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【五十九階層】トレント狩り

 俺がダンジョンで手に入れた回復ポーションとは別の種類が見たくて、武藤さんの店に買いに出かけた。


 回復ポーションを含むいくつかの商品は、陳列スペースかセキュリティの影響か分からないけど、実物が見れないようになっている。


 たしか、武藤さんのアイテムショップでは『白色』『黄色』『緑色』『水色』の四種類があったはずだ。


 アイテムショップに入り、ちょうど電話で話し終わった様子の武藤さんと目が合う。


「ナイスタイミングだ!!」


 武藤さんが俺の顔を見たとたん、大声を上げた。


 なに、なんなの?


「弥くん、唐突だけどトレント狩りをしてみないか?」


 本当に唐突な武藤さんだった。



 ◆

 ◆

 ◆


 ことの発端は、ある富豪がトレントの木材だけで家を造ると決めたことから、今回の話は始まった。


 そして話は盛り上がり、いくつかのアイテムショップが、協賛して『トレントの木材』収集イベントを開催することになったんだ。


 しかも、その富豪がイベントに協力的で、公的機関の一部を審査員として巻き込んだ小さくないイベントになったんだと。


 そして、告知は今日から始まって10日後が締め切りなんだとか。


 武藤さんが、連絡できる探索者に電話連絡していたところに、俺がやって来たんだ。


 色々不正手段がありそうだけど、アイテムのストックも、運と実力に含むみたいなので、オッケーらしい。


 俺はトレントの木材120本を売ったばかりなので運がない部類に入る。


 家に在庫のトレントの木材は10本もない。


 本来見返りのほとんどないイベントだったが、イベントの規模が大きくなったことで、探索者にはトレントの木材の買い取りが2割増しになる恩恵ができた。


 店側のメリットは、名前がちょっとだけ売れると、武藤さんは言っていたけど、瞳が運動会前の子供みたいに輝いていた。


 イベント好きなんだろうか。


 せっかく、初日からイベント参加できるんだから、今から本気で集めてみようかと思う。




 俺は、3つのマジックバッグを持っている。

 そのうちの1つに、お泊まりセットを詰め込みながら、フローとフェイに説明する。


 フローとフェイは猫だけど、最近は理解力があり過ぎるんだ。


 だから、このイベントを説明してみた。


「にゃあ、にゃ~」

「ニャン、ナァ~」


 言ってる意味は解らないけど、否定的じゃないはずだ。



 地下6階には休憩スペースがある。


 そこを拠点に、地下6階にいるトレントを狩る。



 俺は半日を費やして40体のトレントを始末して、16本のトレントの木材を手に入れた。


 2日目は140体のトレントを倒して、手に入れた56本のトレントの木材を集めた。


 そこで、問題が1つ発生した。


 俺が持ってきた3つのマジックバッグでは、トレントの木材の許容量は75本が限界だったんだ。




 今はギリギリ全部収まってるが、お泊まりセットと食料の青魚の缶詰とモンスター肉が入らない。



 一日半の地下生活程度ではストレスは溜まらないけど、1回戻ることにした。



 それから、10日目の朝までトレントを乱獲、木材が持ちきれなくなったら自宅に帰還を繰り返した。



「さて、この集まりすぎたトレントの木材をどうやって運ぼうか……」


「なぁ~」

「ニャ~」


 フローとフェイに知らないって、言われたみたいだ。


 大型のワンボックスカーをレンタルするか、武藤さんに相談するかな。



 結果、武藤さんが小型トラックで来てくれることになったから、時間に余裕が出来てしまった。



 あと、もう1回狩りにいけるかな。



 俺たちは仕上げの狩りを楽しんだ。



 トレントは戦いやすく、葉の残量から残りの体力を計ることができるから、準備運動にちょうどいい相手になった。



 トレントの攻撃が遅く感じてしまう程、俺は強くなっている。


 大きく避けると、次の攻撃に影響がでるし、盾でまともに防ぐと傷んでしまう。


 トレントの攻撃がこれだけ解るのだから、もう少し冒険しようと思う。



 上手くいった。


 トレントの攻撃をただ避けるのじゃなくて、攻撃の動作を回避に繋げた。


 複数のトレント相手だと、枝の攻撃がさらに激しくなってくるが、盾を斜めに構えて最小限のダメージで受け流す。



 格下相手だけど、俺の戦い方が巧くなるのを実感できた。









「はい、これが収穫です武藤さん」



「…………」


 俺は、家に軽トラックでやって来た武藤さんに、戦利品のトレントの木材を全て渡した。



「はは、弥くんこれはすごい、もしかしなくてもうちの店でNo.1の数量だよ」



「ははっ、休みなく狩りましたからね。でも、さすがに『トレントシールド』の痛みが激しくなってきたんで、メンテナンスの予約をお願いします」



「おお、すぐに直せるように連絡するよ」

(それにしても、メンテナンスの間隔があいてきたから、休みを増やしたのかと思ったけど、格段に強くなったと考えた方がいいみたいだな)



 このイベントで、俺は大金をゲットしてしまった。


 大金をと言っても、今までの収入総額と比べると、かなり少ないけどな。



 心の弱い人や、目標をここまでと設定している探索者は、このあたりの階層で戦っていれば、安全に大金を稼ぐことができる。


 だけど、金持ちになる目標はここで叶えられるだろうが、もっと下の階層のモンスターを見てみたい。


 自宅のダンジョンや駅前のダンジョンも、最下層までたどり着いていないからな。


 それに『ドス』のダンジョンにも興味がある。




 そんな事を考えていた翌日、役所から知らせが来た。


『○○市○○町にある、ダンジョンでスタンピードの兆候が現れました。

 未然に防ぐために、モンスター退治をお願いします』


 と…………












昔のストックを出しただけなので、活動を再開したわけではないのですが、生存報告のかわりになればと。


諸事情により感想欄は滅多にみません。


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― 新着の感想 ―
[一言] おお、更新ありがとうございます! 事情は分かりませんがまったり待ってますのでご自愛ください!
[一言] お帰りなさ~い! はよう続きをプリーズw
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