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2話:冒険者達

余裕ある間はなるだけ頻繁に投稿を(後書きに続く)

 「おう、無事だったかい?」

 

 気軽に声をかけてきた男性、見た限り三十代って所だろうか?多分親父よりは若い。

 

 「あ、はい、助かりました。ありがとうございます」

 「おう」


 お礼を言って頭を下げるとにかっと笑ってそう答えた。

 そう笑うとどこか愛嬌のある顔だった。

 

 「しかし、どうしたんだ坊主。こんな所で荷物も持たず。どこかのキャラバンからはぐれでもしたのか?」

 「ああ、えーと、それが……」


 事情を話し出して少しするとどこか納得したように頷いた。


 「そうか、お前さん落ち人か」  

 「おちびと?」

 「おう、そういう事なら事情説明して、街まで連れてってやるよ。その前に獲物を解体しちまうから少し待っててくれ」


 目の前で初めて見た解体はなかなかスプラッタでした。

 

 ◆

 

 「大丈夫か?顔色わりいぞ」

 「あ、だ、大丈夫です」


 手際よく解体を行った彼らは一部の肉と骨を残してその場から離れた。こうして一部を残して獣達のための食事とするのが習わしなんだとか。

 その上で野営の支度をしながら軽い自己紹介をしてくれた。ちなみに俺はというと、何もせず座っていた。いや、「手伝います」、とは言ったんだけど「いや、お前さんどこに何の荷物が入ってるかとか分からねえだろ?いいから座って待ってなって」と言われては大人しく座っているしかなかった。

 確かにあの人達の荷物のどこに何があって、どれを取りだせばいいのかなんて分からないから下手をすればひたすら荷物を引っ掻き回すだけで余計な手間をかけるというか、邪魔にしかならない可能性は高い。

 そう理解して、素直に座って待っていた。

 

 「ほれ、まあ喰いな」

 「ありがとうございます」


 先程の鹿の肉を軽く炒めて、乾燥野菜とか乾燥肉。更にそこらで取って来た山菜と思われる物を入れたごった煮だった。

 味付けは塩だけだったが、ハーブ系と思われる香草なんかと合わさって意外と美味い。

 食いながら軽く自己紹介した訳だが、ハンマーを振り回してたおっさんが戦士のオルバーニさん。

 矢を射ったのが盗賊のメレナさん。

 魔法を撃ったのが魔術師のエーデルハイムさん。

 そして、治癒術師のカシムさんに、運搬師のボーラさんという組み合わせで、冒険者パーティ「蒼の雫」を形成しているそうだ。

 それぞれオルバーニさんとカシムさんが普人族、メレナさんが獣人、エーデルハイムさんが森人でボーラさんが鉱人族だという事だった。

 この場合、普人が一般的に俺らが想像する人、森人はエルフ、鉱人がドワーフ。獣人はそのまんま、って感じだった。メレナさんとボーラさんが女性で、何とオルバーニさんとメレナさんは夫婦という事だった。ううん、見た目的にはおっさんと幼げな少女なんだが……実の所獣人と森人は見た目がある年齢から余り変わらなくなるそうで、これでもメレナさん、オルバーニさんと同い年の幼馴染みなんだとか。

 ただし、見た目が変わらないだけで寿命とかはどの種族も大差ないらしい。

 

 「さて、改めて説明しちまうとな」


 食後のお茶を飲みながら、オルバーニさんが主体となって、それに補足する形でエーデルハイムさんや他の人達が口を挟むという形で説明してくれた。

 それによると落ち人、とは異世界からこの世界へと落ちて来た人の事を言うらしい。

 というより、元々この世界自体がそうした元の世界から落ちてしまった人を救い上げるために神様が作り上げた世界で、おっさん達も遥かな昔にこの世界へとやって来た落ち人の子孫なんだ、って話だった。お陰で、この世界の種族は実に多彩で普人族、森人族、鉱人族、獣人族、巨人族と多数の種族がいるが、本来暮らしていた場所から落ちて来た者同士、って事で協力してやって来たお陰で特に種族間での揉め事なんかもないらしい。

 まあ、何時しか出来上がった国同士の揉め事はあるらしいけど、普人族こそ選ばれた種族ー!みたいな宗教とかもないそうだ。

 一つには神様が間違いなく存在しているという事、そしてその神様が崇められる事を拒否してる、って理由もあるらしい。

 最初の頃は神様も落ち人に直接声をかけてくれていたそうで、それによると元々本来暮らしていた世界から貴方達が落ちてしまったのは自分達の責任、生まれ落ちた世界でそのまま暮らせるはずだった者達が世界の不安定化で異なる世界へと落ちてしまった。その者達を救うのは世界を管理する神として当然の事だと。

 と、同時に本来起きちゃいけない事が起きてるのは自分達のミスだから崇拝なんてやめて!恥ずかしい!っていうのも神様と接触した初期の落ち人が感じた本音らしい。

 つまりあれか、自分達は「失敗したー!」と思ってる事を何とか誤魔化しただけなのに、それを褒められまくると地面をごろごろ転がりたくなるぐらい恥ずかしくて死にたくなるとかそういうのか。

 今は世界自体も不安定な時期を脱し、安定期へと移った事で滅多に異世界から落ちてくる事はなくなったが、それでも数十年に一人か二人はたまに今でも落ちてくる。つまり事故だな。どんなに気を付けても、事故はゼロにはならない。

 俺は今の所最新の事故でやって来た落ち人って訳だな。

 

 で、落ち人に対しては、それを知った者(この場合は基本「蒼の雫」)は落ち人を近辺の街へと案内して最低限保障を受けられる手伝いをするように、というのが義務付けられてるそうだ。

 これも元々同じような立場の人ばかりだったから、まともな頭を持ってる人ならそうしてあげるように、って事らしい。冒険者とかの場合、ささやかながら謝礼金も出るし、冒険者ギルドでの評価も上がる。

 犯罪者にした所で、この世界の通貨を持っている訳でもなし。ぶっちゃけた話をしてしまえば美味しくない獲物だからいちいち殺しもしない、って事らしい。無論、例外はあるそうだけど……。

 で、肝心の最低保証だが、この世界の常識についての勉強。必要なら言語の習得。

 仕事の斡旋や、職業訓練といったものが含まれる。

 ただし、これらの保障が受けられるのは幼い子供ならともかく、通常は一年。

 言語が理解出来ない場合は二年となっているそうだ。そういや、俺普通にこの人達と会話してるな……これこそこの世界に落ちて来た際に神様達から与えられた加護の一つらしい。確かに色んな世界から落ちて来たんだったら、それぞれ言語が違っててもおかしくないよな。互いに言葉が通じるようにするのは必須だわ。

 一年でこの世界で暮らす基盤を作れ、って言われてるんだと考えると案外厳しい。

 でも、実際には真面目にやってりゃ普通は一年ありゃ問題ないらしい。

 もちろん、中には真面目にやらない奴だとか、「俺は被害者なんだからずっと世話してもらって当然!」なんて馬鹿げた事を言う奴もいるそうだが、そういうのでも容赦なく一年で放り出されるそうだ。そりゃそうだよな、この世界の人達が落ち人を今もケアしてくれてるのってご先祖様も同じだった、っていう好意でありボランティアだ。

 別に被害者とやらにこの世界の人達が何かした訳じゃないし、ずっと面倒見る義務も義理もないよなあ。


 「さて、それじゃ神様がくれたもう一つの加護、魔法についてもお話しておこうと思うんだがいいかな?」

 「是非お願いします!」

 


(前書きより)頑張ってみます

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