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12話:異世界の勇者その1

明日はお休みします(別の投稿のため

いつも通りの夜勤明けによる体力の限界

 この世界は落ち人と呼ばれる異世界から事故なりなんなりで飛ばされた人が落ちていくのを拾い上げる為のセーフティネット的な意味で造られた世界だという。

 そして、その落ちていくのには事故以外にもあるのだと初めて知った。


 「はじめまして、霧生和真きりゅうかずまです」

 「はじめまして、アシュタールです」


 そして、自分の前にはその事故以外で落ちた人、異世界の勇者がいた。




 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇





 俺が落ちて来たのはこの国だったが、当り前の話ながら世界に国は一つだけじゃない。他にも国がある。そうした国の一つに自分とは別の時期に落ちて来たのが彼女だった。

 彼女の場合は別世界で勇者をやっていて、遂に魔王を倒した!と思った瞬間、魔王の放った呪いによって世界から放逐されてしまったのだそうだ。

 世界から叩き出された彼女は本来ならば奈落、或いは世界が最後に帰りゆく虚無へと落ちていくはずだったが、この世界がその前に拾い上げて命拾いをしたという。

 あの魔族、と仮に呼ぶが、あいつらはこの国だけではなく、魔の森と接する残り二つの国にも襲いかかった。

 この内、片方はうち同様、一部を占領されたが持ち堪えたのだが、もう一国が拙かった。


 これまた当り前の話だが、ひとくくりに国といっても繁栄している国もあれば、絶賛衰退中の国もある。魔族の襲撃を受けた国の内の一つが正にその後者に属する国だった。

 王自身は決して暗愚でも、暴君でもなかった。しかし、元よりその国は小国が連合を組んで周囲に対抗しようとした結果生まれた国家、王家はその中でまとめ役だったというだけの特に突出していた訳でもない国から選出されただけであり、大貴族達もまたかつて同格の王家だった。

 だからだろう、真っ当な大貴族はそれでも表立っては共に国を支えたが、中には本当に渋々と、周囲が連合を組む中で自分だけ孤立しては一瞬で叩き潰されると理解して加わったが不満たらたら。そんな大貴族家が普通に存在していたものだから、国力は領土の割に上がらなかった。

 無論、歴代の王の中には王家が強い力を持つべく奮闘したり、周囲の大貴族家もこのままでは拙いと協力した時もあったし、そうした長年の努力によって一応一つの国としてまとまってはいたが、他国のそれと比べて一段どころか三段は劣っているというのが現状。しかし、そうしたややこしい土地である上、攻め落とすにしてもそれなり以上の被害を受ける事もまた事実。その結果として他国につけこまれては……という事から残っていた国だった。

 そんな国だったから魔族の襲撃に耐えられなかった。

 

 最初に襲撃を受けたのは魔の森に隣接する男爵領だった。

 これが他国であれば信頼出来る大貴族に戦力とそれを支える領土を与えて防衛、或いは直轄の騎士団を置いて、重大な事態が起きれば王都へと早馬を走らせるといった対応を取る。だが、この国は元々の貴族達が小国の王であった事から、貴族を別の土地に移すという事が難しい上、独立性が高かった。

 結果として、男爵領が根切りに遭いながら、それが伝わったのは隣の伯爵領の末端、村の者に対してだけだった。

 当り前だが、正規の騎士が責任者の書状なりを持って最高責任者の下へと向かった場合と、貴族と何の接点もない平民に話が伝わった場合とでは最高責任者たる、この場合は伯爵な訳だがそちらに情報が伝わる速度には雲泥の差がある。前者ならば最速数時間もあれば伝わるし、その大半は移動時間だが後者の場合は果たして何十日かかる事か。

 かくして、伯爵領も滅んだ。

 更にそれに隣接した貴族領が……。

 その国はまるでドミノで倒れた一枚が次の一枚を倒すように次々と連携が取れないままに各個撃破されていった。

 

 ようやっと国が重大な事態を把握した時には既に国土の三分の一以上が死に絶えていた。

 一つには他二国に比べて容易いと見て取った魔族側がこちらに戦力を集中した事もある。実を言えば、他国との戦闘が不活発だった理由、俺がいた国の場合は北部の要衝レーベル陥落後はレーベルを拠点に動きがなかったのにはそれもあった。

 一気呵成の電撃戦に対して、その王国はまったくもって対応が後手後手に回った。

 さすがに長年の努力が功を奏して、他国からの侵攻に対しては連絡網をそれなりに築いていたのだが、魔の森からの攻撃は「所詮は連携の取れない魔獣による侵攻」と後回しになっていたのも災いした。というより後回しにせざるをえなかった。

 慌てて、軍勢を集めるも既に結集済の魔族側とこれから集める王国側ではどうにもならず、そのままの勢いで王都までが陥落した。

 この陥落の早さも王国の不手際が目立った。

 通常ならばどこの貴族が来た、どこの領地から来たと記録する訳だが何しろ既に魔族の軍勢が間近に迫っているという事でろくな確認もせず次々と増援に来た各貴族の軍勢を招き入れたのだ。

 三分の一もの領地とそこにいる貴族が滅ぼされたのに、そんな事をしたツケは実に大きかった。

 魔族側は攻め滅ぼした領地の一つから紋章と鎧を持ち出し、少数の部隊を送り込んだ。小領主の軍勢と判断した王都側はこれまたろくな確認もせず迎え入れてしまった。

 それだけ切迫していたとも言えるが、結果として夜間に密かに動き出した精鋭は次々と夜間の見張りを仕留め、外から密かに魔族本隊を迎え入れた。気づいた時には防衛など出来る状態ではなく、魔族によって蹂躙されているという有様だった。

 

 この時動いたのが静かに街で暮らしていた異世界の勇者だった。 

 彼女はこの世界に来てから、一人の落ち人として静かに暮らしていたそうだが、さすがに虐殺を行う魔族を放置は出来ず、奮闘した。

 だが、さすがに夜間に一人が奮戦した所でたかがしれている。

 そもそもこの世界に来てから、国の運営に一切かかわっていなかった彼女は何がどうなってこうなったのか全く分からず、どこが攻めて来たのかも知らなかった。

 おまけにこの世界は色んな外見の種族が共存している。魔族を見ても、同じ人同士と思っていたから、その腕は鈍った。

 そうして、彼女が周囲の人を守って王都を何とか抜け出した訳だが、これも魔族が王宮陥落を優先したからこそ、とも言えた。

 この後、王都をかろうじて抜け道を利用して脱出した第一王女と遭遇した彼女は、知り合い達の保護を条件に護衛としてこの国へと辿り着いたのだった……。

 

 

大丈夫な日もありますが、夜勤明けは体力がきつい時が多いです

頭が働かないので諦めて寝ました

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