55 大沢次郎左衛門
稲葉山城を占拠した伊賀伊賀守は、国人衆に協力を呼びかけるが、反応が薄いみたいだ。
人望ないな、イガイガ。
城を龍興に返してしまう前に、宇留摩城の大沢次郎左衛門を口説き落とす!
さて、藤吉郎はどうなったのかなぁ?
「なんと!傳兵衛殿は、もう伊木殿を口説き落とされたのか!某もあと少しの所まできておるのだが…」
ふむふむ、勝った!いや、藤吉郎の自信たっぷりな態度で忘れがちだが、もともと難易度が違うからな。
競争している気になっていたのは、俺だけかな?
伊木山城の伊木清兵衛は、もともと川並衆と仲の良かったこともあり、あっさり織田方についた。
それを受けて織田の軍勢は、伊木山城に入り、宇留摩城へ圧力をかける。
「次郎左衛門殿、すでに犬山は落ち、右兵衛大夫殿も稲葉山を追われた。かといって城を押さえた伊賀守殿に従う者もいない」
真剣な表情で次郎左衛門の顔を見ながら、語りかける。
大沢次郎左衛門為康、さすが東美濃(鵜沼)の虎の異名をもつ槍の名手だ。強そうだな。
「次郎左衛門殿の忠義は見事だが、その腕をここで終わらせるのは、あまりに惜しい。
戦端を開く前の今ならば、上総介様も高く評価されよう」
後ろで控えている松原内匠助や木下藤吉郎も、
「もはや、右兵衛大夫殿では、美濃はまとまらぬ。
織田方に付く他、御家を守る方法はありませぬぞ」
「今、降れば上総介様も感謝し、必ずや重用されましょうぞ!」
とか、しきりに降伏をすすめている。
次郎左衛門は、渋い顔をしていたが、溜息を吐くと、
「致し方ござらん。上総介殿に降り申す。この事よろしくお頼み致す」
と観念した。
ふぅ、なんとか開戦前に、けりが付いたか。
長引いて龍興が稲葉山城へ戻ってしまうと、もう少し粘られたかもしれないからな。
「藤吉郎殿、両城の調略を終えたわけですが、これから如何される?」
仕事を終えた俺たちだが、一応の秀吉の今後の動向を聞いておくか。
「傳兵衛殿は、次に攻めるのは何処の城だと思われますかな?」
「そうですなぁ…猿啄城あたりでしょうか」
少し考えるふりをして答えるが、史実通り猿啄城だろう。
西からも南からも失敗したなら、次は東からだな(嘘)
イガイガは、仲の悪い中美濃の国人だけでなく、同じ西美濃の国人にもそっぽを向かれて孤立している。
西美濃から攻め込んで団結されても面倒だし、中美濃を攻めた方がいいのではないかな。
「成る程。では、猿啄城へ参ろうかと」
猿啄城への調略かな?
でもイガイガが、城を龍興に返す方が早いのではないかな?
龍興が稲葉山城へ戻れば、寝返り辛くなるんじゃないかもね。
まあ、人望は落ちているだろうから、あっさり落ちる可能性もあるが、どうだろう?
誤字報告ありがとうごさいます。助かります。
…スマホの予測変換邪魔やなぁ




