うちのひとーパングラム57
これでエタ率ゼロだぜ~
前回のパングラム56、4月掲載になっています。
そのころ英国は全国ロックダウン、私は仕事に行けず、夫は食品流通業界で、顧客先に国会や病院もあるため、ロンドンへと出勤を続けていました。
夫のほうがよっぽど体調が悪かったのに。
英国国会衆議院食堂の担当者からお悔やみのメールをいただきました。
「礼儀正しく、すぐ助けてくれ、商品知識も豊富だった」とのこと。
料理が好きだったので、食材をどう調理すればいいかいつもアドバイスしていたのは知っていましたが、「礼儀正しい」という形容詞をいただいたのは初めてではないでしょうか?!
ということで再開のパングラムは申し訳ありませんが、「夫」でいきます。
次回からクイズ形式に戻しますので、どうかご容赦ください。
パングラム 57
うちのひと
あいされたおかえし
ほねそはにてやみよをぬる
へんくつせ
わらふまなこむけろ
きすもゆめり
愛されたお返し
骨傍にて闇夜を寝る
偏屈背
笑ふ眸向けろ
キス燃ゆめり
散骨の予定で、パウダー状の遺骨がうちにあります。
お墓には入りたくないと言っていたので。
入院しても「うちに帰りたい」と言い続けて脱走しようとして、自宅療養になってもぎりぎりまでホスピスに行くのも嫌がって。
礼儀正しいどころか頑固で偏屈!
夫の枕の上に笑った絵文字のクッションを置いていて、つい話しかけたりしてしまうのですが、まだキスはしてません。きっとしません。
「めり」の用法は正しくないと思います。視覚的推量、「~のようだ」という意味のはずです。
私が夫の幽霊とキスしても燃えているように見えはしないと思うので。
婉曲表現ということでお許しを。




