4.丘の上での出会い
お久しぶりです。
また、少しずつ更新していきます。
「これはなかなかな眺めですね。」
カールが言う。
高台にある公園は2段階に分かれている。
人々の憩いの場になっているところは、街側に近い低い位置にある部分だ。
今いるその上にあるところは、一般人の立ち入りを禁止しているわけではないが、軍の物見台など、街の守備にかかわる施設があり、物々しい雰囲気を感じるためか、あまり市民はいないようだった。
「こうやって見ると、この街に坂が多いというのがわかるな。」
「確かに、なだらかに上っている。」
後ろでアーサーとカールが話している。
「本当にここは何度来ても、感激するよ。いろいろ考えているのが馬鹿みたいになる。今日は晴れているからより見事だ。」
僕も答えたが、それ以降は景色を眺めるのに集中した。
その様子を見て、アーサーとカールは僕から少し距離をとって、僕を一人にしてくれた。
キラキラ光っている湖、にぎわっている街並み、笑い声をあげて遊んでいる子供たち、それを見ている母親たち、手をつないで睦まじい雰囲気の老夫婦。
(ほのぼのとしている…)
肩の力が抜けた気がした。
近頃は父王の代行として仕事をすることも多く、知らず知らずのうちに肩に力が入っていたようだ。
そういった雰囲気に心が癒されるのを感じていた。
(やっぱ、気づかれてたんだよな。わざわざ、視察ってさ。かなわないよな~。あの狸じじい…。)
この時期の視察。
疲れているフレデリックを心配した、両親や祖母の心遣いだったのだろう。
大人の思惑通り、癒されている自分がなんとなく悔しく、情けなくも感じる。
思わずため息をついてしまったときだった。
「あなた、どうしたの?」
後ろから声がかかった。
驚いて、振り向くと、そこに一人の少女がいた。
「花冠の花嫁」の方も更新しています。
よかったらご覧ください。




