少女期 9
読んでいただきありがとうございます。
笑顔で、議長であるホザ王国の代表者のおじいちゃんの方へ向いて、スカートに手を・・・
(―――――・・・・・・ちょっと待て、結局婚約はどういう扱いなんだ?)
そのまま一旦停止。笑顔から思案顔になった私を見て、各国の皆さんも首を傾げだした。退室の挨拶をする様子だったのに、いきなり固まった私にどうしたのかとざわついた。
見兼ねたおじいちゃんが、キョトンとして声をかけてくれた。
「どうしたのじゃ。退室の挨拶ではないのか?」
目が座り表情も消えた顔をおじいちゃんに向けて尋ねた。
「恐れいりますが、大事な質問があります。よろしいでしょうか?」
私の表情の あまりの落差に、おじいちゃん、肩をビクリとさせました。
「よっ・・・良いぞ。」
「結局、私の婚約はどうなったのでしょうか?」
おじいちゃんをはじめ、各国の皆さんや父と兄も、ハッΣ(゜Д゜)とした空気が流れた。
ええ、私もさっきまで忘れてました。が、皆さんも忘れてましたね?というか、ゴアナ国以外の人達は、「詳細を一切明かさず、議題の返答として、他国の少女に国王が直接婚約命令を出す」という衝撃的出来事に、理由や目的を暴くのに忙しかったもんね。あんな婚約なんてあり得ないし、まず「無い」と思ってるから、無いものとして記憶の彼方に飛んでったんですね。・・・私もです。
で・す・が!!
ここできちんと明言しとかないと、後々「断りがなかったから」とか言って有効的に扱いそうだよ。あっぶねぇ。
「そうじゃな。あり得ない婚約じゃが、返事をしとらんな。返事して良いぞ。」
おじいちゃん、こめかみから汗が流れてる。すみません。迫力が有りすぎたんですね。
では、許可をもらいましたので。
「ずぇぇぇっっったいに嫌です!!」
はしたないかもしれませんが、私の気持ちを伝えるために、大声ではっきりと断りました!
皆さん苦笑いしてます。
「では、ゴアナ国第3王子様と、バルフェ家令嬢の婚約は、無かったものとする。」
「ありがとうございます。今までの、皆様の前でのお耳汚し並びに失礼な行為、申し訳ございませんでした。急な出来事にびっくりしておりましたし、マナー教育もまだ受けている身でございますので、どうかご容赦くださいませ。それでは、皆様、失礼いたします。」
頭を下げてドレスの端を少し持ち上げ、令嬢としての礼を取り、愉快な仲間たちと退室しました。
扉を出ると、参城の案内をしてくれた2回目の使者の宰相補佐官が待機してました。休憩のお茶を勧められましたが、ニールさんとスーさんが無言で首を横に振ったので止めときました。うん、毒とか入ってたら怖いもんね。やらかした自覚はありますから。
そのまま、来たときに乗ったキラキラ馬車で邸宅まで送ってもらえると思ってたら、
「準備がありますので、少々お待ちいただけますか?」
と部屋に案内されそうになったので、ニールが即座に断りました。うちの従者が「お手伝いします」と馬舎に手伝いに走り、侍女は椅子を借りに行きました。護衛3人は超警戒体制をとり、ニールとスーさんと玄関ホールで、準備次第出発出来るように待ってました。
ニール曰く、誰かが部屋を訪ねて来るかもしれないとのこと。
(―――――いや~~!こえぇぇ~!。何しに来んの?)
面倒事の匂いがプンプンする!早いとこ帰ろう!えっ?バカがいるかもしれないから、道中も気を付けろ?わかった!
従者も超特急で馬車の準備を終え、御者をひきずっ・・・連れてきたので、さっさと王城を後にしました。




