94 イガイガへの頼み
「ところで、伊賀守殿の御息女が郡上郡の遠藤六郎左衛門殿に嫁がれておられるとか」
「ほう、よくご存じだ。三女が六郎左衛門殿に嫁いでおりますな」
遠藤六郎左衛門盛枝は、郡上郡の八幡城城主だ。
父親が討ち死にしたため、十三歳で家督を継ぎ、地位の強化のためか母親が長井隼人と再婚している。
家族で長井隼人の屋敷に居住していたが、竹中半兵衛が稲葉山城を奪取したために避難、そのどさくさに紛れて従兄の胤俊が八幡城を占拠。
現在は苅安の鶴尾山城で、八幡城の奪還を狙っている。
「長井隼人殿を頼っておられたようですが、我等のために援軍が送られず難儀しておられるとか。
伊賀守殿には、六郎左衛門殿との橋渡しをお願いしたく」
本来ならば、1564年に長井隼人の援軍のおかげで、胤俊が和睦を申し出て奪還に成功している。
だが、史実より一年早く織田軍が堂洞城へ攻め込み、長井隼人も関城を失って稲葉山へ逃れたため、援軍が送られる事はなく、そのままの状態になっている。
盛枝、胤俊どちらについても構わないのだが、弱くて、正当性のある盛枝を支援した方が、感謝のされ具合がいいだろう。
胤俊も軍を向けられると、あっさり和睦を申し出ているし。
その後も、別段二人の間に何かある訳でもない。
「お任せ下され、さっそく文を認め六郎左衛門殿に使いを出しましょう」
「まことに忝ない。父、三左衛門も感謝致しましょう」
別に森家で勝手にやってもいいのだが、少しでも手柄を立てさせてやる事で、今後の付き合いが楽になる。
イガイガも手柄持参で寝返ることが出来るので、嬉々としてやってくれる。
文を認めるだけだし…
「後、申し訳御座らぬが、某に何方か人を紹介しては頂けませぬか?」
「ほう、人に御座るか?」
「某、領地が急に増えたせいで、手が足りず難儀しております。何方か紹介していただければ助かるのですが」
まだこの後に西美濃を廻り、三人衆の勢力弱体を狙って勧誘しに行くからいいんだけど…
幸い、太郎左衛門殿が親切にも乾作兵衛和宣という人を紹介してくれた。
さて、ついでに氏家直元のところへ行きたいのだが、その前に寄る所がある。
何でもこの辺りに衣斐丹石という剣豪がいるらしい…詳しくは知らんけど。
新八郎が是非とも教えを請いたいというので探そうと思ったのだが、イガイガが知っているようなので案内を頼む。
出来れば剣術指南役にでもなってくれれば嬉しいのだが。
史実とは流派が違うかもしれないが、新八郎にも修行をつけて欲しい。
剣豪になれるかは知らないが、少なくとも剣術の腕は伸びるだろう。
指南役になってくれなくとも、弟子くらい紹介してくれないかな。
乾さんが家臣になるの予測されてたなぁ…(名前を出したのは父親だけど)
もっとマイナーを探さないと!
遠藤盛枝って読みは、『もりえだ』でいいのかな?
長いものには巻かれておきますが…
『もりしげ』の方が読みやすいなぁ…人名なんで知らないですが…




