93 イガイガとの会談
九月、武田との同盟がなった。
遠山直廉の娘を養女とし、武田勝頼へと嫁がせる事となる。
この遠山直廉さん、桶狭間の戦いにも参戦し、殿の妹を娶っているので、姪を養女にしたという事だ。
この結末は、だいたい史実通りになったようだ。
さて、同盟が成って一応外敵がいなくなったところで、金山城の親父から命令が来た。
西美濃の調略をせよ。
親父や坂井右近将監殿、金森五郎八殿ら美濃の出の武将が調略を掛けているが、その手伝いをしろとのことだ。
織田家が武田と同盟したことで、一色家が追い詰められ、いよいよ美濃の国人衆が寝返りやすくなった為だろう。
西美濃といえば、西美濃三人衆。
偏屈者の稲葉良通、影の薄い氏家直元、人望ない安藤守就の3人。
このうち稲葉良通は、良通の義理の弟である斎藤新五殿に任せるとして、こちらは安藤守就こと伊賀伊賀守を担当しよう。
残る氏家直元だが、伝手は思い浮かばないなぁ。
斎藤龍興とは険悪な関係までになっているようなので、正面突破しても大丈夫な気がするし。
影が薄いのに西美濃最大領土を持っているので調略は必須、本来なら競合する安藤守就は五郎八殿に譲ってもいい程のド本命。
だが、人脈的にイガイガ(伊賀伊賀守)にチャレンジだ!
何故、イガイガこと安藤守就を狙いに定めたのか。
それは、山内次郎右衛門の姉が、安藤守就の弟である郷氏に嫁いでいるからだ。
折角の伝手、使わないなんて勿体ない。
だが、堂洞城で共に戦った金森五郎八長近殿は、イガイガの妹を妻に迎えているので、俺の方が一手遅いかな。
次郎右衛門の伝手を使い、北方城のイガイガと郷氏へ使いを出す。
色好い返事が貰えたところで、次郎右衛門と仙石新八郎を供に、五郎八殿と連れだってと北方城へと向かう。
イガイガに挨拶した後は、弟の太郎左衛門(安藤郷氏)殿と金森五郎八殿に任せて、ほぼ観戦モードに突入。
時折、合いの手を入れるくらいで、結構スムーズに話が流れていく。
「わかった。我等は、織田方に付こう。稲葉山城へと攻め込む時は、必ずや三介様の御力になろう」
「義兄上、よくぞ決断なされた!これからは共に織田家を盛り立てて参りましょうぞ」
よしよし、纏まったな。俺は空気だが…
殿の名乗りは、もう三介じゃなくて、尾張守に変わっているんだぜ!情報が古いぜ!と心の中で突っ込んだりして遊んでいる。
勿論、口に出したりしない。
コロコロ変わる殿の名乗り…
「後日、小牧山へ誰か一族の者を送ります。
五郎八殿、傳兵衛殿これより宜しくお願い致しまする」
おお!忘れられてなかった!よかったよかった!
しからば、本題に入りましょうか!




