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討ち死になんて勘弁な  作者: 悠夜
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537 佳清君とは仲良くなっておきたい

 十河軍が退いていく。


「皆の者!楽しみのところ悪いが、十河家が退いた!後を追うぞ!」


 お楽しみのところ、誠に申し訳御座いませぬ。

 残念だけど、仕事の時間だよ!

 十河家に手出しする気はないが、ちゃんと十河城へ帰れるのかは見守ってあげないとな。


「これからだというに、誠に残念」


 新助(加治田繁政)は口では残念だと言っているが、さっさと引き上げの準備に入っている。

 おお、大人になったなぁ…いや、単に存分に暴れられて満足しただけか。

 まあ、満足出来たのなら良かった。

 流石に、朝倉家討伐から外されたウチの家には、暫く戦なんてないだろうからな。


「では新助、十河軍の後を追え!城へ戻らねば知らせよ」


「はっ!」


 うん、頼んだよ。


「うむ。敵の首を取るのは儂に任せておけ。新助が敵の尻を追いかけている間に数を稼いでおくわ」


 新助の相方である才蔵(可児長吉)が、別の任務を命じられて戦列を離れる新助を煽っている。

 子供かよ!


「ふん、言っていろ。先に城持ちとなるのは儂の方よ!」


 うん、それはあるかも?

 才蔵よりは新助の方が…

 いや、そんな事より早よ行け!



「中務丞殿と伊賀守殿が参られました!」


 岸新右衛門が香川之景と香西佳清の来訪を伝える。

 こっちから向かおうと思ってたから都合が良いな。

 流石に之景に挨拶なしという訳にもいかないしな。


「流石は兵部少輔殿に御座いますな!十河家の兵を一蹴とは」


「なに、御二方に足止めしていただけたからに御座いますよ」


「いやいや、儂には攻めきれませんでしたからな」


 ハッハッハッと笑う之景だが、あんたは元から戦う気無かっただろ?


「しかし、兵部少輔殿は十河家を如何致す積もりですかな?」


 佳清は前置きや世辞も言わずに、自分が本当に聞きたい(多分)事を聞いてくる。

 話が早くて助かるねぇ。


「十河家に関しては御二人に御任せ致す。某が介入すれば、それは三好家の所業と変わらぬ。安富家の仕置きは寒川家と相談して極めさせていただくが、十河家の方は関知せぬ故、そちらの都合の良い様に」


 2人の恨み…いや、十河家や三好家の恨みを買いたくないしな。

 両陣営で勝手にやりあってくれ。


「宜しいのか?」


 今回俺は、十河家が安富家の後詰めに出れない様に邪魔しに来ただけだからな。

 それよりも今後の事を考えて、佳清君とは仲良くなっておきたいなぁ。


「構いませぬ。それよりも讃岐国の平穏を取り戻すが先。余所者の某が要らぬ事をして、来年の一条様の土佐下向の妨げとなるのは勘弁に御座る」


 俺は何もしないけど、それで問題が起きたら、お前等に責任を取ってもらうからね?

 俺が土佐下向の責任を匂わせると佳清と之景の表情が改まる。


「肝に銘じましょう。中務丞殿とも善く善く話し合い、決して一条様の御不興を賜らぬ様に致しましょうぞ」


 佳清と之景が互いに頷き合い、面倒を起こさないと約束してくれる。


「此度の戦は全てその為のもの。細々とした問題はありましょうが、来年の下向を終えるまでは何卒御頼み致す」


 今回の出兵の目的は寒川家を救う為なんかじゃなくて、来年の下向を前にして通り道周辺の安全を確保する事だからね。

 問題が出たら次は討伐の対象がアンタ等になるかもしれないからね!

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― 新着の感想 ―
森可隆(18) 可児長吉(16) 十河存保(16) 香川之景(43) 香西佳清(17) 加治田繁政と岸新右衛門もかなり若いはず。 >「ふん、言っていろ。先に城持ちとなるのは儂の方よ!」 >「しかし、…
どう考えても任された2人が讃岐の国人を調略しまくって後始末しないといけなくなる未来しか見えない。 土佐下向が降伏できる最終期限だって言ってるようにしか聞こえないんだよね。
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