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17 兄の襲撃

すみません。短いです。


「レミー、面白い事を考えてるんだね?」


ギギギギギっと顔を上げると、無駄にキラキラした兄がいた。

っ何故ここに?!!!! っニールか!!


「あら、お兄様。どうしてここにいらっしゃるのですか?」

「あぁ、ニールに表計算? やグラフ? の事を訊かれてね。バタバタしていてレミーに教えてもらう約束をすっかり忘れていたから、いつにするか訊きにきたんだ」


おぅ……やっぱりか。

そういえばそんな約束してたっけ?

まあいいか。訊かれちゃったんだからしかたがない。


「……今は少し手が離せないので……」

「僕の方はいつでもいいよ?」


やんわりと回避しようとしたら、ニコニコとしながら言葉を被せられた。


「……いや……」

「あのグラフ? はイイね。数字だけを見るよりも一目瞭然で変化が分かる。報告を受ける父上や僕は、何枚もの数字の報告を受けるよりも、こうして一目で分かる書類はとても助かるんだ」


はい、押し切られました。

ええ、教えればいいんでしょう、教えれば。

溜息をついて作業を中止し、休憩スペースで話をしようと席を立つ。

兄はニッコニッコとしながら何故か私をエスコートしてくれた。

……これ、逃げられないようにだな!


休憩スペースのテーブルには、兄と同じくニコニコのニールと、申し訳なさそうに笑うスーさん、その後ろにウェルナがいた。

ニールはメモとペンまで準備して、用意周到である。


「ミアン、皆いつ来たの?」


お茶を出してくれるミアンに尋ねると「皆様ご一緒にいらっしゃいました」と返された。

え? いつ?

疑問が顔に出たのか兄が答えてくれた。


「一応ミアンに声をかけてもらったんだよ? でもレミーは気付かなかったから、僕が声をかけに行ったんだ」


兄の笑顔に黒さを感じる。

確かに熱中していたが、声が聞こえない程の集中はしてなかった……はず。

ジト目で兄を見ると、にんまりと口元を引き上げられた。

あぁうん、なんか聞いたらいけない気がする。


「そうでしたか。すみませんでした。では、ええと……ニール達は、要件は済みましたか?」

「「「はい」」」

「私とウェルナの方は、各街に通達をしてもらいましたのでもう少し時間がかかります。その間に、ぜひレミー様に教えて頂いてグラフにしてからご報告しようと思います」

「譲渡証明書は、ラハト帝国の商業ギルドで発行してもらった方がいいと言われましたので、手配してもらっています。そして、私とツサメ子爵の件はオルコ様にお伝えいたしました」


ニールとスーさんが報告をしてくれる。

チラッと隣に座った兄を見上げると、


「僕はいつでもいいよ? 明日でも明後日でも」

「……」


うわ~……笑顔が黒い。

約束するまで部屋から出そうにない。

はあ~……。


「もうすぐジョンが魔道具の調査を終えて帰ってくると思います。その報告を聞いてアイデアをまとめたいので、今日は無理で……」

「じゃあ、明日には資料をまとめて、明後日には出来るね? 印刷機があるし……ね?」


……ゴリ押ししないで、兄よ。

はあ~、こうなったら引かないな……。


「分かりました。明後日までに資料は作ります。……が、勉強会は1度しかしませんよ?」

「……1度かぁ……。もうちょっと回数増やさない?」

「……増やしません」

「……」


ふお~! 兄の眼からブリザードが!

でもっ! 新しい魔道具作りたいし!

目が笑ってない睨めっこをしていると……兄が折れた。


「……はぁ~。しょうがないね。でも、様子を見てもう1回くらいはしてね?」

「……はい……」

「じゃあ、よろしく」


兄は甘い笑顔を振りまくと、電光石火で私を捕獲した。


「っっっきゃぁ!!」

「レミー! お兄様はものすごく頑張ってるんだ!」

「……ぐぇ……」


いつものように抱き潰され、あまつさえ逃げられないように体を持ち上げられた。

(……でっ……出るぅ……昼食がぁ……)


「なのに、休憩は少ないし! 仕事は増えるし! いつまで経ってもレミーと遊べそうにないんだ!」


(……語尾を強調する毎に締め付けないで~!!)


「おまけに昨日みたいな勘違いをした肉食獣から奇怪文が沢山届くし!」

「……ほげぇ……」

「僕の時間をつまらないもので使いたくない!」

「……ぶぇぇぇ……」


腕で締め付けたまんまにしないでぇぇぇぇぇ!

助けを求めてスーさん達を見るが、オロオロと視線を彷徨わせて兄をどうやって止めようか迷っていた。

(……マズイ! マジで出る!)


そう思ったら、記憶が飛びました。





―――――気が付けば邸宅の自分の部屋でした。


「あっ! レミー様気が付かれました?」


ミアンに覗き込まれて、自分が横になっているのが分かった。


「どうしてたんだっけ……」

「あ……オルコ様に絞め落とされたんですよ」


気まずそうに眼を逸らされた。

そうだった。

あの時の兄はいつもの倍力が入ってたもんね……。

結局、この日は兄のせいで新しい魔道具を作ることは出来なかった。


読んで下さりありがとうございます。

先週に引き続き、申し訳ありません。


風邪から蓄膿になりまして……。

鼻うがいが良いみたいですね。

市販のもので痛くないヤツがありました。

もっと早くに見つけたかった……。

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