表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
討ち死になんて勘弁な  作者: 悠夜
93/554

 90 久々利戦終了

 土岐悪五郎は、加治田新助と可児才蔵の手助けを得た加木屋久蔵に討ち取られた。

 しかし、多勢に無勢。

 混乱から立ち直れば、三人共討ち取られてしまうだろう。

 敵軍は混乱の最中で、今なら難なく打ち破れる。


「久蔵見事!!皆の者、久蔵を討ち取らせるな!全軍突撃!!」


 この一連の戦いで、俺は全く活躍していないので、ここは先陣を切って突撃しよう!

 敵陣に切り込み、その勢いで雑兵の一人を槍の餌食にしたところで俺の家臣団が到着、周りの兵に襲いかかる。


「死にたくなくば槍を捨て南へ逃げよ!土岐川の手前で、じっとしておれば、後で助けてやる!」


 久々利の農民が殆どだから、出来れば殺したくはない。

 だが、その場にいられると邪魔になるし、降伏した振りをして襲い掛かられるのも嫌だ。

 何より、野盗になられてウチの領地で暴れられたら困るので、逃げるのなら川向こうへ追い立てて、妻木氏に押し付けよう。


 ()()うしている間に、久蔵らと合流に成功する。


「殿!お待ちしておりましたぞ!」


 新助が嬉しそうに駆け寄ってくる。


「見事、久蔵殿は本懐を遂げられましたぞ!」


 才蔵も、やり遂げたような誇らしげな顔で、此方へやって来る。

 お前ら、弥八郎が許可を出してるから辛うじてセーフなだけで、もし久蔵が討ち死にしていたら責任取らせてたからな!


「お主ら、弥八郎殿を手伝えと命じたのに、この様な所で何をしておる!」


 一応、勝手をしたのを叱っておく。

 そのまま許して、また勝手な行動されると困るからな。


「「申し訳御座いませぬ」」


 二人は、不満そうな顔を隠そうともせず、不承不承頭を下げてくる。


「二人とも罰として、悪五郎の家臣共を討ち取ってこい!」


 そう言うと、二人はニヤリと嬉しそうな笑みを浮かべ、


「新助にお任せ下され!殿の邪魔をするであろう者共を悉く討ち取って参ります!」


「いや!才蔵にお任せを!この後の殿の統治の足を引っ張る者など残しませぬ!」


 と、威勢良く飛び出して行った。

 お~、頑張ってこいや。

 でも、出来なければ皆の手前、減俸だか謹慎だか何かしらするからな!

 首を取れば赦されるとか思われたくはないが、今回は弥八郎の許可有りだから、それでトントンにしておいてやる。

 弥八郎に感謝しておけ…いや、俺に感謝しろよ!

 将来、徳川に引き抜かれたら困るからな…


「久蔵、よくぞ御父上の仇を討ち取った!大納言殿も嘸やお喜びになろう」


「これも全て傳兵衛様のおかげに御座います!この御恩は必ずや御返し致しまする!」


 久蔵が平伏しそうな勢いで感謝してくるが、一応戦場なので止めて下さい…

 まあ、無事ならそれでいいさ。

 近衞家とのパイプ役に使えるかもしれないからね。



 幸か不幸か二人は敵の首を取ってきたので、今回は赦してやる。

 悪五郎の軍を無事に壊滅させたので、さっさと久々利城へと引き返そう。

 このまま高野口へと向かおうかとも思ったが、流石に兵に無理をさせ過ぎだし、どうせ高野口では睨み合いをしているだけだろう。

 羽崎城の状況の方が気になるので、武田との戦いはお預けだ。

 降伏した敵兵は約束通り、無罪放免で自分の村へ帰ってもらう。



 久々利城へ戻ると、流石に一日に三戦もした疲れが出てきたので、城に残っていた加治田隼人に後事を任せ、寝る事にする。

 働き過ぎたな、暫くはのんびりしたいぞ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ