

 前衛同士であっても、互いが移動した瞬間に衝突!なんて事だって起こりうる。

 だからこそ、普段から訓練を積み、連携を取って動けるようにする。

 

 「やはり、あぶれた者同士で組んでもらうか、それとも状況を伝える為に後方に下がってもらうしかないじゃろうなあ」

 「というか後方に状況を伝えてもらうのが一番良いのでは?」


 モルテン将軍の言葉にアシュタールが顔をしかめて言った。

 

 「現状、そこの五名の話だけでも既に五つの正規軍のチームが壊滅しているんです。それを伝えるというのも立派な任務ではないでしょうか」

 「ふむ」


 なるほど、とモルテン将軍は納得した様子だった。

 そう言われた事で生き残り達も納得したようだ。

 

 「強化術師三名に移動術師二名です。魔獣との交戦を極力避け、後方へと伝令を務めるならば十分ではないでしょうか?」

 「そうじゃな……、お前達、伝令を頼めるか?」

 「「「「「了解致しました!」」」」」


 魔獣との交戦を避けるのは一刻も早く状況を伝える為だ。

 戦闘を行えば怪我を負う可能性が生じるし、最悪その結果として情報が後方に伝わらないという危険性もある。伝令を務めるという事を理解していれば当然と言えた。


 (あっちの面子も立てつつ、って事だよな)


 邪魔だから帰れ、と言われたら相手の面子は丸つぶれだ。素直に帰る事に納得するかは分からないし、こちらに恨みを持つ可能性もある。

 相手だって自分達の状況は理解しているだろうが、理性と感情は別というのはよくある話でもある。

 深刻な軍派遣チームの状況を将軍からの命令で伝える伝令、というのは彼らを後方に下げるにはちょうど良い落し所だった。

 

 「夜が明けてから動けるよう今日はしっかり休んでおいて下さい」

 「うむ、儂からも手紙を書く。後方にきちんと届けてくれ、頼むぞ」


 ダメ押しだな。

 これでこっちはこっちで連中を気にせず動けるし、後方に状況を伝える事も出来て一石二鳥だ。

 にしても、まさか軍が魔の森では役立たずとは。いや、分かってはいる。彼らが活躍出来る場というのはちゃんとある。

 冒険者が逆に開けた平野で合戦という状況になっても軍と同じような活躍は出来ない。

 そう考えるなら、今回の責任は「軍人に冒険者と同じ事」を求めた上の者の責任という事になる。

 ……あ。

 そういえば、モルテン将軍にも利があるのか。

 今回の軍部隊の派遣はモルテン将軍とは対立する派閥の主張だった。モルテン将軍は派遣に反対した側……となれば、失脚まではしないにせよ、相手側の発言力が下がり、モルテン将軍の発言力は増す事になる。無論、成功してればその逆だった訳だからそれをどうこう言う資格は相手にはない。下手に口にした所で情けなさが増すだけだ。

 けどまあ、今は。 


 「それじゃあ明日の予定が決まった所で、ですね」


 俺が口を開いた事で周囲の目が集まった。


 「飯にしませんか?腹が減ったんですが」

 「………ああ、うん、正論じゃな」

 「良ければ先程仕留めた魔獣の肉使ってください。まだ十分残ってるので」

 「ありがたく使わせて頂きます」


 モルテン将軍らも慌てて飯の支度を始めた。

 何せ、こっちの飯は俺達の分しか用意していない。一人ぐらいならともかく、九人も増えた状況で分け合って食う訳にはいかない。

 俺達は俺達でこのままでは飯が冷めてしまう。

 その後は特に語る事もない。お互い飯を食って、不寝番を協力して立てて寝る。

 翌朝、将軍の手紙を預かった生き残り五名は早速後方へと向かった。

 さて、俺達は更に先へ進まないとな。

   

 

急遽アップしました

失礼しました

20話通り、明日は病院の為お休みいたします

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