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173話─聖騎士たちの決戦

『着きましたね、ここがザノローア教国ですか。何だか、神聖な魔力に満ちているのを感じます』


「ああ、ここは創世六神がクァン=ネイドラを創造してすぐ後に生まれた国でな。この大地を創った時に余った神々の魔力が、今もこの国を満たしてるんだ」


『なるほど、だからこんなにも落ち着くんですね。リンカーナイツとの戦いに決着を付けたら、この国で少しお休みしてもいいかもしれません』


 ザノローア教国最南端の街、バニシュカへと転移してきたユウたちパラディオン。街全体に満ちている、聖なる魔力の存在に気付きユウが不思議そうに首をかしげる。


 そんなユウに、チェルシーが説明を行う。曰く、教国は創世六神の魔力を色濃く残した国であり、神聖な力が全体を満たしているのだという。


 「ああ、バカンスするのもいいと思うぜ。まあ、それはこの決戦を終えてからだけどな」


『ええ、遊ぶのはやるべきことをやり終えてからとパパやママたちにも教わりましたからね。……行きましょう、全パラディオン突撃!』


「オオオオーーーー!!!」


 パラディオンたちを代表して叫んだ後、ユウはフォックスレイダーに乗り込む。操縦桿に取り付けられたパネルを操作し、バイクを飛行モードに切り替える。


【フロートモード】


『これでよし、と。さあ、リンカーナイツとの最終決戦の始まりです!』


「ええ、今日全てを……終わらせる! 気合い入れていくわよ、みんな!」


「おう! 大暴れの時間だあ!」


「やったるデスマス!」


「ふふ、腕が鳴るね」


「いよいよ……ですわね。一族の仇、今……」


「この暴風の憲三、どこまでも坊ちゃんにお供致しやすぜ!」


『……フン。退屈しのぎになればいいのだがな』


 シャーロットたちもそれぞれのマジンランナーに跨がり、機体を宙に浮かせる。そうして、他のパラディオンたちと共に遙か南の山脈へと飛び立つ。


 パラディオンギルドとリンカーナイツ。大地の民と異邦の民。善なる者と悪しき者。クァン=ネイドラの命運を賭けた、最終戦争の火蓋が切って落とされた。



◇─────────────────────◇



「うっへー、空気が薄くなってきたな。あいつら、こんなとこをよく拠点にしてられるもんだな」


「だからコソ、だと思うデスよ。こんな地の果ての僻地に来るような物好き、マズいないデスからね」


『パラディオンならともかく、一般人はまずこんな山脈に挑みませんからね。よほどの登山好きでも遠慮しますよ、ここは』


 リンカーナイツが潜む、名もなき大山脈。高地ゆえに少しずつ空気が薄くなり、息苦しくなってくるなかユウたちは慎重に先へ登っていく。


 いくらパラディオンといえど、一気に進むと高山病に罹るリスクがある。身体防護の魔法を使い、少しずつ薄い空気へ身体を適応させるのだ。


 そうして、一時間後には高地環境への適応が完了し……。ユウたちはアクセル全開で山脈を進み、事前に記憶したリンカーナイツの拠点へ向かう。


「さあ、登り切ったわね。ん、あれは……! なるほど、あの城がリンカーナイツの……」


『随分と大きいですね。ま、その方が壊し甲斐があります。……全軍とつげーき!』


「行くぞおおおお!!!!」


 山頂へ到達し、そのまま向こう側へ進むパラディオンたち。そんな彼の遙か前方、山々に囲まれた台地の中央に巨大な城がそびえ立っていた。


 あれこそが報告にあったリンカーナイツの城だと判断し、ユウを先頭に突撃していく。完全に敵の虚を突いたということもあり、リンカーナイツの対応が遅れる。


「おい、大変だ! パラディオンギルドの奴らが攻めてきたぞ!」


「なんだと!? なんで奴らがここに!?」


「急いで迎撃に向かうぞ、防御壁を作動させろぉ!」


 自分たちの本拠地の場所を特定出来るわけがない。そう高をくくって油断をしていた結果、何の準備もすることが出来ぬまま戦闘に突入することに。


 地中に格納していた城を囲む六角形の城壁を起動させ、最低限の守りを機能させることは出来た。が、彼らに出来たのはたったそれだけ。


「迎撃用レーザー砲台を起動しろ、奴らを返り討ちにし」


「ちょっと待って、あいつら一斉にミサイルを撃ってきたわよ!?」


「やべぇ、急いで結界を張れ! 城壁をやられ……うわあああああ!?」


『一斉発射! こゃーん!』


 フォックスレイダーやマジンランナーに内蔵されているミサイルを一斉に放ち、守りを万全にさせないとばかりに猛攻を行う。挨拶と呼ぶには、あまりにも強烈すぎた。


 展開されようとしていた結界ごと城壁の一区画を崩落させ、一気に道を切り拓く。リンカーナイツの構成員たちがあたふたしている間に、ユウが突撃する。


【アブソリュートブラッド】


『それっ! リンカーナイツに与する連中はみんな、今日この場で全滅です! 覚悟しなさい! バレットレイン!』


「このっ……ぎゃあっ!」


「侵入されたぞ! 迎え撃……あぐあっ!」


「あら、ユウくんだけじゃないわよ。全てのパラディオンがここにいるわ、逃げられると思わないことね! ディザスター・アロー!」


 フォックスレイダーの運転席を覆う保護ガラスを開け、大ジャンプして一気に城壁を飛び越える。空中で身体を捻り、ファルダードアサルトを連射して敵の心臓を貫いていく。


 そこにシャーロットたちも雪崩れ込み、敵味方が入り乱れる乱戦が始まった。パラディオンたちは連携し、迎撃に現れたリンカーナイツの下っ端たちを仕留めていく。


「今日がお前らの最後だ! もう悪さ出来ないように全員仕留めてやる!」


「クソッ、数が多すぎる! このままじゃ……ぎゃっ!」


「なんとか持ちこたえろ! 敵襲はもう知らせた、じきにゼルヴェギウスが投下される。それまで」


「Before that, I'll kill that kid. Nice to see you, Yu Hojo! "You have the courage to come all the way to our castle!(それよりも先に、俺があの小僧を殺すさ。よく来たなユウ・ホウジョウ! 俺たちの城まで来るとはいい度胸だな!)」


 城壁の上に築かれた連絡通路に乗り込み、リンカーナイツの構成員を滅していくパラディオンたち。そこに、最悪の敵がその姿を現す。鳥の力を宿したシュナイダーが、城内から強襲してきたのだ。


 さらには、城内で待機していた上級構成員たちと最凶最悪の生物兵器……完全体となったゼルヴェギウスまでもが現れた。増援の到着により、戦況は五分と五分に戻る。


「お前がユウくんの言ってたトップナイトの片割れね! ここで倒し……きゃあっ!?」


『シャロさん!』


「Come on, follow me, Yu Hojo! If we don't hurry, we'll execute this woman! Hahahahaha!(さあ、俺を追ってこいユウ・ホウジョウ! 早くしないと、この女を処刑しちまうぜ? ハハハハハ!)」


『くっ、あいつ……!』


 シュナイダーはユウ……ではなく、少年から少し離れた場所で戦っていたシャーロットを狙い急降下する。彼女の肩を両脚の爪で掴み、城へ連行していく。


「坊ちゃん! ここはあっしらに任せて行ってくだせぇ! 大丈夫、一度倒してる相手なんざ何度出てきても返り討ちにしてやりまさぁ!」


「そうだ、行け! んで、あのいけ好かねえ奴をぶっ倒してシャーロットを助けてこい! 頼んだぜ、ユウ!」


『憲三さん、チェルシーさん……。分かりました、ここは任せます! ……【庇護者への恩寵】発動!』


『庇護者への恩寵を発動します。全ての身体能力と持久力、及び治癒力を最大まで活性化します。さらに、魂への攻撃に対する強固な耐性を授けます』


『これがボクからみんなへの目いっぱいの援護です! 全てのパラディオンが生き残ること……祈っていますよ!』


「サンキューデスよ、ゆーゆー! さあ、行ってくるデース!」


 ユウは自分を誘い込むための罠だと理解しつつ、シャーロットを助けるため城内へと走る。増援と戦う仲間たちにチート能力による加護を授け、襲い来る敵を仕留めつつ先へと向かう。


『……いよいよ、か。小僧、覚悟は決めたか? 今日が最後の日だ。いろいろな意味で、な』


『やけに大人しいと思ったら、変なことを言いますね。大丈夫、今日終わるのはリンカーナイツだけです。そうでしょう? 相棒』


『……フッ。ああ、そうだな。これまでは力を蓄えるため大人しくしていたが……もうその必要もない。行こうか、最後の決戦の舞台に』


 ただ一人、己が心に宿る魂のカケラと共に突き進むユウ。時は満ち、戦いが始まる。その結末は、果たして……。

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― 新着の感想 ―
攻めるだけで守る事を考えてない連中は脆いな(ʘᗩʘ’) 所詮残ってるのも練度の低い連中ばかりだが(ب_ب) 一番の厄介者にお姫様(嫁1号)攫われちまったな(´-﹏-`;)
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