79 才蔵
39話で開発しようとしていた管槍が、38話で試作済みになっていたので、38話の該当部分を43話の途中に差し込み直しました。
話は変わらないので…
無事に烏峰城の普請も一段落ついて、史実通りに親父が入ることになった。
俺も可児郡に知行を貰えるようだ。
これで家臣に知行を増やしてやる事が出来る。
で、家族みんなは引っ越しの準備に忙しい…俺以外。
俺は新たに森家の本貫である蓮台の地を任される事になった。
つまり留守番?
戸田城の方は、引き続き大叔父の越後守に任せる。
長妹の菊の夫である青木次郎左衛門は、俺の与力に付けられているが、俺の可児郡にある領地を任せたので、やっぱり俺だけが引っ越さない。
うう、於勝ちゃんと九一郎の教育が…二人を置いていってくれないかなぁ…
さて、烏峰城での諸事を終え、蓮台へと戻るわけだが、戻る前に是非とも行っておきたい場所がある。
願興寺だ。
烏峰城があるのは、可児郡。可児といえば可児才蔵!
可児才蔵といえば、幼少時に願興寺で育ったらしい(勿論諸説あり)。
ならば、ここは外せない。
いつか、弟の於勝ちゃんの家臣団として、アレな奴等ばかり集めて、敵陣に突撃させてみたい。
俺のとるに足らない、ささやかな夢だ。
なので、弟には鬼武蔵になって欲しいような、欲しくないような複雑な心境だ。
今年、可児才蔵は十一歳。さすがにまだ仕官していないはず。
蓮台へ帰る前に願興寺へと寄り道する。
「こちらに、大層腕の立つ小僧がいるという噂を聞いて参りました」
願興寺の住職に、才蔵の事を尋ねる。十三歳の俺が小僧呼ばわりしていて違和感があるが。
「ほう、それは太郎の事でしょうか?幼い頃から槍の修練を欠かさずやっております」
「出来ますれば、某の家臣として召し抱えたいと思いまして」
と、言いながら「喜捨ですが」と金子を渡す。
「太郎ほどの腕ならば、武士として手柄をたてるのが、本人の為になるやもしれませぬな」
住職も頷きながら太郎を呼びに行かせた。
「太郎と申します」
なかなかの丈夫だな、体格も悪くない。
「某は、烏峰城主森三左衛門が嫡男、葉栗郡蓮台城主、森傳兵衛可隆と申す。是非とも、そなたを家臣に迎えたい」
と言うと、太郎くんは平伏して、
「是非ともお願いいたします!」
凄い勢いで頼み込んできた。
よっぽど寺が嫌なのか、純粋に武士になりたいのか、速攻で家臣になることが決定した。
可児太郎を家臣に加えたが、せっかくだし、ついでにもう一人スカウトにいこうか。
藤吉郎の家臣をまた一人奪ってしまうが、致し方ない。
ということで、尾張春日井郡下市場村へと向かう。
藤吉郎は、ここで仲間にしたそうなので俺も捜してみる。
加治田直繁。
川並衆の一人で墨俣一夜城の築城に関わった者だ。(本当にあったのならだが)
やはり向こうも仕官を狙っていたのか、息子も一緒にあっさりと家臣となった。




