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135話─見つけ出したモノ

『ふう、分断された時はどうなるかと思いましたが危なげなく勝てましたね。さあ、義人さんたちの捜索を再開しましょう』


 迎撃に現れたかぐや姫たちを全滅させ、本来の目的である先遣隊の捜索と救出に乗り出すユウ一行。俊雄の能力を解除し、おとぎの国を進んでいく。


「霧が少し濃くなってきやがったな、あまり離れるとはぐれちまいそうだ。気ぃ付けな、ユウ」


「フフフ、心配不要デスよ。こういう時に使えるギミックを、おシショー様に仕込まれていマスから!」


『そうなんですか? なら探索が楽になりますね! 一体どんなギミックなんです?』


「よーし、刮目して見るデスゆーゆー! あソレッ!」


 進んでいくにつれ、少しずつ霧が濃くなってくる。まるで、先に向かうのを阻むかのように。一度はぐれれば、何が起きるか分からない。


 そこで、ブリギットが対策に乗り出す。両手を前方に突き出し、体内の装置を稼動させる。すると、手のひらに穴が現れ……そこから小さなファンが覗く。


「霧なんて吹き飛ばしてしまえばイイんデスマス! ファイヤー!」


「あら、やりますわねブリギットさん。霧がどんどん……? 皆様、あちらの方……今何か動きませんでした?」


 ファンから放たれる突風が霧を吹き飛ばし、視界を広げる。感心しながら見ていたジャンヌは、視界の端に動くものを捉えた。


 一行から数メートル離れた家屋の残骸の陰に、何かがいると彼女は仲間たちに告げる。


「ええ、私にもチラッと見えたわ。まさか新手が……」


『いや、待ってください。あれは……! 間違いありません、義人さんの隊にいた人です!』


「う、うう……。よか、た……救助が、来てくれたんだな……」


 シャーロットも何かが動いたのに気付いていたようで、早速次なる刺客が現れたかと警戒心をあらわにする。そんな彼女を制し、ユウは残骸の陰から這い出てきた者の元へ駆けていく。


 現れたのは、脚に大怪我を負った青年だった。義人の部隊に配属され、おとぎの国に向かうのをユウが見ていたのである。


 ユウたちはひとまず青年を担ぎ、霧の外に出る。おとぎの国の中では治療に支障が出るからだ。


『しっかりしてください、今治療します。チェンジ!』


【メディックモード】


『それっ、ヒーリングマグナム! これで大丈夫なはず……どうですか、傷は?』


「ああ、ありがとう。脚をやられてしまってね……ここまで這いつくばって逃げるだけでも大変だったんだ。本当に助かったよ」


『とりあえず、救出対象を一人見つけられましたな。しかし、一体何があったのですかな? 義人殿たちはどこに?』


 ファルダードアサルトを用いて青年の脚を治療し、一度話を聞くことに。無事脱出出来た安心感に浸りつつ、青年は話し出す。


「霧の中に入ってしばらくは、何事もなく調査出来てたんだ。でも、裏路地の方に移動したら……野原になってたんだ。まだ市街地の外に出てないはずなのに」


「野原……。霧のせいで地理が歪められているのかもしれないね。それで、そこからはどうなったんだい?」


「ああ、何が起きてるのか調査するために踏み込んだんだよ。そうしたら、クマやらキツネやらタヌキやら……山林に住んでるような生き物たちと……()()()が現れたんだ」


 ミサキに尋ねられた青年は、そこまで話すと顔を青ざめさせる。よほど恐ろしい目に遭ったのだろう、肩が震えていた。


 青年が落ち着きを取り戻せるよう、ユウはいくつかの尻尾を伸ばしてそっと包み込む。その温もりで、青年の震えが止まる。


「ああ、ありがとう……少し落ち着いたよ。動物たちを率いるように、大きなマサカリを担いだ男……いや、違うな。とても大きな男の子が現れたんだ。そして……日下部隊長たちを攻撃したんだよ」


「ふむ……なるほど、特徴を踏まえるとそのマサカリを持った相手はたぶん金太郎だね。日本の有名な昔話の登場人物さ」


「どーせまた珍妙な奴なんだろ? ま、それは置いといて。そのキンタローとかいうのに襲われて、みんな散り散りになっちまったたってことか?」


 チェルシーの問いに、青年は頷く。義人たちはユウ一行が戦ったのとは別のおとぎの国の住民に襲われ、散り散りになってしまったらしい。


「隊長は俺らを逃がすために敵に挑んだんだが……すぐに霧が出てきて見えなくなっちまった。あちこちから悲鳴が聞こえてきて……たぶん、何人かはキンタローって奴が従えてる獣にやられちまったんだと思う」


「そんな中で、貴方は運良く街まで逃れられた……と。それだけでも幸運ですわ」


「本当にそう思うよ。一応、霧が出てくる前に何人かが先に街まで逃げ込んだのを見た。だから、俺以外にも無事な奴がいる……はずだ」


『分かりました、あなたをギルドに送り届けたら残りのメンバーの捜索に戻ります。義人さんたちも必ず見つけて助けます。だから待っていてください』


「いや、そこまでしてくれなくて大丈夫。脚が無事なら一人で行けるさ。ありがとな、治療してくれて。本当に助かったよ」


 救出任務が優先だから、と青年はユウの申し出を断る。礼を述べ、パラディオンギルドに向かおうとして……ふと足を止めた。


「あ、いけね。実はさ、街を這いずってた時にこんなのを見つけたんだ。もしかしたら何かの役に立つかもしれない、持って行ってくれないか?」


「これは……通信用の魔法石かしら? でも、こんな形のは見たことないわね」


『たぶん、敵が使っているものかもしれません。もしそうなら、これを上手く利用していろいろやれそうですね』


 青年は懐から取り出した、星形の魔法石をユウに渡す。何かの役に立つかもしれないと考え、ユウは石を仕舞う。


『ありがとうございます、ボクたちは霧の中に戻りますね。必ずみんなを助けてきますよ!』


「ああ、頼んだ! 隊長たちを助けてくれ……任せたぞ!」


 未だ取り残されている義人たちを助け出すため、再びユウ一行はおとぎの国へと突入する。おとぎの国で、ガンドルクが恐るべき変貌を遂げていることも知らずに。



◇─────────────────────◇



「ふふふ、どうかな? 見違えただろう、みすぼらしい鉛になっていた時とは」


「ククク、素晴らしい! 腹の底から力が湧き上がってくるようだ! これなら、忌々しい異邦人どもを皆殺しに出来よう!」


 その頃、おとぎの国の中枢部ではガンドルクが黒原の手で改造を施されていた。鉛の像にされていた王は、全身が鏡のように磨かれた水色の立像へ進化を遂げた。


 生身だった頃のように自由に動けるようになり、王は確信する。この姿ならば、憎々しく思ってきた異邦人を一人残らず抹殺出来るだろうと。


「まあ待ちたまえ。問題なく戦えるかどうかテストしなければなるまい? ちょうど、愚かにも我が国に踏み入った連中を何人か捕まえていてね。彼らで()()するといい」


「ふむ……そうだな、実戦に出てから問題が発覚したのでは遅い。捕らえた連中はどこにいる? すぐにでも力を試したい」


「頭の中に位置情報を送った、迷わず行けるだろう。私はいろいろと手を話せなくてね、しばし動けない。一人で行ってきてくれ」


「そうか、では行ってくるぞ」


 黒原を残し、ガンドルクは二人がいる工房のような部屋を後にする。一人になった後、黒原修一は一冊の絵本を魔法で呼び出す。


「ふふふ……。もう少しだ、もう少しでおとぎの力が目標まで……ん?」


「キキ、キキキ……」


「おやおや……なるほど、かぐや姫たちが破れたと。北条ユウに峰俊雄……か。ふうん、面白い。私を止められるものならやってみるといいさ。私は今までのトップナイトよりも手強いぞ? ふふふふ……」


 絵本を開き、眺めようとしたところで一匹のネズミが現れる。そして、かぐや姫一行がユウたちに返り討ちにされたことを主に報告する。


 ネズミを掬い上げ、肩に乗せつつ黒原は楽しそうに笑う。漆黒の兜の奥には……子どものような嬉々とした目が輝いていた。

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― 新着の感想 ―
かぐや姫、金太郎と来るなら浦島太郎や桃太郎もありえるって事か(ʘᗩʘ’) 西洋もあるなら赤ずきんやシンデレラもか?(٥↼_↼)
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